親しい方が亡くなられた時、悲しみの中で葬儀の準備を進めなければならない遺族の方は、心身ともに大変な状況にいらっしゃることと思います。
何から手をつけて良いか分からない、必要なものを漏らしたくない、そんな不安を抱えている方も少なくないはずです。
この記事では、葬儀を執り行う遺族側が準備する持ち物リストとして、通夜や告別式当日、そして葬儀後の手続きで必要になるものまで、詳しく解説していきます。
少しでも遺族の方の負担を減らし、故人様を安らかに見送るためのお手伝いができれば幸いです。
必要なものを事前に把握しておくことで、落ち着いて葬儀に臨むことができるでしょう。
葬儀の準備を始める前に確認すること
葬儀の準備は、故人様がお亡くなりになったという突然の連絡から始まることがほとんどです。
深い悲しみの中、限られた時間で様々なことを決め、手配を進めなくてはなりません。
何よりもまず大切なのは、落ち着いて状況を整理し、必要な情報を集めることです。
葬儀の形式や規模によって準備する持ち物も変わってきますし、誰が何を準備するかの役割分担も重要になります。
事前に故人様の遺志や、ご家族・ご親族の意向を確認しておくことも、スムーズな準備には欠かせません。
葬儀社との打ち合わせに臨む前に、大まかな方向性を決めておくことで、より具体的な準備を進めることができます。
初めて葬儀を経験される方も多いでしょうから、まずは全体像を把握し、慌てず一つずつ確認していくことが大切です。
葬儀の形式と規模で変わる準備
現代では、様々な葬儀の形式が選ばれるようになりました。
一般葬、家族葬、一日葬、直葬など、規模や内容は多岐にわたります。
例えば、一般葬であれば会葬者が多数見込まれるため、それに応じた受付用品や返礼品の準備が必要になる場合があります。
一方、家族葬や一日葬、直葬といった比較的小規模な葬儀では、準備するものの種類や量は少なくなる傾向にあります。
故人様やご遺族の意向、予算などを考慮して、どの形式で葬儀を行うかを決めましょう。
この形式によって、必要な持ち物はもちろん、葬儀までの流れや準備期間も変わってきます。
葬儀社と相談しながら、最適な形式を選ぶことが、その後の準備を円滑に進める第一歩となります。
また、参列者の人数によって、会食の手配や返礼品の数も変わるため、おおよその人数を把握しておくことも重要です。
葬儀社によっては、形式ごとの持ち物リストを提供してくれる場合もありますので、遠慮なく尋ねてみましょう。
準備の負担を軽減するためにも、早い段階で形式を決定し、必要なものをリストアップし始めることをお勧めします。
慌てないための事前確認事項
訃報は突然訪れることが多いため、どうしても慌ててしまいがちです。
しかし、いくつかの事項を事前に確認しておくだけで、いざという時に落ち着いて対応することができます。
まず、故人様がエンディングノートを残していないか、生前に葬儀に関する希望を話していなかったかを確認しましょう。
葬儀社や菩提寺(お墓のあるお寺)が決まっているかどうかも重要な確認事項です。
もし決まっていなければ、急いで葬儀社を探す必要があります。
複数の葬儀社から見積もりを取り、比較検討する時間も必要になりますから、候補をいくつか考えておくと良いでしょう。
また、葬儀に参列してほしい親族や友人、知人のリストを作成し、連絡先をまとめておくことも非常に役立ちます。
遠方に住む親族への連絡は、移動手段や宿泊の手配にも関わるため、早めに連絡を取ることが望ましいです。
これらの情報を事前に整理しておくだけで、訃報を受けた際の精神的な負担を軽減し、スムーズに次のステップへ進むことができます。
遺族間の役割分担と連携
葬儀の準備は多岐にわたるため、遺族だけで全てをこなすのは大変な負担となります。
特に、喪主を務める方は、葬儀社との打ち合わせや弔問客への対応など、やるべきことが山積します。
そこで重要になるのが、遺族間での役割分担と連携です。
例えば、故人様の配偶者が喪主を務める場合、お子様たちがそれぞれ手続き関係、親族への連絡、当日の受付といった役割を分担するなど、状況に応じて柔軟に役割を決めましょう。
遠方に住んでいる親族には、情報共有を密に行い、無理のない範囲で協力を仰ぐ形が良いでしょう。
