30代になり、結婚や仕事、人間関係が広がるにつれて、葬儀に参列する機会が増えてくるのではないでしょうか。
学生の頃や20代前半とは異なり、社会的な立場も考慮した服装マナーが求められるようになります。
特に、初めて喪服を着る方や、しばらく着ていないという方は、どんな服装が適切なのか悩んでしまうこともありますよね。
この年代になると、親族だけでなく、会社関係の方や友人のご家族など、様々な立場での参列が増えるため、状況に応じた適切な判断が必要になります。
この記事では、30代の方が葬式に安心して参列できるよう、服装選びの基本から具体的なマナーまで、分かりやすく解説します。
30代で直面する葬式、服装選びの基本マナー
30代という年代は、社会人としての経験を積み、立場も多様化してくる時期です。
そのため、葬儀に参列する機会も増え、服装マナーについて改めて考える必要が出てきます。
これまでの経験が少ない方もいれば、何度か参列経験がある方もいるでしょう。
しかし、立場が変われば求められるマナーも変わることがあります。
ここでは、まず葬儀における服装の基本的な考え方と、30代という年代を踏まえた喪服選びのポイント、そして男女それぞれの基本アイテムについて詳しく見ていきましょう。
喪服の種類と30代におすすめの選び方
葬儀で着用する喪服には、主に「正喪服」「準喪服」「略喪服」の三つの種類があります。
正喪服は喪主や親族が着用する最も格式の高い喪服で、モーニングコート(男性)やブラックフォーマル、和装(女性)などがあります。
準喪服は、一般的に参列者が着用する最も一般的な喪服であり、男女ともにブラックスーツやブラックフォーマルを指します。
略喪服は、通夜や三回忌以降の法事、または「平服でお越しください」と案内があった場合に着用する、地味な色のスーツやワンピースなどを指します。
30代の方が一般的に参列する場合、準喪服であるブラックスーツやブラックフォーマルが基本となります。
これは最も失礼がなく、どのような立場の葬儀にも対応できるからです。
特に、これから長く使える一着として購入を検討している場合は、流行に左右されにくいシンプルなデザインの準喪服を選ぶのがおすすめです。
女性の場合、ワンピースとジャケットのアンサンブルタイプが一般的ですが、最近ではパンツスーツも許容されるケースが増えてきました。
ただし、葬儀の場では伝統的なマナーが重視されることも多いため、親族として参列する場合や、格式の高い葬儀ではワンピースタイプを選ぶ方がより安心です。
男性の場合は、シングルまたはダブルのブラックスーツが基本です。
光沢のない素材を選び、シャツは白無地、ネクタイは黒無地、靴下も黒を選びましょう。
喪服を選ぶ際には、サイズ感が非常に重要です。
体に合ったサイズの喪服は、きちんとした印象を与え、長時間着用していても疲れにくいです。
特に急な訃報の場合、手持ちのもので間に合わせることもあるかもしれませんが、この機会に一着準備しておくと、今後のためにも安心です。
デパートのフォーマルウェア売り場や、フォーマルウェア専門店、最近ではオンラインストアでも購入できます。
購入する際は、試着をしっかり行い、動きやすさやシルエットを確認することが大切です。
また、季節に合わせた素材や、オールシーズン対応のものなど、自身のライフスタイルに合ったものを選ぶと良いでしょう。
一度購入すれば長く使えるものなので、多少値が張っても品質の良いものを選ぶ価値はあります。
男女別の基本アイテムと注意点
葬儀に参列する際の服装は、男女で基本的なアイテムが異なります。
男性の場合、基本はブラックスーツです。
スーツの下には白無地のワイシャツを着用し、ネクタイは光沢のない黒無地のものを選びます。
ネクタイピンはつけないのが一般的です。
ベルトは黒でシンプルなデザインのものを選びます。
靴下も黒無地で、座った時に肌が見えないように長めの丈を選びましょう。
靴は黒の革靴で、金具の少ないシンプルなデザインのものが適しています。
エナメルや爬虫類革などの光沢のある素材は避けるのがマナーです。
