「もしもの時」に備えて、元気なうちに葬儀のことを考えておきたい。
そう思っても、「具体的に何を考えればいいんだろう？」「葬儀社に相談に行くのはまだ早いかな？」と、なかなか行動に移せない方は多いのではないでしょうか。
インターネットで情報を集めてみても、専門用語が多くて分かりにくかったり、自分に合った情報が見つけられなかったりすることも。
そんな時、頼りになるのが葬儀の事前相談です。
しかし、いざ相談に行こうと思っても、「どんなことを話すのかな？」「何か準備は必要？」と不安になりますよね。
この記事では、葬儀事前相談で話す内容まとめと準備について、分かりやすく丁寧にご説明します。
事前相談をスムーズに進めるための具体的な準備や、相談する際に確認しておきたいこと、そして意外と知られていない一次情報としてのポイントまで、詳しく掘り下げていきますので、ぜひ最後までお読みください。
この記事を読めば、事前相談への一歩を踏み出す勇気が湧き、あなたらしいお見送りの形を見つけるための大きなヒントが得られるはずです。
葬儀の事前相談を始める前に知っておきたいこと
事前相談が今、必要とされる背景
かつて葬儀は、地域や親戚の慣習に沿って行われることが一般的でした。
しかし、核家族化や少子高齢化が進み、地域との繋がりが薄れる中で、葬儀に関する知識や経験を持つ人が減っています。
また、葬儀の形式も多様化しており、一般葬だけでなく、家族葬、一日葬、直葬など、様々な選択肢があります。
こうした変化に伴い、「自分たちの希望に沿った葬儀を行いたい」「残された家族に負担をかけたくない」と考える方が増え、事前に情報収集したり、葬儀社に相談したりすることの重要性が高まっているのです。
特に、ご自身の最期について具体的に考え始めた方や、離れて暮らす家族がいる方にとって、元気なうちに葬儀の意向を伝えておくこと、そして専門家である葬儀社の意見を聞いておくことは、万が一の際に慌てないための安心材料となります。
インターネットで情報が氾濫する現代だからこそ、信頼できる情報源として、実際に葬儀社に足を運んだり、オンラインで相談したりすることの価値が見直されています。
事前相談で得られる安心感と具体的なメリット
葬儀の事前相談には、多くのメリットがあります。
最も大きなメリットの一つは、費用に関する不安を解消できることです。
葬儀にはまとまった費用がかかりますが、事前に相談することで、葬儀の形式ごとの費用の目安や、含まれるサービス、追加でかかる可能性がある費用などを具体的に把握できます。
複数の葬儀社に見積もりを依頼すれば、比較検討して納得のいく価格で契約することも可能です。
また、希望する葬儀の形式や内容を具体的に伝え、それが実現可能か、費用はどのくらいかかるのかなどを相談できるため、「こんなはずじゃなかった」という後悔を防ぐことができます。
例えば、「音楽が好きだから、葬儀で好きな曲を流したい」「無宗教で見送ってほしい」といった個人的な希望も、事前に相談することで葬儀社がどのように対応してくれるかを知ることができます。
さらに、残される家族にとっては、故人の意思があらかじめ分かっていることで、葬儀の準備を進める上での精神的な負担が大きく軽減されます。
「故人はこうしてほしかったんだ」という確かな情報があることは、悲しみの中でも冷静に手続きを進めるための支えとなるのです。
このように、事前相談は費用面、内容面、そして心理面において、本人にも家族にも大きな安心をもたらします。
事前相談の「誤解」を解き、安心して臨むために
葬儀の事前相談に対して、「縁起が悪い」「まだ早い」といったネガティブなイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これは大きな誤解です。
事前相談は、決して死を待つための行為ではなく、「人生の終え方」について、自分らしい選択をするための前向きな活動です。
終活の一環として、遺言や相続、身辺整理などと並行して行う方も増えています。
「まだ元気なのに相談なんて…」とためらわれるかもしれませんが、元気で判断能力がはっきりしているうちにこそ、ご自身の意思を正確に伝え、納得のいく形で相談を進めることができます。
病気になってからや、急な事態が起きてからでは、十分な検討をする時間や心の余裕がなくなってしまう可能性が高いのです。
また、「相談したら契約しないといけないのでは？」と心配される方もいますが、多くの葬儀社では、事前相談はあくまで情報提供の場であり、その場で契約を迫られることはありません。
気軽に話を聞くだけでも大丈夫なのです。
むしろ、複数の葬儀社に相談して、比較検討することが推奨されています。
このように、事前相談は誰でも気軽に利用できる、未来への準備であり、決して特別なことではありません。
これらの誤解を解き、「自分の希望を伝える場」「家族への思いやりを行動に移す場」として捉えることで、安心して事前相談に臨むことができるでしょう。
葬儀の事前相談で具体的に「何を」「どう」話すか
葬儀の形式や規模、場所に関する希望を伝える
葬儀の事前相談で、まず最初に話す内容として重要なのが、希望する葬儀の形式です。
近年は多様化が進んでおり、従来のような会葬者を多く招く一般葬のほか、家族やごく親しい友人のみで行う家族葬、通夜を行わず告別式と火葬を一日で行う一日葬、通夜や告別式を行わず火葬のみを行う直葬（火葬式）などがあります。
