葬儀の流れ通夜当日の動き

突然の訃報に接し、悲しみの中で通夜を迎えることになった時、多くの方が「一体、当日どうすればいいのだろう」と不安に思われることでしょう。
特に、ご遺族として喪主やその近親者という立場であれば、さまざまな対応に追われることになります。
葬儀の流れ通夜当日の動きは、事前に把握しておけば、少しでも落ち着いて故人様との最期の夜を過ごすことができます。
この記事では、通夜当日の朝から式を終えるまで、遺族の方々がどのように動き、どのような点に気を配るべきか、また参列者の立場での一般的な流れについても詳しく解説します。

目次

通夜当日の全体像と遺族の心構え

通夜当日は、朝から夜にかけて慌ただしく時間が過ぎていきます。
前日から葬儀社との打ち合わせを進め、故人様を安置し、納棺を終えている場合が多いですが、当日は通夜式に向けての最終準備と、弔問に訪れる方々への対応が中心となります。
遺族にとって、この日は故人様と過ごす最後の夜であり、同時に多くの方々が弔問に訪れる大切な機会です。
悲しみはもちろん大きいですが、参列してくださる方々への感謝の気持ちを忘れず、落ち着いて対応することを心がけましょう。
通夜当日は、物理的な準備と並行して、心の準備も非常に重要になります。
葬儀社の担当者が常にサポートしてくれますが、主体的に故人様をお見送りするという意識を持つことが、後々の後悔を防ぐことにもつながります。

通夜開始までの準備と確認事項

通夜当日の朝、まずは葬儀社の担当者と一日の流れを再確認します。
会場の設営は葬儀社が進めてくれますが、遺族は控室の準備や、故人様の写真(遺影)の確認、供物や供花の配置確認などを行います。
特に遺影写真は、故人様の人柄が伝わるような、生前の良い表情のものを選んで飾ります。
供物や供花は、喪主や親族、故人様と縁の深かった方々から贈られるもので、これらが間違いなく配置されているか確認することも大切です。
また、弔問客用の返礼品や会葬礼状の数も最終確認します。
返礼品は、弔問客の人数を予測して準備しますが、予備を多めに用意しておくと安心です。
控室では、遺族が着替える場所や休憩スペースを確保し、必要なものが揃っているか確認します。
例えば、着替え、メイク道具、常備薬、携帯電話の充電器など、長時間滞在することを考慮して準備しておきましょう。
葬儀社との打ち合わせでは、通夜式の開始時間、式の流れ、焼香の順番、通夜振る舞いの有無と開始時間などを改めて確認し、不明な点があれば遠慮なく質問しておくことが重要です。

参列者を迎える準備と受付の役割

通夜開始時刻の1時間ほど前から、受付の準備が始まります。
受付は、弔問客をお迎えし、香典を受け取り、記帳をお願いする重要な役割を担います。
一般的には親族や故人様と親しかった友人などが担当します。
受付の設営では、記帳台、筆記用具、香典盆、香典返し(当日返しの場合)、会葬礼状などを準備します。
受付担当者は、弔問客に対して丁寧な言葉遣いを心がけ、「この度はお忙しい中、ありがとうございます」といった挨拶とともに、記帳をお願いし、香典を受け取ります。
香典を受け取る際は、両手で受け取り、一礼するのが丁寧な作法です。
記帳は、芳名帳に住所と氏名を記入していただきます。
受付担当者が事前に役割分担や流れを把握しておくことで、当日の混乱を防ぎ、スムーズな対応が可能になります。
また、弔問客からの質問(例えば、お手洗いの場所や、通夜振る舞いの案内など)にも対応できるように、会場の案内図や通夜式のスケジュールを把握しておくことも大切です。
受付は、遺族に代わって最初に弔問客と接する場所なので、温かい雰囲気でお迎えすることが、故人様への弔意を示すことにもつながります。

