住み慣れたご自宅で、大切な方を見送りたい。
そうお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。
病院や斎場ではなく、思い出の詰まった空間でゆっくりとお別れをしたいという願いは、近年増えてきています。
しかし、「自宅で葬儀を行う」と聞くと、具体的に何をどうすれば良いのか、どんな準備が必要なのか、不安に感じることが多いのではないでしょうか。
この記事では、自宅で葬儀を行う場合の流れについて、一つ一つ丁寧に解説していきます。
ご自宅での葬儀を検討されている方が、安心して故人様との最期の時間を過ごせるよう、具体的な準備や注意点、そして自宅葬儀ならではの温かさについても触れていきます。
自宅で葬儀を行うという選択肢
家族や親しい友人たちだけで、故人様との思い出に浸りながら、静かに見送りたい。
そんな思いから、自宅での葬儀を選ぶ方が増えています。
斎場とは異なり、時間や形式にとらわれすぎず、より自由でアットホームな雰囲気でお別れができる点が自宅葬儀の大きな魅力と言えるでしょう。
特に、故人様が生前大切にされていた場所、長年住み慣れたご自宅で最期のお別れができることは、残されたご家族にとっても深い癒やしとなることがあります。
自宅葬儀は、必ずしも大規模な葬儀である必要はありません。
ごく身近な方だけで行う家族葬や、通夜を行わない一日葬、あるいは火葬のみを行う直葬に近い形であっても、ご自宅で行うことは可能です。
形式にとらわれず、故人様らしさやご遺族の願いを叶えやすいのが、自宅葬儀の大きな特徴と言えます。
ただし、自宅というプライベートな空間であるがゆえの難しさや、事前に確認しておくべき点もいくつか存在します。
自宅葬儀が選ばれる理由とメリット
自宅葬儀が選ばれる最大の理由は、やはり故人様が最も安らげる場所で見送ることができるという点にあります。
住み慣れた空間には、故人様とのたくさんの思い出が詰まっています。
そうした場所で、時間を気にせずゆっくりと故人様と向き合えることは、ご遺族にとってかけがえのない時間となります。
また、斎場のように利用時間が限られているわけではないため、通夜の晩に故人様のそばで語り明かしたり、好きな音楽を流したりと、よりパーソナルなお見送りが可能です。
形式にとらわれず、故人様やご家族の希望を反映しやすいのも大きなメリットです。
例えば、故人様が好きだったお花で部屋を飾ったり、思い出の品々をそばに置いたりすることも自由にできます。
参列者についても、本当に親しい方だけにお知らせするなど、弔問客への対応の負担を軽減することも可能です。
さらに、斎場利用料がかからないため、内容によっては費用を抑えられる可能性もあります。
「自分たちらしいお見送り」を追求できる点が、自宅葬儀の何よりの魅力と言えるでしょう。
自宅葬儀の難しさやデメリット
自宅葬儀には多くのメリットがある一方で、いくつかの難しさやデメリットも存在します。
まず、物理的なスペースの確保が挙げられます。
ご遺体を安置する場所、祭壇を設ける場所、参列者が着席する場所など、ある程度の広さが必要です。
また、弔問客の人数によっては、自宅の広さでは対応しきれない場合もあります。
駐車スペースの確保も課題となることが多いです。
近隣への配慮も欠かせません。
葬儀を行うことを事前に知らせたり、車の出入りや騒音など、近隣住民への影響を最小限に抑える工夫が必要です。
さらに、ご遺体の管理も自宅で行う必要があります。
特に夏場などは、適切な温度管理や衛生管理が重要になります。
専門的な知識や設備が必要になるため、葬儀社のサポートは不可欠です。
また、ご遺族自身が準備や片付けを行う部分が多くなるため、精神的、肉体的な負担が大きくなる可能性もあります。
斎場のような専門施設ではないため、準備や手配に手間がかかる点は、自宅葬儀のデメリットと言えるでしょう。
どんな自宅でも可能なのか?環境の確認
自宅で葬儀を行いたいと考えても、すべての自宅環境で可能とは限りません。
まず、最も重要なのはご遺体を安置するスペースです。
お布団を敷いて寝かせるスペースに加え、ドライアイスの管理や、必要に応じて冷却設備を置くスペースも考慮する必要があります。
また、祭壇を設置する場所も必要です。