それぞれ特徴や費用、流れが大きく異なるため、ご自身の考えや、参列してほしい人の数などを考慮して、希望する形式を伝えます。
「家族葬を希望しているけれど、親戚付き合いもあるので、どのくらいの規模になりそうか」「一日葬と家族葬で迷っているが、それぞれのメリット・デメリットを教えてほしい」といった具体的な質問をすると、葬儀社もより的確な情報を提供できます。
また、葬儀を行う場所についても希望があれば伝えます。
自宅、葬儀社の式場、斎場、寺院など、選択肢は様々です。
希望する場所の空き状況や、ご自身の住んでいる地域で利用できる施設、それぞれの特徴（収容人数、設備など）について質問してみましょう。
「自宅からの距離が近い式場がいい」「駐車場の広い場所が良い」など、具体的な条件を伝えることで、葬儀社から適切な提案を受けることができます。
形式、規模、場所は、葬儀全体の骨子となる部分ですので、まずはこの点を重点的に話し合うと良いでしょう。
費用や支払い方法について具体的に確認する
葬儀費用は、事前相談で多くの方が最も関心を持つ点の一つです。
葬儀費用は、葬儀の形式や規模、内容によって大きく変動するため、漠然とした不安を抱えている方も少なくありません。
事前相談では、希望する形式に基づいた具体的な見積もりを出してもらい、その内容を詳しく確認することが非常に重要です。
見積もりには、葬儀に必要な基本的な項目（搬送費、安置費用、棺、骨壺、祭壇、人件費など）が含まれているか、またオプションとしてどのようなものがあるかを確認します。
特に注意したいのが、「見積もりに含まれていない費用」について具体的に質問することです。
例えば、お布施などの宗教者へのお礼、飲食接待費（通夜振る舞い、精進落とし）、返礼品費用、火葬料金、式場使用料などが、見積もり本体とは別に必要となるケースがあります。
これらの費用を含めた総額がどのくらいになるのか、目安でも構わないので把握しておくことが大切です。
さらに、支払い方法や支払い時期についても確認しておきましょう。
「現金払いのみなのか、クレジットカードや振込も可能か」「いつまでに支払う必要があるのか」などを事前に知っておくことで、万が一の際に慌てずに済みます。
提携しているローンや分割払い制度があるかどうかも、必要に応じて質問してみると良いでしょう。
費用についてオープンに話し合い、不明な点は遠慮なく質問することが、後々のトラブルを防ぐ鍵となります。
故人らしさを反映させるためのアイデアを相談する
近年は、「故人らしいお見送り」を重視する方が増えています。
形式的な葬儀だけでなく、故人の個性や人生を反映させた温かい葬儀にしたいという希望があれば、ぜひ事前相談で具体的に伝えてみましょう。
例えば、故人が好きだった音楽を流したい、趣味で集めていたものを飾りたい、故人の好物だったものを参列者に振る舞いたい、といった希望です。
「父は釣りが好きだったので、釣具を飾ることはできますか？」「母が好きだったクラシック音楽を流したいのですが、著作権などの問題はありますか？」など、具体的なアイデアを相談することで、葬儀社から実現可能な方法や、より良い演出の提案を受けることができます。
また、祭壇の飾り付けや、供花の種類、遺影写真の選び方などについても相談できます。
遺影写真は、葬儀社に相談する際に「どんな写真が良いか」「いつ頃の写真を用意しておくと良いか」といったアドバイスをもらうと、準備がスムーズに進みます。
意外と知られていない一次情報として、最近では故人の生前の映像を編集して上映したり、思い出の品々を展示するスペースを設けたりするサービスを提供している葬儀社もあります。
「人生のストーリーを映像で振り返る演出は可能ですか？」「故人の作品を展示したいのですが、スペースは確保できますか？」など、踏み込んだ質問をしてみることで、よりパーソナルな葬儀を実現するための選択肢が広がるでしょう。
故人らしさを追求することは、残された家族や友人にとっても、故人を偲ぶ大切な時間となります。
家族や親族への連絡、喪主の役割について確認する
葬儀は、ご自身の死後に残された家族が進めるものです。
そのため、事前相談でご自身の希望を伝えるだけでなく、家族や親族にどのように連絡するか、そして誰が喪主を務めるかといった点についても、相談しておくと安心です。
例えば、「危篤になった場合、誰に一番に連絡してほしいか」「遠方の親戚にはいつ頃連絡を入れるのが良いか」「連絡先リストをどこに保管しておくか」といった具体的な取り決めについて、葬儀社にアドバイスを求めることができます。
多くの葬儀社では、訃報連絡のタイミングや文面についてもサポートしてくれます。
また、喪主は葬儀の中心的な役割を担いますが、「誰に喪主をお願いしたいか」「喪主以外に、葬儀の進行をサポートしてくれる人は必要か」といった点も、事前に考えておくと良いでしょう。
「もし配偶者が喪主を務めるのが難しい場合、子供や他の親族に頼んでも良いか」「喪主の役割は具体的にどのようなものか」といった疑問があれば、相談時に解消しておきましょう。
一人暮らしの方や、近くに頼れる家族がいない場合は、生前に葬儀社と契約を結び、死後の手続きや葬儀の手配を依頼する「生前契約」
