葬儀での数珠マナー 正しい持ち方と注意点を解説を選択

葬儀に参列する際、服装や香典など、さまざまなマナーに気を配る必要があります。
その中でも、多くの方が「どうすればいいのだろう?」と悩むのが数珠の扱いです。
お葬式という慣れない場だからこそ、失礼のないように振る舞いたいという気持ちは当然のことでしょう。
この記事では、葬儀での数珠マナー 正しい持ち方と注意点について、基本的なことから宗派による違い、よくある疑問まで、分かりやすく解説します。
数珠は故人を偲び、自身の心を整えるための大切な仏具です。
その意味を知り、正しいマナーを身につけることで、安心して葬儀に臨むことができるはずです。
ぜひ最後までお読みいただき、いざという時に役立ててください。

目次

数珠の基本的なマナーを知る

葬儀に参列するにあたり、数珠は欠かせない仏具の一つです。
しかし、なぜ数珠を持つ必要があるのか、どのような種類があるのか、意外と知らない方も多いかもしれません。
数珠は単なるアクセサリーではなく、古くから仏道修行に用いられてきた大切な道具であり、故人の冥福を祈り、自身の心を清めるという意味合いを持っています。
ここでは、数珠が葬儀で持つ意味や役割、主な種類と宗派による違い、そして自分に合った数珠の選び方と準備について、基本的なマナーを深掘りしていきます。
これらの知識を持つことで、数珠に対する理解が深まり、より一層心を込めて故人を送ることができるでしょう。
数珠は故人への敬意と、自身の信仰心を形にするための大切なアイテムなのです。

数珠が葬儀で持つ意味と役割

数珠は、仏さまの世界と私たちをつなぐ「縁」を結ぶもの、あるいは念仏を唱える回数を数えるための道具として生まれました。
その起源は古く、お釈迦様の時代にまで遡ると言われています。
当時は、数珠の珠を一つずつ手繰りながら念仏を唱えることで、煩悩の数を数え、それを一つずつ断ち切っていくという修行に使われていました。
現代の葬儀においては、念仏の回数を数える本来の役割に加え、故人の冥福を祈る際に、私たちの清らかな心を仏さまに届けるための媒介として考えられています。
また、数珠の珠は煩悩の数である108個が基本とされていますが、これは人間の持つ様々な悩みや苦しみ、迷いを象徴しており、数珠を持つことでそれらの煩悩を静め、心を落ち着かせることができるとされています。
さらに、数珠には魔除けやお守りとしての意味合いもあり、邪気を払い、清らかな心で故人を見送るための力を与えてくれるとも考えられています。
このように、数珠は単なる形式的な持ち物ではなく、故人への追悼の気持ちを深め、自身の心を整えるための、非常に深い意味と役割を持った仏具なのです。
葬儀の場では、この数珠の意味を心に留めながら持つことが大切です。

数珠の主な種類と宗派ごとの違い

数珠には大きく分けて「略式数珠」と「本式数珠」の二種類があります。
略式数珠は珠が一つ輪になっていて、宗派を問わずに誰でも使うことができるため、一つ持っておくと便利です。
珠の数も108個にこだわらず、様々なデザインや素材のものがあります。
男性用は珠が大きく、女性用は珠が小さいのが一般的です。
一方、本式数珠は宗派ごとに形や珠の数が厳密に定められています。
例えば、浄土真宗では「門徒数珠」と呼ばれる独特の形状をしていたり、真言宗では両手に通して持つ形状であったりします。
浄土宗では二つの輪が連なった特徴的な数珠を用い、念仏の回数を数えやすいように工夫されています。
日蓮宗では木剣のような形をした房がついていることもありますし、曹洞宗や臨済宗では「看経数珠」と呼ばれるシンプルな数珠を使うことが多いです。
天台宗の数珠は平たい珠が特徴です。
このように、本式数珠は宗派の教えに基づいた深い意味が込められています。
もしご自身の宗派が分かっている場合は、その宗派の本式数珠を持つのが最も丁寧な作法とされますが、宗派が分からない場合や、故人の宗派に合わせたいけれど数珠がない場合は、略式数珠を持つのが一般的で失礼にはあたりません。
むしろ、数珠を持たずに参列する方がマナー違反とされることが多いので、略式数珠を一つ準備しておくことをお勧めします。
故人の宗派に合わせる必要はありませんが、もし故人の宗派の本式数珠を持っている場合は、そちらを使っても良いでしょう。