一般的には、故人様が生前使用していた部屋や、リビングなど、家族が集まる場所が選ばれますが、祭壇の大きさや形によって必要なスペースは異なります。
参列者を迎える場合は、着席できるスペースや、焼香を行うスペースも確保しなければなりません。
マンションやアパートの場合、共有部分の使用に関する規約を確認する必要があります。
エレベーターや階段を使って棺を搬入・搬出できるか、共用部分に祭壇や供花を置けるかなど、管理会社や大家さんに事前に確認を取りましょう。
一戸建ての場合でも、玄関から安置場所までの動線に障害物がないか、家具の移動が必要かなどを確認しておくことが大切です。
事前に自宅の間取りや広さを確認し、どこに何を配置できるか具体的にイメージしておくことが、スムーズな自宅葬儀の第一歩となります。
葬儀社の担当者と事前に自宅を確認してもらうと、より具体的なアドバイスをもらえます。
自宅で葬儀を行う際の具体的な流れ
大切な方を自宅で見送ることを決めたら、具体的にどのような流れで進んでいくのでしょうか。
病院や施設で亡くなられた場合と、ご自宅で亡くなられた場合で、最初の対応は少し異なりますが、その後の流れは概ね共通しています。
まず、医師による死亡確認が必要です。
病院で亡くなられた場合は、主治医が死亡診断書を作成します。
ご自宅で亡くなられた場合は、かかりつけ医や、かかりつけ医がいない場合は監察医などに連絡し、死亡確認と死亡診断書の作成を依頼します。
死亡診断書は、その後の役所手続きや火葬許可証の申請に必要となる非常に重要な書類です。
死亡確認が済んだら、葬儀社へ連絡します。
自宅葬儀に対応している葬儀社を選び、ご遺体の搬送と自宅での安置をお願いします。
葬儀社は、搬送だけでなく、その後の葬儀の準備や進行全般をサポートしてくれます。
ご遺体を自宅にご安置したら、枕飾りを設けて線香をあげられるようにします。
その後、葬儀社と具体的な葬儀の内容について打ち合わせを行います。
いつ通夜・葬儀を行うか、誰に連絡するか、祭壇や棺、返礼品などをどうするかなど、細かな部分を決めていきます。
通夜、葬儀・告別式を経て、出棺、火葬、骨上げ、そして自宅へ戻るという流れが一般的です。
各段階で葬儀社のサポートを受けながら、故人様を丁重に見送るための準備を進めていくことになります。
ご逝去後、まず最初に行うべきこと
大切な方がお亡くなりになった直後は、悲しみの中で何をすれば良いか分からなくなってしまうかもしれません。
しかし、いくつか落ち着いて行うべきことがあります。
まず、医師による死亡確認です。
病院で亡くなられた場合は、医師から死亡が告げられ、死亡診断書を受け取ります。
ご自宅で亡くなられた場合は、かかりつけ医がいる場合は連絡し、死亡確認と死亡診断書の作成を依頼します。
かかりつけ医がいない場合や、急なご逝去の場合は、救急車を呼ぶのではなく、警察に連絡する必要があることもあります。
異状死と判断された場合は、警察医による検視が行われます。
死亡診断書(または死体検案書)は、その後のすべての手続きの出発点となるため、非常に重要です。
次に、葬儀社へ連絡します。
事前に自宅葬儀に対応している葬儀社を選んでおくとスムーズです。
連絡する際は、故人様の氏名、亡くなった場所、連絡者の氏名と連絡先などを伝えます。
葬儀社に連絡する前に、搬送先を自宅と決めている場合は、その旨をはっきりと伝えましょう。
葬儀社は、病院や施設からご遺体を自宅へ搬送してくれます。
この最初の連絡と搬送の手配が、自宅葬儀のスタートとなります。
ご遺体の搬送と自宅での安置
医師による死亡確認と死亡診断書の受け取りが済んだら、葬儀社に連絡し、ご遺体の搬送を依頼します。
病院や施設で亡くなられた場合は、寝台車でご自宅まで搬送してもらいます。
ご自宅で亡くなられた場合も、葬儀社の寝台車が迎えに来てくれるのが一般的です。
ご遺体が自宅に到着したら、安置する場所に寝かせます。
一般的には、故人様が生前使用していたお布団や、葬儀社が用意した布団の上に寝かせます。
安置場所は、直射日光が当たらず、静かで涼しい場所が適しています。
夏場などは、エアコンで室温を適切に保つことが重要です。
葬儀社は、ご遺体の状態を保つために、ドライアイスを処置してくれます。
このドライアイスの交換は、葬儀社が行ってくれるのが一般的ですが、自宅での安置が長くなる場合は、頻繁な交換が必要になることもあります。