誰が何を準備し、誰に連絡するのかを明確にしておくことで、二重手間を防ぎ、漏れなく準備を進めることができます。
また、一人で抱え込まず、お互いに協力し合うことで、精神的な支えにもなります。
定期的に短い時間でも良いので、集まって進捗状況を確認し合う時間を持つことも有効です。
遺族が心を一つにして故人様を見送るためにも、日頃からのコミュニケーションが大切になります。
通夜・告別式当日に遺族が持参すべきもの
通夜や告別式当日は、遺族として参列者を迎え、故人様とのお別れを告げる大切な時間です。
この日を滞りなく過ごすためには、事前に必要な持ち物をしっかりと準備しておく必要があります。
式場や斎場に一日中滞在することも考えられますので、儀式に必要なものだけでなく、ご自身の身の回りのものや、万が一の事態に備えたものも忘れずに準備しましょう。
特に、急な訃報の場合は、慌てて用意することになりがちですが、一つ一つ確認しながら進めることが大切です。
葬儀社から持ち物についてアドバイスを受けることもできますので、不明な点は遠慮なく質問しましょう。
ここでは、通夜・告別式当日に遺族が持参すべき主な持ち物について詳しく見ていきます。
故人を見送るための儀式に必要な品
通夜や告別式といった儀式を執り行う上で、遺族として必ず持参しておきたいものがいくつかあります。
最も重要なものの一つが、故人様の「遺影写真」です。
葬儀社の担当者と相談し、故人様らしい写真を選びましょう。
ピントが合っていて、故人様の顔がはっきりと写っている写真が適しています。
また、お焼香の際に使用する「数珠」も必需品です。
ご自身の宗派に合ったものを用意しましょう。
もし持っていない場合は、葬儀社に相談すれば貸してもらえることもあります。
「喪服」は、通夜、告別式ともに着用するのが一般的です。
男性はブラックスーツ、女性はブラックフォーマルを用意します。
急な訃報で喪服が準備できない場合は、落ち着いた色のスーツやワンピースでも失礼にあたらないことが多いですが、事前に葬儀社に相談すると安心です。
その他、香典をいただいた際に受け取る「香典帳」や、弔辞や弔電をいただく場合はその記録、会葬者への対応に必要な筆記用具やメモ帳なども準備しておくと役立ちます。
長時間の滞在に備える身の回り品
通夜振る舞いや精進落としなど、葬儀の間は長時間にわたり式場や斎場に滞在することがあります。
そのため、儀式に必要なものだけでなく、快適に過ごすための身の回り品も準備しておくと良いでしょう。
まず、「現金」は、急な出費や、斎場内の売店を利用する場合などに備えて、ある程度の金額を用意しておくと安心です。
クレジットカードが利用できる場所もありますが、現金しか使えない場合も少なくありません。
また、「健康保険証」や「常備薬」など、ご自身の体調管理に必要なものも忘れずに持参しましょう。
斎場は空調が効いていますが、季節によっては冷え込むこともありますので、「薄手の羽織りもの」や「膝掛け」があると、特に高齢の方や体調が優れない方には助けになります。
女性の場合は、化粧直しに必要な最低限の「化粧品」や、髪をまとめる「ヘアゴム」なども準備しておくと良いでしょう。
履き慣れない靴で長時間過ごすのが辛い場合は、斎場内で履ける「スリッパや履き替えやすい靴」を用意しておくと、足への負担を軽減できます。
いざという時のための予備と確認
葬儀当日は、予期せぬ事態が起こる可能性もゼロではありません。
万が一に備えて、いくつかの予備や確認事項を頭に入れておくと安心です。
例えば、「ハンカチやティッシュ」は、涙を拭くためだけでなく、様々な場面で役立ちますので、多めに準備しておきましょう。
特にハンカチは、黒や白のシンプルなものを用意するのがマナーです。
また、「予備のマスク」や「アルコール消毒液」も、衛生管理のために持参しておくと安心です。
携帯電話の「充電器やモバイルバッテリー」もあると、連絡が必要になった際に困りません。
急な雨に備えて「折りたたみ傘」、夏場であれば「扇子や冷感グッズ」、冬場であれば「カイロ」など、季節に応じた対策グッズも有効です。
さらに、葬儀社との打ち合わせ内容や、当日のスケジュールを記したメモを携帯しておくと、いつでも確認できて安心です。
「親族や関係者の連絡先リスト」も、急な連絡が必要になった場合に役立ちます