葬儀準備期間はどれくらい?必要な日数

大切な方を亡くされたとき、悲しみの中で進めなくてはならないのが葬儀の準備です。
「葬儀準備期間はどれくらい必要なの?」「何日間で終わるの?」といった疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
準備期間は故人が亡くなられてから葬儀・火葬が終わるまでの期間を指しますが、その日数は様々な要因によって変動します。
この記事では、葬儀準備にかかる日数の目安や、その期間中に具体的に何をすべきか、そして限られた時間で後悔のない葬儀を行うためのポイントを、分かりやすく解説します。

目次

葬儀準備にかかる日数の目安は?平均と変動要因

故人がお亡くなりになってから葬儀を終えるまでの期間は、一般的に3日から5日程度が目安とされています。
しかし、この日数はあくまで平均であり、状況によって大きく変動することがあります。
なぜ日数が変動するのか、まずは一般的な流れと合わせて見ていきましょう。

一般的な流れと平均的な日数

人が亡くなられた後、葬儀が行われるまでの一般的な流れは以下のようになります。

まず、病院やご自宅で臨終を迎えられた後、医師による死亡確認が行われ、死亡診断書(または死体検案書)が作成されます。
この死亡確認は、通常、臨終から数時間以内に行われます。

次に、ご遺体を安置場所へ搬送します。
病院で亡くなられた場合は、霊安室から自宅や斎場などの安置場所へ移動させます。
この搬送は、死亡確認後すぐに行われることが多いです。
ご遺体の安置が済んだら、葬儀社と今後のスケジュールや葬儀の内容について打ち合わせを行います。
この打ち合わせは、安置が始まった日のうちか、遅くとも翌日には行われるのが一般的です。

打ち合わせで日程が固まったら、通夜、告別式、火葬と進みます。
一般的な仏式の葬儀であれば、ご安置の翌日の夜に通夜、その翌日に告別式・火葬というスケジュールが多く見られます。
つまり、死亡日を1日目とすると、2日目に搬送・安置・打ち合わせ、3日目に通夜、4日目に告別式・火葬という流れで、最短であれば3日、一般的には4日程度で葬儀を終えることになります。
ただし、これはあくまでスムーズに進んだ場合の例です。

期間が長くなる・短くなるケース

葬儀準備期間が平均よりも長くなったり短くなったりするのには、いくつかの理由があります。
最も影響が大きいのは、火葬場の予約状況です。
特に都市部では、火葬場が混み合っていて、希望する日に予約が取れないことがよくあります。
年末年始やお盆、友引の前日なども予約が集中しやすい傾向にあります。
火葬場の予約が取れるまで、ご遺体を安置しておく必要があるため、予約が数日先になってしまうと、その分だけ葬儀全体の期間も延びてしまいます。
地域によっては、平気で1週間以上待つことも珍しくありません。
私の経験では、地方の小さな市町村では翌日でも予約が取れたのに、隣県の政令指定都市では5日待ちと言われたことがあります。
この火葬場の空き状況が、葬儀の日程を決定づける最大の要因と言えるでしょう。

また、僧侶やその他の宗教者の都合も期間に影響します。
菩提寺の僧侶のスケジュールが合わない場合、希望する日時に通夜や告別式を行えないことがあります。
大規模な葬儀を予定している場合や、遠方から親族が集まる必要がある場合も、準備や移動に時間がかかるため、期間が長くなる傾向にあります。
さらに、友引を避ける地域的な慣習も、スケジュールに影響を与える要因の一つです。

逆に、期間が短くなるケースとしては、直葬(火葬式)や一日葬など、儀式を簡略化・短縮する形式を選ぶ場合です。
これらの形式では通夜を行わないため、死亡確認から火葬までを2日程度で終えることも可能です。
ただし、火葬場の予約が取れなければ、やはりその間は安置が必要になります。
また、非常に稀なケースですが、感染症などにより、病院から直接火葬場へ搬送し、ごく短時間で火葬を行う場合もありますが、これはあくまで例外的な対応となります。

このように、葬儀準備期間は、火葬場の予約状況、宗教者の都合、葬儀の形式、遺族の都合、時期など、様々な要因によって変動します。
平均的な日数を理解しておくとともに、これらの変動要因があることを知っておくことが大切です。