枕元には、枕飾りを設置します。
これは、小さな机に線香立て、ローソク立て、お供え物(水、枕飯、団子など)を並べたものです。
宗派によって飾り方は異なりますが、一般的には葬儀社が用意してくれます。
ご遺体を自宅に安置することは、故人様との最後の時間を身近で過ごすための大切な準備です。
葬儀社の指示に従い、適切な安置を心がけましょう。
葬儀社との打ち合わせと式の準備
ご遺体を自宅にご安置したら、改めて葬儀社の担当者と詳細な打ち合わせを行います。
この打ち合わせで、葬儀の日程、通夜・葬儀の形式、参列者の範囲、祭壇や棺の種類、料理や返礼品、費用など、葬儀に関するあらゆることを決めていきます。
自宅葬儀の場合、斎場のように決まったプランがあるわけではないため、ご家族の希望をしっかりと伝え、一つ一つ丁寧に確認しながら決めていくことが重要です。
例えば、祭壇は生花祭壇にするか、白木祭壇にするか、あるいはよりシンプルなものにするかなど、自宅のスペースや雰囲気に合わせて選びます。
故人様の好きだったお花を取り入れたい、思い出の品を飾ってあげたいといった要望も、この時に相談しましょう。
返礼品や料理についても、参列者の人数を想定して手配する必要があります。
自宅葬儀では、親しい身内だけで行うことが多いため、形式ばった料理ではなく、故人様が好きだったものを皆で囲むといった形を選ぶことも可能です。
葬儀社は、これらの準備だけでなく、役所への手続き(死亡届の提出や火葬許可証の取得)も代行してくれます。
打ち合わせでは、疑問点や不安な点を遠慮なく質問し、納得いくまで話し合うことが、後悔のない自宅葬儀を行うために非常に大切です。
通夜・葬儀当日の進行と参列者への対応
打ち合わせで決めた内容に基づき、通夜、そして葬儀・告別式が自宅で行われます。
自宅葬儀の通夜は、斎場のように時間厳守というよりは、親しい方々が故人様を偲んで集まり、静かに過ごす時間となることが多いです。
読経をお願いしている場合は、僧侶をお迎えし、読経をしていただきます。
参列者が弔問に訪れたら、お迎えし、焼香をしていただきます。
自宅の場合、導線やスペースに限りがあるため、参列者の人数が多い場合は、玄関先で記帳と香典の受け渡しを行い、順に焼香してもらうなど、スムーズな流れを葬儀社と相談して決めておくと良いでしょう。
葬儀・告別式も同様に、僧侶による読経、弔辞、弔電の奉読、焼香、そして最後のお別れという流れで進みます。
自宅で行うため、故人様との最後の時間をゆっくりと、そして大切に過ごすことができます。
例えば、皆で故人様の思い出話をしたり、好きだった音楽を流したりと、よりパーソナルな見送りが可能です。
葬儀社は、当日の司会進行や、参列者への対応、焼香の案内など、儀式が滞りなく進むようにサポートしてくれます。
自宅という空間を活かして、温かく、故人様らしいお見送りを実現しましょう。
出棺から火葬、そしてご帰宅まで
葬儀・告別式が終わると、いよいよ故人様との最後のお別れ、出棺となります。
自宅から火葬場へ向かうため、棺をご自宅から運び出します。
棺を運ぶのは、一般的にはご家族や親しい男性親族、あるいは葬儀社のスタッフが行います。
自宅の玄関や通路が狭い場合は、棺の搬出がスムーズに行えるか事前に確認しておくことが大切です。
出棺の際には、霊柩車や寝台車が自宅前に手配されます。
ご家族や親しい方々に見送られながら、故人様は自宅を旅立たれます。
火葬場へは、ご遺族やごく近しい親族が同行します。
火葬場で火葬許可証を提出し、火葬を行います。
火葬には通常1時間から2時間程度かかります。
その間、控室で待機するのが一般的です。
火葬が終わると、収骨(骨上げ)を行います。
二人一組で箸を使い、故人様の遺骨を骨壷に納めます。
収骨が終わったら、火葬証明書を受け取り、骨壷を持ってご自宅へ戻ります。
自宅に戻ったら、後飾り祭壇にご遺骨を安置します。
後飾り祭壇は、四十九日まで自宅にご遺骨を安置しておくための祭壇です。
自宅から故人様をお見送りし、再びご遺骨となって自宅へ戻るという流れは、自宅葬儀ならではの深い意味合いがあります。
葬儀社は、出棺の準備から火葬場での手続き、収骨まで、一連の流れをサポートしてくれます。
自宅葬儀を成功させるための準備と注意点
