仕事中に突然、訃報の連絡が入ることは誰にでも起こり得ます。
予期せぬ出来事に動揺しつつも、「すぐに駆けつけたい」「でも、どんな服装で行けばいいんだろう?」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
特に、仕事着のまま参列する場合、普段のビジネススタイルで失礼にあたらないか不安になりますよね。
この記事では、仕事中に葬儀に参列服装は?という疑問にお答えするため、急な訃報を受けた際に失礼なく参列できる服装のマナーや、手持ちの仕事着で対応する際の具体的なポイントを男女別にご紹介します。
もしもの時に慌てないための準備や、服装以外に気をつけたいマナーについても解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
仕事中に葬儀へ!急な訃報に慌てない服装の基本マナー
通夜と告別式、それぞれの服装マナー
急な訃報を受けて葬儀に参列する場合、まず知っておきたいのが通夜と告別式で服装マナーが少し異なる場合があるということです。
厳密には、通夜は本来、故人の霊前で夜通し冥福を祈る儀式であり、急な知らせを受けて駆けつけるという意味合いが強いため、「取り急ぎ駆けつけました」という意味で略喪服や地味な平服でも良いとされてきました。
一方、告別式は故人に最後の別れを告げ、弔うための儀式であり、よりフォーマルな装いである正喪服や準喪服を着用するのが一般的です。
しかし、現代では通夜に参列する方の多くが告別式にも参列できない事情があるため、通夜に弔問客が多く集まる傾向にあります。
そのため、通夜でも告別式でも、喪服を着用することが一般的になりつつあります。
特に、仕事中に急な連絡を受けて駆けつける場合、事前に喪服を準備していることは稀でしょうから、通夜に参列するのであれば、まずは手持ちの仕事着で可能な限り失礼のない服装を整えることが重要です。
告別式に参列する場合は、可能であれば準喪服を用意するのが望ましいですが、難しい場合は通夜と同様に略喪服や、それに準ずる地味な服装で参列することになります。
どちらの場合でも、最も大切なのは故人を悼み、遺族に寄り添う気持ちです。
服装はあくまでその気持ちを表す手段の一つであることを忘れないようにしましょう。
葬儀社の知人から聞いた話では、最近は家族葬が増えていることもあり、参列者も以前よりは略式になる傾向があるそうですが、それでも最低限の喪服やそれに準ずる服装が求められる場面が多いとのことです。
仕事着(ビジネススーツ)で参列する場合の注意点
仕事中に急に訃報を受け、そのまま葬儀(特に通夜)に駆けつける場合、手持ちのビジネススーツで代用せざるを得ない状況はよくあります。
この際、どのような点に注意すれば失礼にあたらないでしょうか。
まず、ビジネススーツの色は、黒、濃紺、ダークグレーといった地味な色を選ぶのが基本です。
特に黒のビジネススーツは、略喪服としても通用しやすい色なので、もし持っていれば最適です。
濃紺やダークグレーでも、可能な限り黒に近い、暗い色合いのものを選びましょう。
明るい色や派手な柄のスーツは、弔いの場には不適切なので避けてください。
スーツのデザインも、華美な装飾がなく、シンプルなものを選びます。
ストライプ柄やチェック柄などのビジネスライクな柄は、目立たないものであれば許容される場合もありますが、基本的には無地が最も無難です。
また、素材にも注意が必要です。
光沢のある素材や、カジュアルすぎる素材は避けましょう。
例えば、サテンのような光沢のある生地や、普段使いのカジュアルなジャケットなどは弔問着としては適していません。
急な訃報で手持ちの黒や濃紺のスーツがない場合、やむを得ずそれ以外の色合いのスーツで参列することもあるかもしれません。
その場合は、後述するシャツやネクタイ、小物類を全て黒で統一することで、全体のトーンを抑え、落ち着いた印象に近づける努力をすることが大切です。
以前、取引先の葬儀に急遽駆けつけた同僚が、黒のビジネススーツに派手な色の靴下を履いてきてしまい、後で上司に注意されていたことがありました。
このように、スーツだけでなく、合わせるアイテム全てに気を配る必要があります。
これだけは知っておきたい!NGな服装と小物
葬儀の場では、故人を偲び、遺族への配慮を示すことが最も重要です。
そのため、服装や持ち物にも一定のマナーがあります。
特に仕事着で参列する際には、普段のビジネスシーンでは問題なくても、弔事の場では不適切とされるアイテムがあるので注意が必要です。