葬儀準備期間中にやるべきことリストと段取り

限られた葬儀準備期間中には、実に多くのことを並行して進める必要があります。
悲しみの中で、落ち着いて段取りを進めるためにも、事前にどのようなことを行う必要があるのかを知っておくことは非常に重要です。

死亡直後から葬儀社決定までの初動

人が亡くなられた直後は、最も混乱しやすい時間帯です。
病院で亡くなられた場合は、まず医師から死亡を告げられ、死亡診断書を受け取ります。
その後、ご遺体を霊安室へ移動させることになりますが、霊安室は長時間の安置を想定していません。
そのため、速やかにご遺体を搬送し、自宅や斎場などの安置場所へ移す必要があります。

ここで重要になるのが、どの葬儀社に搬送・安置を依頼するかです。
病院から提携の葬儀社を紹介されることもありますが、必ずしもその葬儀社に葬儀の全てを依頼する必要はありません。
複数の葬儀社を比較検討する時間がない場合でも、搬送と安置だけを依頼し、その後に改めて葬儀を依頼する葬儀社を選ぶことも可能です。
ただし、搬送・安置を依頼した葬儀社以外に葬儀を依頼する場合、搬送・安置にかかった費用は実費精算になることが多いので注意が必要です。

自宅での安置か、斎場など専門の施設での安置かを選びます。
自宅安置の場合は、ご遺体を寝かせるスペースの確保、ドライアイスの手配、枕飾りの設置などが必要になります。
斎場での安置施設を利用する場合は、面会時間などが限られる場合がありますが、専門的な管理のもとで安置してもらえます。
ご遺体の搬送と安置、そして葬儀を依頼する葬儀社の決定までが、死亡直後の最も重要な初動となります。
この段階で慌てて即決せず、可能であれば複数の葬儀社に電話で問い合わせて、対応や費用を確認することをおすすめします。

葬儀社との打ち合わせで決める重要事項

ご遺体の安置が済み、葬儀を依頼する葬儀社が決まったら、いよいよ葬儀の詳細について打ち合わせを行います。
この打ち合わせは、葬儀全体の骨子を決める非常に重要な機会です。
打ち合わせで決めるべき主な事項は以下の通りです。

まず、葬儀の形式と規模を決めます。
一般葬、家族葬、一日葬、直葬など、故人やご遺族の意向、参列者の人数見込み、予算などを考慮して最適な形式を選択します。
次に、日程と場所を決定します。
火葬場の予約状況を確認しながら、通夜・告別式の日程を決めます。
斎場を利用する場合は、斎場の空き状況も確認が必要です。
宗教・宗派がある場合は、僧侶や神父、牧師などの宗教者の手配についても確認します。

葬儀費用についても詳細な見積もりを確認します。
基本料金に含まれるもの、含まれないものを明確にし、不明な点があれば必ず質問しましょう。
遺影写真に使用する写真を選びます。
故人らしい、ピントが合っている鮮明な写真を選ぶことが大切です。
棺、骨壺、仏衣なども選びます。
最近では様々なデザインや素材のものがありますので、故人のイメージに合わせて選ぶことも可能です。

その他、会葬者の見込み人数に基づいて、返礼品や会食(通夜振る舞いや精進落とし)の準備、供花・供物の手配、受付係や会計係など当日の役割分担、マイクロバスやハイヤーの手配など、多岐にわたる項目を葬儀社と相談しながら決めていきます。
打ち合わせは一度で全てが決まるとは限りませんが、この最初の打ち合わせで全体の方向性をしっかりと定めることが、その後の準備をスムーズに進める鍵となります。

葬儀当日までの具体的な手配

葬儀社との打ち合わせで基本的な内容が決まったら、葬儀当日までに具体的な手配を進めます。
葬儀社が代行してくれる手続きも多いですが、ご遺族自身が行うべきこともあります。

最も重要な手続きの一つが、死亡届の提出と火葬許可証の取得です。
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で亡くなった場合は14日以内)に、死亡地、本籍地、または届出人の所在地の市区町村役場に提出する必要があります。
通常、葬儀社が代行してくれることが多いですが、ご自身で行う場合は、死亡診断書と届出人の印鑑が必要です。
死亡届が受理されると、火葬許可証が交付されます。
この火葬許可証がないと火葬を行うことができませんので、紛失しないよう大切に保管します。