自宅葬儀は、故人様とゆっくりお別れできる温かい選択肢ですが、成功させるためにはいくつかの準備と注意が必要です。
最も重要なのは、事前に自宅の環境を確認することです。
ご遺体を安置するスペース、祭壇を設置するスペース、参列者を迎えるスペースが十分に確保できるか、家具の移動が必要かなどを具体的に検討しましょう。
特に、棺の搬入・搬出経路は非常に重要です。
玄関や廊下、階段の幅などを測り、棺が通れるか確認しておきましょう。
マンションやアパートの場合は、管理規約を確認し、管理会社や大家さんに事前に相談することが必須です。
また、近隣住民への配慮も忘れてはなりません。
葬儀を行うことを事前に伝え、車の出入りや弔問客の応対などで迷惑をかけないよう配慮しましょう。
葬儀の日程や時間を知らせたり、必要に応じて駐車場を手配したりすることも考えられます。
費用についても、事前に葬儀社から詳細な見積もりを取り、内容をしっかり確認することが大切です。
自宅葬儀は斎場使用料がかからない分、費用を抑えられる可能性はありますが、搬送費用、ドライアイス費用、祭壇費用、人件費など、様々な費用が発生します。
想定外のトラブルを避け、安心して自宅葬儀を行うためには、事前の情報収集と丁寧な準備が不可欠です。
費用はどれくらいかかる?目安と抑えるポイント
自宅葬儀の費用は、葬儀の規模や内容によって大きく異なります。
斎場使用料がかからない点はメリットですが、搬送費用、ご遺体の管理費用(ドライアイスなど)、祭壇費用、棺、骨壷、人件費、返礼品、料理、僧侶へのお布施など、様々な費用が発生します。
一般的に、自宅葬儀の費用相場は、斎場で行う葬儀と比べて大幅に安くなるというわけではありません。
むしろ、自宅の環境整備(清掃や模様替えなど)に費用がかかる場合もあります。
費用を抑えるポイントとしては、まず葬儀の規模を最小限に抑えることが挙げられます。
家族葬や一日葬、あるいは直葬に近い形で、参列者を本当に親しい身内だけに限定すれば、返礼品や料理にかかる費用を大幅に削減できます。
また、祭壇も豪華なものにする必要はありません。
自宅の雰囲気に合う、シンプルで温かみのある飾り付けでも十分です。
葬儀社との打ち合わせ時には、予算の上限を伝え、その範囲内でどのようなことができるか具体的に相談することが大切です。
複数の葬儀社から見積もりを取り、内容を比較検討することも、適正な費用で自宅葬儀を行うために有効な方法です。
見積もりには含まれていない追加費用がないかどうかも、事前にしっかり確認しておきましょう。
近隣住民への配慮と事前の連絡
自宅で葬儀を行う際には、近隣住民への配慮が非常に重要です。
葬儀を行うことを事前に知らせておくことで、近隣の方も心の準備ができますし、思わぬトラブルを防ぐことにもつながります。
自治会を通じて周知したり、直接ご近所にご挨拶に伺ったりする方法があります。
いつからいつまで葬儀を行うのか、弔問客の出入りがあること、車の駐車などについて、具体的に伝えるようにしましょう。
特に、弔問客が多い場合は、駐車場の手配が大きな課題となります。
自宅の駐車スペースだけでは足りない場合がほとんどですので、近隣のコインパーキングを案内したり、葬儀社にマイクロバスの手配を相談したりするなど、対策を考えておく必要があります。
路上駐車は、近隣住民だけでなく、通行の妨げにもなるため絶対に避けなければなりません。
また、通夜の晩に遅くまで明かりがついていることや、弔問客の話し声などが、近隣の迷惑にならないよう配慮が必要です。
「ご迷惑をおかけしますが、〇〇(故人様の名前)の葬儀を自宅で執り行います」といった丁寧な言葉とともに、事前に状況を説明することで、近隣の方々の理解と協力を得やすくなります。
葬儀後には、改めてご挨拶に伺い、お礼を伝えることも忘れずに行いましょう。
衛生面や匂い、空調への対策
自宅でご遺体を安置する場合、衛生面や匂い、室温の管理は非常に重要な課題です。
葬儀社はドライアイスなどを用いてご遺体の状態を保つ処置を行いますが、特に夏場など気温が高い時期は、安置期間が長くなるにつれて腐敗が進むリスクが高まります。
適切な量のドライアイスを使用し、定期的に交換してもらうことが不可欠です。
また、室温を低く保つことも重要です。