絶対に避けたいのは、派手な色や柄の服装、光沢のある素材、アニマル柄、露出の多い服です。
例えば、明るい色のシャツやブラウス、カラフルなネクタイ、派手な柄のワンピースなどはマナー違反です。
女性の場合、ミニスカートやノースリーブ、胸元が大きく開いたデザインの服も避けましょう。
アクセサリーについても、光るものや華美なものは基本的にはNGです。
結婚指輪や、女性の場合は一連の真珠のネックレス程度にとどめるのが一般的です。
キラキラした宝石類や、二連以上のネックレスは「不幸が重なる」という意味合いを連想させるため避けるべきとされています。
バッグや靴にも注意が必要です。
明るい色や派手なデザインのバッグ、金具が大きいバッグ、アニマル柄やエナメル素材のバッグは避けましょう。
靴も、ミュールやサンダル、スニーカーなどのカジュアルなもの、明るい色のもの、エナメル素材のものは不適切です。
靴下やストッキングも、男性は黒の無地、女性は黒の薄手のストッキングが基本です。
白い靴下や柄物のストッキングは避けましょう。
また、毛皮製品や革製品(殺生を連想させるため)も、コートやバッグ、靴であっても避けるのが望ましいとされていますが、ビジネスバッグや革靴に関しては許容される場合が多いです。
しかし、アニマル柄やクロコダイル柄などは明らかにNGです。
服装以外では、派手なメイクや香水も控えるのがマナーです。
弔問客としての立場をわきまえ、地味で控えめな装いを心がけることが何よりも大切です。
【男女別】仕事着から葬儀へ!失礼にならない服装のポイント
男性が気をつけたいスーツ、シャツ、ネクタイ、靴の選び方
男性が仕事中に急な訃報を受け、そのまま葬儀に参列する場合、手持ちのビジネススーツをどう着こなすかが重要になります。
まずスーツですが、可能な限り黒、濃紺、ダークグレーといった地味な色の無地のものを選びましょう。
黒のビジネススーツがあれば最も適しています。
ストライプやチェック柄は、目立たない細いものであれば許容されることもありますが、無地が最も無難です。
シャツは、白無地のレギュラーカラーまたはワイドカラーのワイシャツを選びます。
ボタンダウンのシャツはカジュアルな印象を与えるため避けるべきです。
また、色柄物やストライプのシャツも不適切です。
ネクタイは、黒無地のネクタイを着用します。
光沢のない素材のものが望ましいです。
急な場合は、コンビニエンスストアなどでも黒いネクタイが手に入ることもありますが、質感などを考慮すると事前に準備しておくのが安心です。
ネクタイピンは基本的に使用しません。
靴下は、黒無地のビジネスソックスを選びます。
くるぶし丈のソックスや派手な柄のソックスは絶対に避けましょう。
靴は、黒色の革靴で、紐で結ぶタイプの内羽根式か外羽根式のプレーンなデザインが基本です。
金具の少ないものを選び、光沢のあるエナメル素材やカジュアルなローファー、スニーカーなどは避けてください。
ベルトも靴の色に合わせて黒色のシンプルなものを選びます。
葬儀社のスタッフに聞いた話ですが、急な参列でビジネススーツを着用する方は多いものの、意外と見落としがちなのが靴下や靴だそうです。
スーツが地味でも、足元がカジュアルだったり派手だったりすると、全体の印象が崩れてしまうため、細部にまで気を配ることが大切だとアドバイスをいただきました。
女性が気をつけたいスーツ、インナー、ストッキング、靴、バッグの選び方
女性が仕事中に急な葬儀に参列する場合、男性と同様に手持ちのビジネススーツで対応することが多いでしょう。
女性の場合、スーツは黒、濃紺、ダークグレーといった地味な色のパンツスーツまたはスカートスーツを選びます。
スカート丈は膝が隠れる長さが適切です。
タイトすぎるスカートや、フレアが広がりすぎるデザインは避けましょう。
インナーは、白または黒の無地のブラウスやカットソーを選びます。
首元が詰まったデザインのものがより丁寧な印象を与えます。
胸元が大きく開いたものや、レースなどの装飾が多いものは避けてください。
ストッキングは、黒の薄手のものを着用します。
夏場でも素足は厳禁です。
厚手のタイツや柄物のストッキング、肌色のストッキングは避けましょう。
靴は、黒色のプレーンなパンプスが基本です。
ヒールの高さは3~5cm程度の歩きやすいものが適しています。
ピンヒールや太すぎるヒール、ミュール、サンダル、ブーツ、スニーカーは不適切です。
バッグは、黒色の布製または革製のシンプルなデザインのものを選びます。
金具が少なく、光沢のない素材のものが望ましいです。
ブランドロゴが大きく入ったものや、アニマル柄、エナメル素材のバッグは避けましょう。