関係者への連絡も急いで行う必要があります。
親族、友人、知人、会社、学校、近所の方など、訃報を伝える範囲を決め、連絡方法(電話、メール、FAX、SNSなど)を検討します。
訃報では、故人の氏名、亡くなった日時、場所、そして葬儀の日程や場所などを伝えます。
最近は家族葬が増えているため、「葬儀は近親者のみで行いますので、ご弔問・ご香典はご辞退申し上げます」といった一文を添えることもあります。

その他、遺影写真の準備(選定した写真の提出、加工の指示)、喪服や数珠、袱紗などの準備会葬者の人数確定と会食・返礼品の発注供花・供物の最終確認受付係や会計係、駐車場の案内係など、当日の役割をお願いする方への依頼と打ち合わせなども葬儀当日までに行います。
通夜や告別式で流す故人の思い出の写真をまとめたスライドショーや、会葬御礼の挨拶状の準備なども必要に応じて行います。
これらの手配は多岐にわたりますが、葬儀社がタスク管理や手配のサポートをしてくれますので、連携を取りながら一つずつ進めていくことが大切です。
特に、葬儀社への連絡漏れや、自分たちで手配する項目と葬儀社に依頼する項目を混同しないよう注意が必要です。

限られた時間で後悔しない葬儀準備の進め方

葬儀準備は、予期せぬ出来事から始まることが多く、限られた時間の中で多くの決定を下す必要があります。
そのような状況でも、後悔のないお見送りのためにできることがあります。

事前準備がもたらすメリット

もし、ご自身やご家族の葬儀について、生前に少しでも話し合い、準備をしておくことができれば、万が一の時に遺族の負担を大きく減らすことができます。
これが葬儀の事前準備です。
事前準備と聞くと、終活の一部として大げさに感じるかもしれませんが、何も特別なことばかりではありません。
例えば、ご自身の葬儀の希望(形式、規模、参列者の範囲、使ってほしい写真、好きな音楽など)を家族に伝えておくだけでも、遺族は迷うことなく故人の意向に沿った葬儀を進めることができます。

さらに進んで、葬儀社に事前に相談し、見積もりを取っておくことも有効です。
複数の葬儀社のプランや費用をじっくり比較検討できるため、費用を抑えたり、自分たちの希望に合った葬儀社を選んだりすることが可能になります。
事前相談をしておくと、いざという時に慌てて葬儀社を決めたり、不本意な形で高額な契約をしてしまったりするリスクを減らせます
また、葬儀社との間に信頼関係を築いておけば、実際の葬儀準備が始まった際もスムーズに連携できます。
エンディングノートに希望を書き記しておくことも、立派な事前準備の一つです。

事前準備の最大のメリットは、残されたご遺族の精神的な負担を軽減できることです。
大切な人を亡くした悲しみの中で、慣れない葬儀の手配に追われるのは非常に辛い経験です。
事前に故人の希望や葬儀の方向性が分かっていれば、遺族は故人のために最善を尽くそうと、前向きな気持ちで準備に臨むことができるでしょう。
また、費用面での不安も軽減されます。
私自身の経験からも、事前に家族で葬儀について話しておいたことで、いざという時に落ち着いて対応できたという話をよく聞きます。
事前準備は、決して縁起でもないことではなく、残される家族への最後の思いやりとも言えるのです。

葬儀社との効果的な連携

葬儀準備期間中、葬儀社はご遺族にとって最も頼りになる存在です。
葬儀社は、ご遺体の搬送・安置から、役所の手続き、斎場や火葬場の予約、司会進行、当日の運営まで、葬儀に関わるあらゆる実務をサポートしてくれます。
葬儀社との連携を密に取ることは、スムーズな準備に不可欠です。

