大切な方を失った悲しみの中で執り行われる葬儀は、故人様への感謝の気持ちを伝える大切な儀式です。
様々な宗教形式がある中で、神道に則って行われる神式葬儀(神葬祭)を選ぶ方もいらっしゃいます。
しかし、仏式葬儀に比べて馴染みが薄いため、「費用はどれくらいかかるのだろう?」「内訳はどうなっているの?」といった疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。
費用のことが気になって、準備が進められない、という方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、神式葬儀の費用相場と内訳について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
仏式との違いや、費用を抑えるためのヒントもお伝えしますので、ぜひ最後までお読みいただき、神式葬儀に関する費用への不安を解消し、後悔のないお見送りの準備を進めるためにお役立てください。
神式葬儀の費用、その相場と特徴
神式葬儀、あるいは神葬祭と呼ばれる儀式は、仏式葬儀とは異なる流れや考え方に基づいています。
費用についても、仏式とは異なる特徴がいくつか見られます。
一般的に、葬儀にかかる費用は様々な要素によって変動しますが、神式葬儀全体の費用感を知ることは、準備を進める上で非常に重要です。
ここでは、神式葬儀が一体どれくらいの費用で執り行われることが多いのか、その全体的な相場感を掴んでいただき、さらに仏式葬儀と比較した場合の費用構造の違いや、葬儀の規模や形式が費用にどのような影響を与えるのかを詳しく見ていきます。
費用について具体的なイメージを持つことで、計画的に準備を進めることができるでしょう。
神式葬儀の全体的な費用感
神式葬儀の費用相場は、地域や葬儀の規模、葬儀社、そして神職へのお礼など、多くの要因によって変動しますが、一般的には100万円から200万円程度が目安となることが多いようです。
もちろん、これはあくまで一般的な相場であり、参列者が非常に多い大規模な一般葬や、逆に家族だけで静かに送る小規模な家族葬、一日葬、直葬といった形式によって大きく変わってきます。
例えば、家族葬であれば80万円から150万円程度、一日葬であれば50万円から100万円程度、直葬であれば30万円から50万円程度で執り行われるケースも見られます。
ただし、神式葬儀では、仏式でいうところの「お布施」にあたる神職への謝礼(玉串料や初穂料など)の考え方が異なるため、その部分の金額が費用全体に与える影響も考慮する必要があります。
また、神式葬儀に慣れている葬儀社とそうでない葬儀社では、提案されるプランや費用にも差が出ることがあります。
事前に複数の葬儀社から見積もりを取り、比較検討することが、適正な費用を把握するための第一歩と言えるでしょう。
地域によっては、古くからの慣習に基づいた費用体系が存在する場合もありますので、地元の葬儀社や神社に相談してみるのも良い方法です。
仏式葬儀との費用構造の違い
神式葬儀と仏式葬儀では、儀式の流れや内容が大きく異なるため、費用の構造にも違いがあります。
最も大きな違いは、宗教者へのお礼の部分です。
仏式では「お布施」として僧侶に謝礼を渡しますが、金額の目安は宗派や寺院、戒名の有無などによって大きく異なり、葬儀費用の中でも大きな割合を占めることがあります。
一方、神式では「玉串料(たまぐしりょう)」や「初穂料(はつほりょう)」といった形で神職に謝礼をお渡しします。
玉串料は、神様へのお供え物である玉串に代えて納める金銭という意味合いが強く、仏式のお布施のように定まった金額があるわけではありません。
地域や神社の格式、参列する神職の人数、祭詞(祝詞)の長さなどによって柔軟に考えられることが一般的です。
そのため、仏式と比較して、神職へのお礼の部分が比較的抑えられる傾向にある、と言われることもありますが、これはあくまで一般的な傾向であり、個別のケースでは異なります。
また、葬儀社に支払う費用については、祭壇の飾り付けが仏式では白木祭壇に加えて供花などを飾るのに対し、神式では白木祭壇に榊や神饌(お供え物)などが中心となるなど、一部異なる点もありますが、棺や骨壺、人件費、車両費など、共通する項目も多くあります。
これらの違いを理解しておくことで、見積もり内容をより正確に判断することができるでしょう。
葬儀規模や形式が費用に与える影響
葬儀の費用は、その規模や形式によって大きく変動します。
これは神式葬儀でも同様です。
参列者が多い大規模な一般葬は、会葬礼状や返礼品の数が増えるほか、式場の使用料や飲食接待費も高額になる傾向があります。
また、祭壇も規模に応じた立派なものを用意することが多く、その分費用がかさみます。
一方、家族葬や一日葬といった小規模な形式は、参列者が限定されるため、これらの費用を大幅に抑えることが可能です。
特に、家族葬であれば、親しい身内だけで故人様を偲ぶことができるため、大規模な葬儀に比べて費用負担を軽減できます。
一日葬は通夜を行わず告別式から火葬までを一日で行うため、式場使用料や人件費、飲食接待費の一部を削減できます。
直葬(火葬式)は、通夜・告別式といった儀式を行わず、ご遺体を安置施設等から直接火葬場へ搬送して火葬のみを行う最もシンプルな形式です。
神式の場合も、直葬に近い形式で執り行うことは可能ですが、その場合でも、神職による火葬前のお清めや祭詞奏