サブバッグが必要な場合も、同様に黒色の地味なものを選びます。
アクセサリーは、結婚指輪以外は基本的に外すのがマナーですが、女性の場合は一連の真珠のネックレスやイヤリング(揺れないタイプ)は許容されることが多いです。
ただし、二連以上のネックレスや、光る宝石類は避けましょう。
メイクは控えめに、髪は長い場合は一つにまとめるなど、清潔感のある落ち着いた印象を心がけましょう。
急な訃報で黒のビジネススーツがない場合でも、濃紺やダークグレーのスーツに、インナーや小物類を全て黒で統一することで、弔事の場にふさわしい落ち着いた装いに近づけることができます。
私の知人は、急な通夜のために会社の近くの商業施設で黒いワンピースとジャケットを慌てて購入したそうですが、サイズが合わなかったり、生地が安っぽかったりして後悔していました。
やはり、できる範囲で事前に準備しておくことの重要性を感じたそうです。
冬場や夏場、季節ごとの服装はどうする?
葬儀は季節に関わらず行われますが、冬場や夏場は服装に悩むこともあります。
特に仕事着で参列する場合、季節感を考慮しつつマナーを守る必要があります。
冬場に葬儀に参列する場合、コートを着用します。
コートの色は、黒、濃紺、ダークグレーといった地味な色を選びます。
明るい色や派手な柄、毛皮のコートは避けましょう。
素材はウールやカシミヤなどが一般的です。
コートは斎場や葬儀会場に入る前に脱ぐのがマナーです。
マフラーや手袋も同様に地味な色を選び、会場に入る前に外します。
男性はスーツの下に薄手のセーターやカーディガンを着ることで防寒対策ができますが、脱いだ時に失礼にならないよう、スーツの色に合わせた地味な色を選びましょう。
女性もスーツの下に暖かいインナーを着たり、パンツスーツを選んだりすることで寒さをしのげます。
夏場に葬儀に参列する場合でも、原則としてジャケットを着用するのがマナーです。
ただし、あまりにも暑い場合は、通夜であればジャケットを脱いでも許容されることがありますが、告別式ではジャケット着用が基本です。
男性は夏用の裏地のない薄手のスーツ、女性は夏用のワンピースにジャケットを羽織るスタイルが一般的です。
シャツやブラウスは、半袖でも構いませんが、肌の露出は控えめにします。
夏場でも素足は厳禁であり、女性は必ず黒の薄手のストッキングを着用します。
汗対策として、替えのシャツやハンカチを準備しておくと安心です。
葬儀社のスタッフの方によると、夏場は熱中症のリスクもあるため、無理のない範囲で服装を調整することも大切だそうです。
ただし、最低限のフォーマルさは保つように心がけましょう。
季節に関わらず、服装に迷った場合は、濃い色の無地のスーツに、黒の小物で統一するスタイルが最も無難です。
急な葬儀参列でも大丈夫!もしもの時のための準備と対応
事前に準備しておくと安心なこと
仕事中に突然の訃報を受けることは、誰にでも起こり得ます。
いざという時に慌てないためには、日頃から少しだけ準備をしておくと安心です。
まず、最も重要なのは礼服(喪服)を一着準備しておくことです。
急な通夜であればビジネススーツで代用も可能ですが、告別式に参列する場合や、故人や遺族との関係性が深い場合は、やはり礼服を着用するのがマナーです。
男性であればブラックスーツ、女性であればブラックフォーマルと呼ばれるワンピースやアンサンブルです。
これらを一着持っておけば、急な場合でも対応できます。
また、礼服に合わせる小物一式(男性なら黒無地のネクタイ、靴下、黒い靴。
女性なら黒いストッキング、黒い靴、黒いバッグ、必要であれば真珠のネックレス)もまとめて保管しておくと、いざという時に探す手間が省けます。
私自身、以前は礼服を持っていませんでしたが、知人の葬儀に急遽参列することになり、慌てて準備した経験があります。
その時に、あらかじめ準備しておくことの重要性を痛感しました。
最近では、礼服のレンタルサービスも増えており、急ぎで手配することも可能です。
会社の慶弔規定を確認しておくことも大切です。
会社によっては、忌引き休暇の制度や、弔慰金の支給などがあります。
また、社員の弔事に際しての服装に関する規定がある場合もあります。
これらの情報を事前に把握しておけば、いざという時にスムーズに対応できます。
さらに、もしもの時のために、お付き合いのある葬儀社の連絡先や、親族の連絡先などをすぐに確認できる場所にまとめておくことも有効です。
これらの準備をしておくことで、急な訃報に動揺しつつも、落ち着いて行動することができるでしょう。
仕事中に訃報を受けたらどうする?