通夜式が始まる前の大切な時間

通夜式の開始時刻が近づくと、遺族は控室で身なりを整え、準備を終えます。
この時間帯は、親しい親族が集まり、故人様との思い出を語り合ったり、互いに労り合ったりする大切な時間でもあります。
故人様の傍で静かに手を合わせる時間を持つことも良いでしょう。
また、式の開始前に僧侶が到着されたら、遺族代表として喪主や近親者が挨拶に伺い、お布施を渡すタイミングなどを確認します。
弔問客が早めに到着された場合は、控室や待合スペースで静かに過ごしていただきます。
遺族は、受付の様子を見守りつつ、式の開始を待ちます。
通夜式が始まる前の時間は、故人様との別れを惜しみ、心を落ち着かせるための重要な準備期間です。
この間に、式全体の流れを頭の中でシミュレーションしておくと、いざ式が始まった時に慌てずに済みます。
葬儀社の担当者から最終的な確認事項が伝えられることもあるので、しっかりと耳を傾けましょう。

通夜式の進行と遺族・参列者の動き

通夜式は、故人様の冥福を祈り、別れを惜しむための儀式です。
一般的には僧侶をお招きし、読経や法話が行われます。
式の進行は葬儀社の司会者が務めることが多く、遺族や参列者は司会者の案内に従って行動します。
通夜式の時間は宗派や地域によって多少異なりますが、概ね1時間から1時間半程度で執り行われます。
この間、遺族は最前列に着席し、故人様に最も近い場所で見守ります。
参列者は、血縁の濃い順に前方の席から着席するのが一般的です。
通夜式中は、静粛を保ち、故人様への弔意を表すことが最も重要です。
携帯電話の電源を切るかマナーモードに設定し、私語は慎みましょう。

僧侶の入場から読経、焼香まで

通夜式の開始時刻になると、司会者の案内で僧侶が入場し、祭壇の前に着席します。
続いて、遺族、親族、一般参列者の順に着席します。
僧侶による読経が始まります。
読経は故人様の魂を鎮め、極楽浄土へ導くためのもので、厳粛な雰囲気の中で行われます。
読経の途中、または読経後に焼香が行われます。
焼香は、故人様への弔意を表すための大切な儀式です。
焼香は、一般的に喪主から始まり、遺族、親族、一般参列者の順に行われます。
焼香の作法は宗派によって異なりますが、多くの場合は、香を指でつまみ、額の高さまで上げてから香炉にくべます(おしいただく)。
回数も宗派によって1回だったり3回だったりします。
自分の宗派の作法が分からない場合は、前の人に合わせるか、葬儀社の担当者に尋ねると良いでしょう。
焼香を終えたら、遺影写真に向かって一礼し、遺族にも一礼して自席に戻ります。
焼香は、故人様への最後の挨拶とも言える大切な機会です。
心を込めて行いましょう。

法話や弔電拝読の時間

読経と焼香が終わると、僧侶による法話が行われることがあります。
法話は、仏教の教えや故人様を偲ぶ話など、参列者の心を慰める内容が多いです。
静かに耳を傾けましょう。
その後、弔電の拝読が行われます。
弔電は、通夜や葬儀に参列できない方が、お悔やみの気持ちを伝えるために送る電報です。
司会者が代表的な弔電を読み上げます。
弔電の数が多い場合は、すべてを読み上げず、差出人の氏名だけを紹介することもあります。
法話や弔電拝読は、故人様がどれだけ多くの方に慕われていたかを知る機会でもあります。
故人様との思い出を振り返りながら、耳を傾けましょう。
これらの儀式が終わると、通夜式は閉式となります。
司会者から閉式の挨拶があり、僧侶が退場されます。
遺族は、僧侶が退場される際、起立して一礼するのが丁寧です。

通夜振る舞いへの誘いと過ごし方

通夜式が終了した後、多くの場合「通夜振る舞い」と呼ばれる食事が用意されます。
これは、弔問客への感謝の気持ちを表し、故人様を偲びながら語り合うための場です。
通夜振る舞いへの参加は自由ですが、故人様との生前の交流を振り返り、遺族を慰めるという意味合いもあります。
司会者から通夜振る舞いの案内があったら、会場へ移動します。
通夜振る舞いでは、基本的に着席形式で食事が提供されますが、立食形式の場合もあります。
遺族は、参列者の方々に酌をしたり、お声がけしたりして、感謝の気持ちを伝えます。
しかし、遺族も心身ともに疲れているはずなので、無理に振る舞う必要はありません。
参列者の方も、遺族に長話や込み入った話はせず、故人様の思い出を軽く語る程度に留めるのがマナーです。
通夜振る舞いは、長時間滞在する場ではなく、1時間から2時間程度で切り上げるのが一般的です。
酌をされたら一口いただく程度で、深酒は慎みましょう。
故人様を偲び、参列者同士が静かに語らう時間として過ごすことが大切です。