エアコンなどを活用し、安置場所の温度を常に涼しく保つようにしましょう。
窓を開けて換気を行うことも有効ですが、夏場はかえって室温を上げてしまうこともあるため注意が必要です。
匂い対策としては、こまめな換気に加え、消臭剤の活用も効果的です。
葬儀社によっては、消臭効果のある処置を行ってくれる場合もあります。
自宅葬儀を経験した方の中には、「夏場は特にドライアイスの管理が大変だった」「匂いが気にならないか心配だった」という声もありますが、適切な処置と室温管理、換気を行うことで、これらの問題はある程度軽減できます。
信頼できる葬儀社を選び、ご遺体の管理について十分な説明を受け、不安な点は遠慮なく質問することが大切です。
信頼できる葬儀社の選び方と役割
自宅で葬儀を行う場合、信頼できる葬儀社の存在は不可欠です。
自宅葬儀は斎場での葬儀とは異なるノウハウが必要となるため、自宅葬儀の実績が豊富な葬儀社を選ぶことが重要です。
どのように自宅で葬儀を進めるのか、自宅の環境に合わせた具体的な提案をしてくれるか、ご遺体の管理について丁寧な説明があるかなどを確認しましょう。
複数の葬儀社から話を聞き、比較検討することをおすすめします。
見積もりの内容が明確か、追加費用の可能性についてきちんと説明があるかどうかも重要な判断基準です。
葬儀社は、ご遺体の搬送、安置、ドライアイスの処置、枕飾りの準備、役所手続きの代行、祭壇や棺の手配、通夜・葬儀の進行、火葬場の手配、収骨のサポートなど、自宅葬儀に関わるあらゆることをサポートしてくれます。
また、近隣への配慮や、自宅の環境に合わせたアドバイスも行ってくれます。
自宅という特殊な環境での葬儀を円滑に進めるためには、経験豊富で親身になって相談に乗ってくれる葬儀社を選ぶことが、成功の鍵となります。
疑問点や不安な点は、どんな些細なことでも遠慮なく質問し、納得いくまで話し合いましょう。
役所手続きや死亡診断書について
大切な方が亡くなられた際に必要となる行政手続きはいくつかありますが、最も重要なのが死亡届の提出と火葬許可証の取得です。
これらの手続きは、一般的に葬儀社が代行してくれます。
死亡届は、医師が作成した死亡診断書(または死体検案書)とセットで、故人様の死亡地、本籍地、または届出人の所在地の市区町村役場に提出します。
提出期限は、死亡の事実を知った日から7日以内です。
死亡届が受理されると、火葬許可証が交付されます。
この火葬許可証がなければ、火葬を行うことはできません。
自宅葬儀の場合でも、火葬場を利用するため、火葬許可証の取得は必須です。
葬儀社に手続きを依頼する場合は、死亡診断書を預けることになります。
死亡診断書は、公的な手続きに加えて、生命保険の請求や遺族年金の手続きなど、様々な場面で必要となる可能性があります。
葬儀社に預ける前に、念のためコピーを取っておくと安心です。
また、死亡診断書の記載内容に間違いがないか、氏名や生年月日などを確認することも重要です。
これらの手続きは煩雑で、悲しみの中でご遺族が行うのは大変な負担となるため、葬儀社に代行してもらうことを強くおすすめします。
自宅葬儀ならではの心温まる経験と後悔しないために
自宅での葬儀は、斎場で行う葬儀とは一味違う、心温まる経験となることがあります。
住み慣れた空間で、故人様を囲んで家族や親しい友人たちが集まり、ゆっくりと故人様との思い出を語り合う時間は、何物にも代えがたいものです。
時間や形式にとらわれすぎず、故人様が好きだったものを飾ったり、好きだった音楽を流したりと、故人様らしさを最大限に尊重したお見送りができるのが、自宅葬儀の大きな魅力です。
例えば、「おばあちゃんが好きだったお花でリビングをいっぱいにした」「父が好きだった演歌を流しながら、皆で思い出話をした」といった、温かいエピソードが生まれることも珍しくありません。
自宅だからこそできる、よりパーソナルでアットホームな空間での別れは、残されたご家族にとって深い癒やしとなり、故人様を身近に感じながら送る最後の時間となります。
一方で、自宅葬儀ならではの難しさや、準備不足による後悔の声も耳にします。
自宅の環境が整っていなかった、近隣への配慮が足りなかった、費用が想定以上にかかったなど、後から「こうすれば良かった」と感じる方もいらっしゃいます。
後悔しないためには、事前の情報