仕事中に突然、訃報の連絡が入った場合、まずは落ち着いて状況を確認することが大切です。
誰の訃報か、通夜や告別式の日程、場所などを正確に聞き取ります。
連絡は電話で受けることが多いでしょうから、メモを取る準備をしておくと良いでしょう。
状況を把握したら、速やかに直属の上司に報告します。
「〇〇(故人の氏名)の訃報を受けました。
つきましては、本日の業務を早退させていただき、葬儀に参列させていただきたく存じます。
」といった形で、簡潔に状況と参列の意向を伝えます。
この際、故人との関係性(親族、友人、取引先など)や、参列する葬儀の種類(通夜、告別式、両方など)も伝えることで、上司も状況を把握しやすくなります。
仕事の状況によっては、すぐに離れることが難しい場合もあるかもしれません。
その場合は、可能な範囲で業務の引き継ぎや、関係者への連絡を行い、周囲に迷惑がかからないように配慮することが重要です。
上司と相談し、参列の可否や、いつから忌引き休暇を取得するかなどを決めます。
もし、どうしてもすぐに参列できない状況であれば、弔電を送ったり、後日改めて弔問に伺ったりするなど、別の方法で弔意を示すことも可能です。
私の経験では、重要な会議中に訃報の連絡が入り、すぐに席を立つことが難しかったことがありました。
その際は、会議後に速やかに上司に報告し、業務の引き継ぎを済ませてから斎場に向かいました。
このように、仕事の状況と弔問の必要性を考慮し、上司と相談しながら適切な対応を取ることが求められます。
会社によっては、慶弔に関する連絡体制が整っている場合もありますので、日頃から確認しておくと良いでしょう。
服装以外に気をつけたいマナーと持ち物
葬儀に参列する際に気をつけたいのは、服装だけではありません。
服装以外にも様々なマナーや、準備しておきたい持ち物があります。
まず、香典(不祝儀袋)の準備です。
急な訃報の場合、香典の準備が間に合わないこともあるかもしれませんが、可能な限り準備して持参するのがマナーです。
金額は故人との関係性や自身の年齢、会社の規定などによって異なります。
不祝儀袋の表書きは「御霊前」とするのが一般的ですが、宗派によって異なる場合もあるので注意が必要です。
お札は新札ではなく、古いお札を使用するのがマナーとされていますが、あまりにも破れていたり汚れていたりするお札は避けるべきです。
香典は袱紗(ふくさ)に包んで持参するのが丁寧な渡し方です。
袱紗の色は紫や紺、グレーなどの地味な色を選びます。
急な場合で袱紗がない場合は、地味な色のハンカチで代用することも可能ですが、やはり正式には袱紗を用意すべきです。
また、数珠(じゅず)も仏式の葬儀には欠かせない持ち物です。
自身の宗派の数珠があればそれを持参し、なければ略式の数珠でも構いません。
数珠は貸し借りするものではないので、持っていない場合は用意しておきましょう。
ハンカチは、白や黒、紺などの地味な色で無地のものを用意します。
涙を拭いたり、手を拭いたりする際に使用します。
最近では、マスクを着用して参列することも一般的になっています。
黒や白のシンプルなデザインのマスクを選びましょう。
携帯電話は、斎場や葬儀会場に入る前に必ずマナーモードに設定し、通話は控えるのがマナーです。
写真撮影も原則として禁止です。
遺族への配慮を忘れず、静かに故人を偲ぶ場であることを意識して行動することが大切です。
まとめ
仕事中に突然の訃報を受け、慌ててしまう中で「どんな服装で参列すれば良いのか」という悩みは多くの方が抱えるものです。
この記事では、仕事中に葬儀に参列する際の