通夜終了後の対応と翌日に向けた準備

通夜振る舞いが終わり、参列者をお見送りした後も、遺族の仕事は続きます。
通夜振る舞いの会場の後片付けや、葬儀社との翌日の告別式に向けた最終確認などがあります。
また、この時間帯に改めて僧侶とお話しする機会を持つこともあります。
通夜を無事に終えた安堵感とともに、翌日の告別式への準備へと気持ちを切り替える必要があります。
しかし、心身ともに疲労がピークに達している頃なので、無理せず、できることは葬儀社に任せることも大切です。
遺族だけで抱え込まず、親族や信頼できる友人に手伝いを頼むことも遠慮なく考えましょう。

通夜振る舞いの後の片付けと挨拶

通夜振る舞いの会場の片付けは、葬儀社のスタッフが行ってくれる場合がほとんどですが、簡単な後片付けを手伝ったり、残った飲食物の扱いについて葬儀社と相談したりすることがあります。
参列者をお見送りする際は、「本日はお忙しい中、誠にありがとうございました」と丁寧に感謝の気持ちを伝えます。
特に遠方から来てくださった方には、その旨を付け加えて感謝を伝えると良いでしょう。
受付を担当してくれた方々にも、改めてお礼を伝えます。
通夜振る舞いの後の片付けとお見送りは、弔問客への最後の感謝を示す機会です。
丁寧な対応を心がけましょう。
その後、葬儀社の担当者と改めて翌日の告別式のスケジュール、流れ、最終的な参列者数の見込み、弔電の最終確認などを行います。

僧侶への対応とお布施について

通夜終了後、改めて僧侶に挨拶に伺います。
この際、お布施を渡すのが一般的なタイミングです。
お布施は、読経や法話に対する感謝の気持ちとして渡すもので、金額に明確な決まりはありませんが、地域の相場や寺院との関係性によって異なります。
不安な場合は、事前に葬儀社に相談してみましょう。
お布施は、奉書紙や白い封筒に入れ、袱紗(ふくさ)に包んで持参します。
お布施を渡す際は、「本日は丁寧な読経、誠にありがとうございました。
どうぞお納めください」といった言葉を添えて、両手で渡すのが丁寧な作法です。
お布施は、あくまで感謝の気持ちを表すものであり、「支払い」ではありません。
その気持ちを込めて渡しましょう。
また、翌日の告別式での読経時間や注意点などがあれば、この時に確認しておきます。

翌日の告別式に向けて確認すること

通夜が無事に終わったら、翌日の告別式に向けて最終的な確認を行います。
最も重要なのは、告別式の開始時間、集合時間、会場、そして流れの確認です。
葬儀社から改めてスケジュール表を受け取り、遺族や親族間で共有しておきます。
また、告別式で読む弔電を選ぶ必要がある場合は、この時に行います。
多数の弔電がある場合は、故人様との関係性が深い方や、会社関係の代表的なものなどを数通選びます。
翌日の告別式は、故人様との本当の最後のお別れの場です。
必要な持ち物(数珠、ハンカチ、予備のマスクなど)を忘れずに準備しておきましょう。
喪服に乱れがないか確認し、必要であればアイロンをかけておきます。
また、火葬後の会食(精進落とし)の準備や、その後の法要に関する打ち合わせなど、翌日以降の予定についても葬儀社と確認しておくことがあります。
疲れているとは思いますが、翌日を滞りなく迎えるために、最低限の確認は済ませておきましょう。

まとめ

葬儀の流れ通夜当日の動きは、遺族にとっては悲しみの中での慌ただしい一日となります。
朝から通夜式の準備、参列者の対応、通夜式の進行、通夜振る舞い、そしてその後の片付けや翌日の準備と、やるべきことは多岐にわたります。
事前に流れを把握し、葬儀社のサポートを最大限に活用することで、少しでも心穏やかに故人様との最期の時間を過ごすことができるでしょう。
参列者としても、通夜の流れやマナーを知っておくことで、遺族への配慮を示し、故人様を心静かに偲ぶことができます。
この記事が、通夜当日の不安を少しでも和らげ、故人様を心を込めてお見送りするための一助となれば幸いです。

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