ハンカチは白無地のものを用意しておくと、いざという時に役立ちます。
女性の場合、ブラックフォーマルと呼ばれる黒無地のワンピースやアンサンブル、スーツが基本です。
肌の露出は控えめにし、長袖または七分袖を選ぶのが一般的です。
スカート丈は膝下からふくらはぎ程度が適切とされています。
ストッキングは黒の薄手のもの(20〜30デニール程度)を着用します。
生足や肌色のストッキングは避けるのがマナーです。
靴は黒のパンプスで、ヒールは高すぎず、金具などの装飾がないシンプルなデザインを選びます。
ミュールやサンダル、ブーツは不適切です。
バッグも黒で、布製や革製のシンプルなデザインを選びます。
光沢のある素材やブランドのロゴが目立つものは避けるのが無難です。
冬場は、黒無地のコートやジャケットを着用しますが、毛皮素材は避けるべきです。
男女ともに共通する注意点として、アクセサリーは最小限にするのがマナーです。
結婚指輪以外は外すのが基本ですが、パールのネックレスやイヤリング(一連のもの)は許容される場合があります。
ただし、華美なデザインや二連、三連のネックレスは不幸が重なることを連想させるため避けるべきです。
メイクはナチュラルにし、香水はつけないのが鉄則です。
ネイルは落とすか、派手な色の場合はベージュなどの目立たない色に塗り替えるのが望ましいです。
派手な装飾品や明るい色のアイテムは、故人やご遺族への配慮に欠けるため、厳禁です。
服装以外も重要!小物・身だしなみのマナー
葬儀におけるマナーは、服装だけにとどまりません。
バッグや靴、アクセサリーといった小物類、そして髪型やメイクなどの身だしなみも、故人への弔意やご遺族への配慮を示す上で非常に重要です。
特に30代になると、持ち物や身だしなみにも社会人としての品格が求められます。
ここでは、服装に合わせた適切な小物選びのポイント、そして清潔感があり葬儀の場にふさわしい髪型やメイクについて解説します。
また、季節や天候に合わせた服装の調整方法についても触れていきます。
バッグ・靴・アクセサリー、失敗しない選び方
葬儀に持参するバッグは、黒無地でシンプルなデザインのものが基本です。
素材は布製が最もフォーマルとされていますが、光沢のない革製や合皮製でも問題ありません。
サイズは小さめのハンドバッグが一般的で、数珠や袱紗(ふくさ)、ハンカチ、財布など、必要最低限のものが収まる程度の大きさが適しています。
ブランドのロゴが大きく入ったものや、明るい色のもの、エナメルや爬虫類革などの光沢のある素材は避けましょう。
どうしても荷物が多くなる場合は、別に黒無地のサブバッグを用意すると良いでしょう。
葬儀の場では、派手な装飾や金具の多いバッグは避けるのがマナーです。
靴は、男女ともに黒無地で光沢のないシンプルなデザインのものが基本です。
男性は革靴、女性はパンプスを選びます。
女性の場合、ヒールは3cm〜5cm程度の歩きやすい高さが適切です。
ピンヒールや厚底、サンダル、ミュール、ブーツは避けましょう。
金具やリボンなどの装飾が多いデザインも不適切です。
男性の靴も、ローファーやスニーカー、ブーツは避け、紐で結ぶタイプの内羽根式ストレートチップなどが最もフォーマルとされています。
いずれの場合も、事前に汚れを落として磨いておき、清潔な状態にしておくことが大切です。
葬儀の場にふさわしい靴を選ぶことは、足元まで気を配るという心遣いにつながります。
アクセサリーについては、結婚指輪以外はつけないのが基本です。
ただし、女性の場合、一連のパールのネックレスやイヤリングは許容されることが多いです。
これはパールが涙の象徴とされているためです。
ただし、二連や三連のものは「不幸が重なる」ことを連想させるため避けるべきです。
パールの他にも、オニキスや黒曜石などの不透明な石であれば許容されることもありますが、基本的にはパールが無難です。
ダイヤモンドやルビー、サファイアなどの光沢のある石や、ゴールドやプラチナなどの華美な金属は避けるべきです。