自分に合った数珠の選び方と準備

自分に合った数珠を選ぶことは、長く大切に使うためにも重要です。
まず、男性用と女性用で珠の大きさが異なります。
男性用は一般的に10mmから18mm程度の大きな珠が使われ、女性用は6mmから8mm程度の小さな珠が使われます。
これは手の大きさに合わせて持ちやすくするためです。
次に素材ですが、菩提樹や黒檀、紫檀といった木の素材は古来より数珠に使われており、使い込むほどに手に馴染み、味わいが増します。
天然石では水晶や瑪瑙、珊瑚、真珠などがあり、それぞれに意味合いや浄化の力があるとされています。
価格帯は素材や加工によって幅広く、数千円のものから数十万円、数百万円するものまであります。
初めて数珠を持つ場合は、落ち着いた色合いの木の素材や天然石の略式数珠を選ぶのが無難でしょう。
色は派手なものは避けるのがマナーとされていますが、女性用であれば淡いピンクや藤色、水晶など、落ち着いた色味のものであれば問題ありません。
数珠は一生ものとして考えられることも多く、親から子へ譲り受けることもあります。
親御さんから譲り受けた数珠がある場合は、それを使うのが故人にとっても喜ばしいことでしょう。
もし新しく購入する場合は、仏具店やデパートの仏具売り場、最近では信頼できるネット通販などでも購入できます。
実際に手に取って、重さや感触、房の形などを確認できる仏具店での購入がおすすめです。
急な訃報に備えて、事前に一つ準備しておくと安心です。

葬儀での数珠の正しい持ち方と使い方

数珠を持っていても、葬儀の場でどのように扱えば良いのか迷う方は少なくありません。
立っている時、座っている時、そしてお焼香やお参りの際など、状況によって数珠の持ち方にはいくつかの基本的なルールがあります。
また、使わない時の数珠の置き場所にも配慮が必要です。
これらのマナーを知っておくことで、落ち着いて故人を偲び、葬儀に集中することができます。
ここでは、様々なシーンにおける数珠の正しい持ち方や使い方、そして数珠を置く場所やしまい方について、具体的に解説していきます。
正しい数珠の扱い方は、故人や遺族への敬意を示す大切な行為です。
ぜひこの機会にマスターしておきましょう。

立っている時・座っている時の数珠の持ち方

葬儀に参列している間、数珠は基本的に左手で持つのが正しい持ち方です。
これは、左手は仏様の清浄な世界、右手は私たちの俗世を表すと考えられているため、清浄な左手で持つことで煩悩にまみれた右手を清めるという意味があるからです。
立っている時も座っている時も、数珠は左手の親指以外の指にかけ、房を下にして持つのが一般的な作法です。
この時、数珠をぶらぶらさせたり、床に引きずったりしないように注意しましょう。
合掌する際は、両手の親指と人差し指の間にかけるのが基本です。
珠が下に来るようにし、房は合掌した手の下に垂らします。
この持ち方は、宗派を問わず略式数珠を使う場合の一般的な作法です。
ただし、宗派によっては合掌時に数珠をかけない、あるいは特定の持ち方をする場合があります。
例えば、浄土真宗では合掌時に数珠をかけず、左手に持ったまま合掌します。
ご自身の宗派の本式数珠を使う場合は、その宗派の正しい持ち方を確認しておきましょう。
椅子に座っている場合は、数珠を膝の上に置くのではなく、左手に持ったままにするか、数珠袋に入れて膝の上に置くのが丁寧です。
数珠をポケットに入れるのは、カジュアルすぎる印象を与える可能性があるため、避けた方が無難です。

