近しい方が亡くなられたという知らせを受け、弔いの気持ちを持って葬儀やお通夜に参列される際、メイクについて悩む方は少なくありません。
普段のメイクとは違う、葬祭の場にふさわしいメイクとはどのようなものなのでしょうか。
故人やご遺族への敬意を示すためにも、華美になりすぎず、清潔感のある控えめなメイクを心がけることが大切です。
しかし、具体的にどこまでなら許されるのか、どんな点に注意すべきなのか、迷ってしまうこともありますよね。
この記事では、葬祭に参列する際のメイク基本とマナーについて、具体的な方法や注意点を詳しく解説します。
大切な場面で失礼なく、落ち着いて故人をお見送りできるよう、ぜひ参考にしてください。
葬祭メイクの基本ルールとマナー
葬祭の場でのメイクは、日常生活や慶事のメイクとは大きく異なります。
最も重要なのは、華やかさや個性を主張するのではなく、弔意を表し、故人やご遺族に配慮した控えめな印象に仕上げることです。
基本的には「メイクをしているかどうかわからない」くらいのナチュラルさが理想とされています。
具体的には、肌の色ムラを整え、健康的に見えないほどの血色感を抑え、目元も涙で崩れても目立ちにくいシンプルなものを選びます。
使用するアイテムの色味は、ベージュ、ブラウン、グレーなど、落ち着いたトーンが基本です。
ラメやパール、強い発色のものは避け、マットな質感のものを選ぶと良いでしょう。
また、香りの強い化粧品や香水も、周囲の方への配慮として控えるのがマナーです。
清潔感を第一に、控えめで落ち着いた印象を目指すことが、葬祭メイクの基本ルールと言えます。
この基本を押さえることで、故人を偲ぶ大切な時間を、心穏やかに過ごす準備が整います。
控えめな印象を与えるベースメイクの作り方
葬祭メイクにおけるベースメイクは、厚塗りにならず、肌の色ムラやクマを自然にカバーしつつ、マットな質感に仕上げることが重要です。
ツヤ感のある仕上がりは、華やかな印象を与えてしまうため避けるべきです。
まず、スキンケアで肌を整えたら、化粧下地を顔全体に薄く均一に塗ります。
肌のトーンを補正したい場合は、コントロールカラーではなく、肌色に近い補正効果のある下地を選びましょう。
次に、ファンデーションはリキッドタイプやクリームタイプを少量手に取り、顔の中心から外側に向かって薄く伸ばします。
スポンジを使うと、余分な油分を吸い取り、よりマットで均一な仕上がりになります。
気になるシミやクマは、コンシーラーを少量だけ使い、指の腹や小さなブラシで丁寧に馴染ませてカバーします。
この時、厚塗りするとかえって目立ってしまうため、隠したい部分だけにピンポイントで乗せ、境目をぼかすように優しく馴染ませるのがコツです。
最後に、フェイスパウダーをブラシでふんわりと顔全体に乗せ、テカリを抑え、肌表面をサラサラに仕上げます。
特にTゾーンや頬の高い位置など、皮脂が出やすい部分はしっかりとパウダーを乗せておくと、メイク崩れを防ぐ効果も期待できます。
普段ツヤ肌が好きでクッションファンデーションを使っている方でも、フェイスパウダーをいつもよりもしっかりめに乗せることで、マットな質感に近づけることができます。
特別なファンデーションを用意する必要はなく、手持ちのアイテムを工夫して使うことが可能です。
涙を想定した崩れにくいアイメイクのポイント
葬祭の場では、予期せず涙を流してしまうことがあります。
そのため、アイメイクは涙に強く、崩れても目立ちにくいように仕上げることが非常に重要です。
まず、アイシャドウは、肌馴染みの良いマットなベージュやライトブラウン、グレー系を選びます。
ラメやパール入りのものは、涙で流れた際にキラキラと目立ってしまうため絶対に避けましょう。
アイシャドウを塗る範囲も控えめに、まぶた全体に薄くグラデーションを作る程度に留めます。
アイラインは、引かないか、引くとしてもまつ毛の隙間を埋める程度のインラインに留めるのが基本です。
目尻を跳ね上げたり、太く引いたりするのは避け、あくまで自然に目のフレームを強調する程度にします。
使用するアイライナーは、にじみにくいウォータープルーフタイプを選びましょう。
マスカラも、使用する場合はボリュームタイプやロングタイプではなく、自まつ毛を自然にセパレートさせる程度のクリアタイプか、控えめなブラックを一度塗りする程度にします。
涙で濡れてもパンダ目にならないよう、ウォータープルーフタイプを選ぶのが賢明です。
下まつ毛には塗らない方が、涙で崩れた際のリスクを減らせます。
もし涙を流してしまった場合は、指でこすらず、清潔なティッシュやハンカチで目頭や目尻を優しく押さえるように水分を吸い取りましょう。
強くこするとメイクが崩れるだけでなく、肌への負担にもなります。
涙を拭いた後に、小さな鏡を見ながら、もし可能であればフェイスパウダーを少量乗せて整えることで、崩れを最小限に抑えることができます。
血色感を抑えたリップとチークの選び方
葬祭メイクでは、健康的な血色感を出すためのリップやチークも、普段とは異なる配慮が必要です。
基本的に、顔色が悪く見えない程度に、ごく自然な色味を選ぶのがマナーです。
チークは、血色を良く見せるためのものではなく、顔色が悪く見えすぎないようにするためのものと考えましょう。
使用する色は、肌馴染みの良いベージュや、ほんのりとしたローズ系など、彩度が低くマットな質感のものを選びます。
明るすぎるピンクやコーラル、オレンジ系は避けましょう。
入れる位置も、頬の高い位置に丸く入れるのではなく、頬骨に沿って斜めに淡く入れるか、もしくは入れないという選択肢もあります。
ごく少量を大きなブラシに取り、頬に乗せる前にティッシュで余分な粉を払ってから、肌にフワッと乗せるようにすると、自然な仕上がりになります。
リップも同様に、強い発色のものやツヤのあるグロス