効果的な連携のためには、まず信頼できる葬儀社を選ぶことが大切です。
事前に複数の葬儀社の情報を集め、可能であれば相談会などに参加してみるのも良いでしょう。
実際に問い合わせる際は、対応の丁寧さや、費用の説明が分かりやすいかなどを確認します。
契約前には必ず詳細な見積もりを受け取り、内容を十分に理解することが重要です。
不明な点や疑問点は、遠慮なく質問しましょう。
良い葬儀社は、ご遺族の気持ちに寄り添い、一つ一つの選択肢について丁寧に説明してくれます。
逆に、契約を急かしたり、曖昧な説明しかしない葬儀社には注意が必要です。

打ち合わせの際は、ご遺族の希望や不安、故人のエピソードなどを率直に伝えましょう。
些細なことでも伝えておくことで、葬儀社は故人らしいお見送りを実現するための提案をしやすくなります。
また、葬儀社からの連絡には迅速に対応し、必要な情報(会葬者の人数変更、供花・供物の追加など)は速やかに伝えるように心がけましょう。
葬儀社はプロですが、全てを察することはできません。
積極的にコミュニケーションを取り、二人三脚で準備を進める意識が大切です。
担当者との相性も重要なので、打ち合わせを通じて信頼関係を築けるかどうかも判断基準になります。

家族間の情報共有と役割分担

葬儀準備は、一人で行うにはあまりにも負担が大きすぎます。
遺族や親族間で情報共有を密に行い、役割を分担することが、準備をスムーズに進める上で非常に重要です。

まず、故人の意向や、葬儀に対する考え方などを家族間で共有しましょう。
もし故人が生前に希望を伝えていれば、それを尊重することが大切です。
また、葬儀の規模や形式、予算など、基本的な方針についても、事前に話し合っておくことで、打ち合わせの際にスムーズに意思決定ができます。
誰が葬儀社との窓口になるか、誰が親族や関係者への連絡を担当するかなど、役割分担を決めておくと、作業が重複したり、漏れがあったりするのを防げます。

連絡係、会計係、受付係など、当日の役割をお願いする方を決める際も、事前に相談し、協力をお願いしておきましょう。
役割をお願いする方には、具体的な内容と当日の流れを分かりやすく伝えることが大切です。
遠方に住んでいる親族には、移動手段や宿泊の手配が必要か確認したり、訃報を伝える範囲や連絡方法について相談したりすることも必要です。

情報共有のツールとして、簡単なグループLINEやメールなどを活用するのも一つの方法です。
決定事項や今後のスケジュール、各自の担当などを共有することで、全員が同じ情報を把握し、スムーズに連携できます。
ただし、デリケートな内容も含まれるため、共有する範囲や方法には配慮が必要です。
家族間で協力し、それぞれの得意なことや都合に合わせて役割を分担することで、一人にかかる負担が軽減され、精神的にも支え合うことができます。
葬儀準備は大変な作業ですが、家族が一つになって故人を送る大切な時間でもあります。
互いに協力し合うことで、より心温まるお見送りを実現できるでしょう。

まとめ

葬儀準備にかかる日数は、一般的に故人がお亡くなりになってから3日~5日程度が目安となります。
しかし、これはあくまで平均であり、火葬場の予約状況や宗教者の都合、葬儀の形式、遺族の事情など、様々な要因によって期間は変動します。
特に火葬場の混雑は、葬儀の日程を大きく左右する最大の要因となり得ます。

限られた準備期間中には、死亡届の提出、葬儀社との打ち合わせ、関係者への連絡、遺影写真の準備、返礼品や会食の手配など、多岐にわたる作業を並行して進める必要があります。
悲しみの中でこれら全てを滞りなく行うのは大変なことです。
だからこそ、事前に葬儀について家族と話し合ったり、葬儀社に相談したりといった事前準備をしておくことが、いざという時に慌てず、後悔のないお見送りをするために非常に有効です。

また、葬儀準備期間中は、信頼できる葬儀社を選び、密に連携を取ることが何よりも重要です。
疑問点は遠慮なく質問し、希望や不安を率直に伝えることで、葬儀社はご遺族の意向に沿ったサポートをしてくれます。
さらに、家族や親族間でしっかりと情報共有を行い、役割を分担して協力し合うことで、一人にかかる負担を軽減し、スムーズに準備を進めることができます。
葬儀は故人を見送る大切な儀式であると同時に、残された家族が協力し合い、絆を深める機会でもあります。
この記事が、皆様の葬儀準備の一助となれば幸いです。

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