ネックレスは首元に沿う長さのものを選び、イヤリングやピアスも小ぶりで揺れないデザインが望ましいです。
故人を悼む気持ちを表す場ですので、アクセサリーは控えめにすることが何よりも重要です。
葬式にふさわしい身だしなみのポイント
葬儀に参列する際の身だしなみは、服装や小物だけでなく、髪型やメイクも含まれます。
清潔感があり、控えめであることが最も重要です。
髪型は、男女ともに清潔感があるように整えます。
長い髪の女性は、低い位置で一つにまとめるか、ハーフアップにするのが一般的です。
顔にかかる髪はピンで留めるなどして、すっきりとさせます。
髪飾りはつけないか、黒無地のシンプルなバレッタやゴムを使用します。
明るい色のヘアゴムやシュシュ、キラキラしたバレッタは避けるべきです。
男性は、髪を整髪料で固めすぎず、自然なスタイルにします。
寝ぐせや無精ひげは厳禁です。
故人やご遺族に失礼のないよう、きちんとした印象を与える髪型を心がけましょう。
メイクは、ナチュラルメイクが基本です。
派手な色のアイシャドウやリップ、チークは避け、肌なじみの良いベージュやブラウン系を選びます。
ラメ入りのコスメやつけまつげ、カラーコンタクトレンズも避けるべきです。
ファンデーションは厚塗りせず、肌をきれいに見せる程度にします。
リップは血色を良く見せる程度の控えめな色を選び、グロスなどの光沢が出るものは避けましょう。
「泣く可能性があるのでメイクをしない」という方もいますが、ノーメイクよりも、肌を整え、眉を薄く描く程度のナチュラルメイクの方が、きちんと感が出て良い場合もあります。
ネイルについては、派手な色やデザインのネイルは落とすか、ベージュやクリアなどの目立たない色に塗り替えるのがマナーです。
長い爪も切るのが望ましいです。
香水はつけないのが鉄則です。
自分では気づきにくいですが、香水は他の参列者にとって不快に感じられることがあります。
タバコの臭いにも注意が必要です。
喫煙者は、参列前に十分に換気するなど、臭いを抑える配慮をしましょう。
全身の身だしなみを整えることで、故人への敬意とご遺族への哀悼の意をより丁寧に表すことができます。
30代ならではの悩みとケース別対応
30代になると、親族だけでなく、職場関係や友人、地域社会など、様々な繋がりの中で葬儀に参列する機会が増えます。
それぞれの立場や故人との関係性によって、求められる服装のマナーにも微妙な違いが生じることがあります。
また、急な訃報に際して、適切な喪服をすぐに用意できないという状況も起こり得ます。
ここでは、30代の方が特に直面しやすい、立場による服装の違いや、急な場合にどう対応すれば良いか、手持ちの服で対応する場合のチェックポイントや、レンタル・購入の選択肢について具体的に解説します。
親族、友人、会社関係…立場による服装の違い
葬儀に参列する際の服装は、故人との関係性や自身の立場によって、適切な格式が異なります。
一般的に、喪主やその家族である親族は、最も格式の高い正喪服を着用します。
しかし、30代で親族として参列する場合でも、喪主の配偶者や子でなければ、準喪服(ブラックスーツやブラックフォーマル)で問題ないことがほとんどです。
ただし、地域の慣習や家によって考え方が異なる場合もあるため、事前に喪主や親族の年長者に確認するのが最も確実です。
特に、お手伝いをする立場であれば、動きやすく、かつ失礼のない服装を選ぶ必要があります。
友人や知人の葬儀に参列する場合、一般参列者として準喪服を着用するのが基本です。
ブラックスーツやブラックフォーマルを用意しましょう。
アクセサリーやメイク、髪型なども、前述した一般的なマナーを守ります。
会社関係の方の葬儀に参列する場合も、基本は準喪服です。
会社によっては、弔事に関する規程がある場合もあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
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