お焼香やお参りの際の数珠の使い方

お焼香やお参りの際も、数珠は大切な役割を果たします。
自分の順番が来るまでは、数珠を左手に持ったまま静かに待ちます。
お焼香台に進む際は、数珠を左手に持ったまま移動します。
お焼香をする直前、祭壇に向かって一礼する際も、数珠は左手に持ったままです。
焼香台の前で合掌する際は、前述の通り、略式数珠の場合は両手の親指と人差し指の間にかけて合掌します。
この時、数珠が床に触れないように注意しましょう。
宗派によっては、合掌時に数珠をかけない、あるいは特定の動作を伴う場合がありますので、ご自身の宗派の作法に従ってください。
お焼香を終えた後、再び祭壇に一礼し、席に戻る際も数珠は左手に持ったままです。
お参り、つまり仏壇や位牌の前で手を合わせる際も同様です。
故人の霊前で合掌する際は、数珠を両手の親指と人差し指の間にかけて、静かに手を合わせます。
この一連の動作は、故人への敬意と供養の気持ちを表すものです。
数珠を持つことで、より一層、故人を偲ぶ気持ちに集中できるでしょう。
焼香台の脇などに数珠を一時的に置くのはマナー違反とされています。
常に左手で持つか、数珠袋にしまうようにしましょう。

数珠を置く場所やしまい方

葬儀の場で数珠を使わない時、どのように扱えば良いのでしょうか。
数珠は大切な仏具ですので、むき出しのままバッグの中に放り込んだり、適当な場所に置いたりするのは避けましょう。
基本的には、数珠は常に左手に持っているか、数珠袋に入れて大切に保管しておくのが正しい作法です。
椅子席の場合は、数珠袋に入れた状態で膝の上に置くか、バッグの中にしまうのが良いでしょう。
畳の部屋などで座る場合は、数珠袋に入れた状態で膝の上に置くか、座布団の脇に置くのが一般的です。
ただし、床に直接置くのは失礼にあたりますので注意が必要です。
最も避けたいのは、焼香台や受付など、公の場所に数珠を置き忘れてしまうことです。
数珠は個人の念が込められた大切なものですから、紛失しないように常に肌身離さず持ち歩くように心がけましょう。
移動中や待機中など、数珠を手に持っているのが難しい場合は、必ず数珠袋に入れてバッグにしまうようにしてください。
数珠袋は、数珠を傷や汚れから守るだけでなく、持ち運びや保管を丁寧に行うための必需品と言えます。
様々な色や柄の数珠袋がありますので、ご自身の数珠に合ったものを選ぶと良いでしょう。

数珠に関するよくある疑問と注意点

葬儀の数珠マナーについて基本的なことは理解できたとしても、実際に参列するとなると、細かい点で疑問や不安が出てくるものです。
「数珠を忘れてしまったらどうしよう?」「人から借りても良いの?」「普段どのように保管すればいいの?」など、数珠に関する悩みは尽きません。
また、子供の数珠や、数珠の色・素材に関する疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、そうした数珠に関するよくある疑問にお答えし、葬儀の場で特に気をつけたい注意点について解説します。
これらの疑問を解消しておくことで、いざという時にも慌てずに、落ち着いて対応することができます。

数珠の貸し借りや忘れた場合の対応

葬儀に参列する際に数珠を忘れてしまった、あるいは持っていないという状況は、誰にでも起こり得ることです。
このような場合、周りの人に数珠を借りても良いのか迷うかもしれません。
結論から言うと、数珠の貸し借りは基本的に避けるのが望ましいとされています。
これは、数珠が個人の念や信仰心が込められた非常にパーソナルな仏具と考えられているためです。
他人の数珠を使うことは、その人の念に触れることになり、あまり良いことではないとされています。
また、借りた数珠を汚したり傷つけたりするリスクもあります。
では、数珠を忘れてしまった場合はどうすれば良いのでしょうか?無理に誰かから借りる必要はありません。
数珠がなくても、故人を偲び、冥福を祈る気持ちがあれば、心を込めて参列することができます。
数珠はあくまで仏具であり、故人を思う気持ちが最も大切なのです。
もしどうしても気になる場合は、葬儀場の売店などで略式数珠が販売されていることもありますので、そこで購入することを検討しても良いでしょう。
しかし、最も大切なのは、数珠の有無にかかわらず、故人との最後の時間を大切にし、心を込めてお見送りすることです。
数珠を忘れてしまったからといって、過度に気にする必要はありません。

