ご家族が亡くなられたとき、最期のお別れの方法は一つではありません。
伝統的なお葬式ではなく、火葬のみを行う「直葬」や「火葬式」といったシンプルな形式を選ぶ方も増えています。
そうした場合、「葬儀を行わなかったけれど、後で遺骨を納骨したい」と考えたとき、手続きはどうなるのだろう?と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
「葬儀なしでも納骨はできる?手続きはどうすればいいの?」という疑問は、決して珍しいものではありません。
結論から言えば、葬儀を行わなくても納骨は可能です。
しかし、そのためにはいくつかの手続きが必要になります。
この手続きについて、今回は詳しく解説していきます。
葬儀なしで納骨はできる?結論と背景にある現代事情
ご家族を亡くされた際、お通夜や告別式といった一般的な葬儀を行わず、火葬のみで済ませる「直葬」や「火葬式」という選択肢が近年増えています。
費用を抑えたい、故人の遺志を尊重したい、あるいは高齢化や少子化で親族が集まるのが難しいなど、その理由はさまざまです。
こうした形式を選ばれた方からよく聞かれるのが、「葬儀をしなかった場合でも、後からお墓や納骨堂に遺骨を納めることはできるのだろうか?」というご質問です。
結論から申し上げますと、葬儀を行ったかどうかに関わらず、火葬を終えた遺骨を納骨することは全く問題なく可能です。
葬儀は故人を偲び、見送るための儀式であり、法的な義務ではありません。
一方、納骨は火葬後の遺骨を墓地や納骨堂などの施設に収蔵することで、こちらは「墓地、埋葬等に関する法律」に基づいて行われます。
つまり、葬儀と納骨は法律上、別の行為として扱われているのです。
現代社会では家族の形やライフスタイルが多様化し、供養のあり方も変化しています。
それに伴い、葬儀の形式も自由になってきており、葬儀を行わないという選択も広く受け入れられるようになっています。
重要なのは、形式にとらわれず、故人を弔う遺族の気持ちと、法律に基づいた適切な手続きを行うことです。
「葬儀なし」とはどのような形式か?直葬や火葬式について
「葬儀なし」という言葉で一般的にイメージされるのは、「直葬(ちょくそう)」や「火葬式(かそうしき)」と呼ばれる葬儀形式です。
これは、お通夜や告別式といった儀式を一切行わず、ご逝去から24時間以上経過した後に、直接火葬場へ搬送して火葬を行う最もシンプルな見送り方です。
病院などでお亡くなりになった場合、まず安置施設や自宅へ搬送し、その後、火葬の日時を決めます。
火葬当日は、ごく限られた近親者のみが火葬場に集まり、炉の前で最後のお別れを済ませ、火葬に立ち会います。
宗教的な儀式はほとんど行われないか、行われたとしてもごく簡略的な読経のみとなることが多いです。
費用が抑えられること、短時間で済むこと、参列者への配慮が少なくて済むことなどがメリットとして挙げられます。
しかし、故人との別れをゆっくりと惜しむ時間が少なくなってしまうことや、親族の中に「きちんと葬儀をしてあげたかった」という気持ちを持つ方がいる可能性も考慮する必要があります。
直葬や火葬式は、あくまで葬儀という儀式を省略するものであり、その後の火葬や納骨といった流れは、一般的な葬儀を行った場合と同様に進めることができます。
なぜ葬儀をしない選択が増えているのか?多様化する供養の形
近年、直葬や火葬式といった「葬儀なし」の選択肢が増えている背景には、いくつかの要因があります。
最も大きな理由の一つは、経済的な負担の軽減です。
一般的な葬儀には高額な費用がかかることが多く、遺された家族にとって大きな負担となることがあります。
シンプルな形式を選ぶことで、その負担を大幅に減らすことができます。
また、少子高齢化や核家族化が進み、親族や地域とのつながりが希薄になっていることも影響しています。
多くの参列者を呼んで大々的な葬儀を行う必要性を感じない、あるいは参列者を集めることが難しいといった事情がある場合もあります。
さらに、故人自身が「派手な葬儀はしたくない」「家族に負担をかけたくない」と生前に希望していたケースも増えています。
自分らしい最期を迎えたい、というエンディングノートの普及なども、こうしたニーズを後押ししています。
価値観の多様化も大きな要因です。
従来の形式にとらわれず、故人や遺族にとって本当に大切なこと、例えば故人を静かに見