数珠の保管方法とお手入れ

数珠を長く大切に使うためには、適切な保管とお手入れが欠かせません。
数珠はデリケートな素材でできていることも多いため、普段から丁寧に扱うように心がけましょう。
保管する際は、必ず数珠袋に入れておくのが基本です。
数珠袋に入れることで、数珠が他のものと絡まったり、傷ついたりするのを防ぐことができます。
また、直射日光の当たる場所や、湿気の多い場所での保管は避けましょう。
素材によっては変色や劣化の原因となることがあります。
引き出しの中や、仏壇の引き出しなど、風通しの良い場所に保管するのが理想的です。
お手入れについては、素材によって方法が異なります。
木の素材の数珠は、乾いた柔らかい布で優しく拭くのが一般的です。
天然石の数珠も、柔らかい布で軽く拭いてホコリなどを落とす程度で十分です。
水洗いは素材を傷める可能性があるので避けましょう。
房が乱れてしまった場合は、蒸気にあてて整えることもできますが、素材によっては傷むこともあるため注意が必要です。
長年使っていると、糸が緩んできたり、珠に傷がついたりすることもあります。
その場合は、仏具店などで修理を依頼することができます。
定期的なメンテナンスを行うことで、数珠を良い状態で保ち、長く愛用することができるでしょう。

その他、葬儀での数珠に関する気がかり

数珠に関する疑問は他にも様々あります。
例えば、子供の数珠について。
子供に数珠を持たせるべきか迷う方もいるかもしれません。
子供用の数珠も市販されており、小さな頃から数珠に触れさせることで、仏様や故人を敬う心を育むという考え方もあります。
大人と同じように、子供にも自分専用の数珠を持たせてあげるのも良いでしょう。
また、数珠の色や素材について、「この色では失礼なのでは?」「この素材はふさわしくない?」と悩むこともあります。
基本的には、落ち着いた色合いであれば問題ありません。
あまりに派手な色やデザインは避けた方が無難ですが、女性用であれば淡い色味のものでも失礼にはあたりません。
素材についても、特に決まりはありませんが、殺生を連想させる動物性の素材(象牙など)は避けるという考え方もあります。
新しく購入する際は、仏具店の店員さんに相談してみるのが一番安心です。
さらに、数珠の供養や処分方法について疑問を持つ方もいます。
使わなくなった数珠や、壊れてしまった数珠は、お寺に納めて供養してもらうか、仏具店に相談して引き取ってもらうのが丁寧な方法です。
数珠はお祝い事には基本的に使いません。
結婚式など慶事の場で数珠を持つのはマナー違反となりますので注意しましょう。

まとめ

葬儀に参列する際の数珠マナーについて、その意味や種類、正しい持ち方や使い方、そしてよくある疑問点について解説しました。
数珠は単なる持ち物ではなく、故人への敬意を表し、自身の心を整えるための大切な仏具です。
正しいマナーを知ることで、安心して故人を見送り、心を込めて供養することができます。
略式数珠があれば宗派を問わず使うことができ、一つ持っておくと急な訃報にも慌てずに対応できます。
数珠は左手に持つのが基本であり、合掌する際は両手の親指と人差し指の間にかけるのが一般的な作法です。
お焼香やお参りの際も、数珠を大切に扱い、敬意をもって故人と向き合う姿勢が重要です。
数珠の貸し借りは避け、忘れた場合でも無理に借りる必要はありません。
何よりも故人を偲ぶ気持ちが一番大切です。
数珠は適切に保管し、大切にお手入れすることで長く使うことができます。
この記事が、葬儀での数珠に関する皆様の不安を解消し、故人を心穏やかに見送るための一助となれば幸いです。

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