葬儀場での面会時の服装について

2025年4月28日

人が亡くなったという知らせは、突然訪れることが多いものです。
特に、お通夜や告別式に参列する時間がないけれど、故人にお別れを伝えたい、ご遺族にお悔やみを述べたいという気持ちから、葬儀場で面会を希望される方もいらっしゃいます。
しかし、いざ葬儀場へ向かうとなると、「どんな服装で行けばいいのだろう？」と悩んでしまうことはありませんか。
喪服を着るべきか、平服でも良いのか、急いで駆けつける場合はどうすれば良いのかなど、不安は尽きないものです。
葬儀場での面会時の服装は、故人やご遺族への敬意を示す大切な要素です。
この記事では、葬儀場での面会における服装のマナーについて、基本から状況別の注意点、さらに服装以外の身だしなみや持ち物まで、詳しく解説します。
急な訃報に際しても、落ち着いて対応できるよう、ぜひ参考にしてください。

葬儀場での面会、服装選びの基本マナー

急な面会でも安心！基本の服装とは

葬儀場での面会は、故人が安置されている場所へ伺い、最後のお別れをしたり、ご遺族にお悔やみを伝えたりするための大切な機会です。
この場にふさわしい服装とは、一体どのようなものなのでしょうか。
基本的には、弔意を示すために地味で落ち着いた服装を選ぶことが最も重要です。
正式には喪服を着用するのが望ましいとされていますが、面会のタイミングや状況によっては、必ずしも喪服でなければならないというわけではありません。
例えば、訃報を受けてすぐに駆けつける場合や、お通夜や告別式とは別の時間に弔問する場合など、様々なケースが考えられます。
葬儀場のスタッフとして多くの方をお迎えしている中で感じるのは、皆様故人様への深い思いやりと、ご遺族への配慮をもって来られているということです。
服装は、そのお気持ちを形にする一つの方法であり、派手な色やデザイン、光沢のある素材などは避け、故人を静かに偲ぶ場にふさわしい装いを心がけることが求められます。
男性であればダークカラーのスーツ、女性であれば地味な色のワンピースやアンサンブルなどが基本となります。
急な面会であっても、失礼にあたらないよう、できる範囲で最も落ち着いた服装を選ぶことが大切です。

喪服が準備できない場合の「平服」の考え方

ご遺族から「平服でお越しください」と言われた場合や、急な訃報で喪服を用意する時間がない場合、「平服」とは具体的にどのような服装を指すのでしょうか。
「平服」というのは、普段着を意味する言葉ではありますが、弔事における平服はあくまで「略喪服」を指すのが一般的です。
つまり、喪服ほど堅苦しくないけれど、弔いの場にふさわしい、地味で落ち着いた服装のことです。
男性であれば、黒や紺、グレーなどのダークカラーのスーツに、白無地のワイシャツ、地味な色のネクタイ（黒や紺、グレーなど）を合わせるのが一般的です。
女性であれば、黒、紺、グレーなどのダークカラーのワンピースやスーツ、アンサンブルなどが適しています。
インナーは白や黒のシンプルなものを選びましょう。
ストッキングは肌色か黒を着用し、靴は黒のシンプルなパンプスを選びます。
光沢のある素材や派手な装飾のあるものは避け、全体的に地味にまとめることが重要です。
葬儀場の現場でよく見かけるのは、急いで駆けつけた方が、手持ちのダークカラーのスーツやワンピースに、黒いカーディガンなどを羽織って来られるケースです。
喪服が準備できない場合でも、落ち着いた色合いと控えめなデザインを意識すれば、失礼にあたることは少ないでしょう。

避けるべき服装やアイテム

葬儀場での面会において、絶対に避けるべき服装やアイテムがあります。
これらは故人やご遺族、そして他の弔問客に対して失礼にあたる可能性があるため、十分に注意が必要です。
まず、明るい色や派手な柄の服装は厳禁です。
赤、黄色、オレンジなどの鮮やかな色や、大きな花柄、動物柄などは、お祝い事を連想させるため、弔いの場には全くふさわしくありません。
また、光沢のある素材や、キラキラとした装飾がついた服やアクセサリーも避けましょう。
シルクやサテンなどの光沢素材、ラメやスパンコールなどは、お祝いの席で使うものです。
動物の殺生を連想させるファーやアニマル柄も、弔事ではタブーとされています。
ミニスカートやショートパンツ、露出の多い服装も当然ながら不適切です。
ジーンズやTシャツ、スウェットなどのカジュアルすぎる服装も、たとえ急な面会であっても避けるべきです。
また、音の鳴るアクセサリーや、香りの強い香水なども、静かに故人を偲ぶ場においては他の人の迷惑になる可能性があります。
服装だけでなく、身につけるもの全体に配慮し、控えめで落ち着いた印象を心がけることが、故人への最後の敬意を示すことにつながります。

状況別！葬儀場での面会に適した服装例

仕事帰りや急な訪問での服装

仕事中に訃報を受けたり、急に面会の機会を得たりした場合、一度家に帰って喪服に着替える時間がないことも少なくありません。
このような状況では、必ずしも喪服を着用する必要はありませんが、職場から直接向かう場合でも、できる限り弔いの場にふさわしい服装を心がけることが大切です。
男性であれば、ダークカラー（黒、紺、グレーなど）のビジネススーツがあれば、そのまま着用して問題ありません。
ワイシャツは白無地が基本ですが、薄いブルーなど派手でない色であれば許容される場合もあります。
ネクタイは黒や地味な色（紺、グレーなど）のものに付け替えましょう。
派手な柄や光沢のあるネクタイは避け、シンプルなものを選びます。
女性であれば、ダークカラーのビジネススーツや、地味な色合いのワンピース、アンサンブルなどが適しています。
インナーは白や黒のブラウスを選び、露出の多いデザインは避けましょう。
アクセサリーは結婚指輪以外は外し、ストッキングは肌色か黒を着用します。
靴は黒のシンプルなパンプスを選びます。
もし明るい色のシャツやブラウスを着ている場合は、上着の色で隠したり、手持ちのカーディガンなどで隠したりするなどの工夫をすると良いでしょう。
葬儀場のスタッフは、急な面会の方がいらっしゃる状況を理解していますので、できる範囲での配慮がされていれば、失礼だと感じられることは少ないです。

親族として面会する場合の服装

親族として葬儀場で故人と面会する場合、服装のマナーは友人や知人として面会する場合と少し異なります。
親族は、弔問客を迎える立場にもなるため、基本的には喪服を着用するのが最も丁寧で適切な服装とされています。
男性であれば正喪服または準喪服、女性であれば正喪服または準喪服を着用することが一般的です。
特に、故人の配偶者や子供など、近しい親族であれば、正喪服を着用することが多いです。
しかし、遠方から急いで駆けつけた場合や、体調が優れない場合など、やむを得ない事情で喪服の準備が難しいこともあるでしょう。
そのような場合は、略喪服、つまりダークカラーのスーツやワンピースで伺うことも許容される場合があります。
ただし、この場合でも、他の親族の方々との兼ね合いや、葬儀の形式（家族葬か一般葬かなど）によって適切な服装は異なります。
迷った場合は、事前に他の親族に相談してみるか、葬儀を依頼している葬儀社に確認してみることをお勧めします。
葬儀社の担当者は、その場の状況やご遺族の意向を踏まえた適切なアドバイスをしてくれるはずです。
親族としての面会は、故人との最後のお別れであると同時に、弔問客を迎える準備の始まりでもあります。
服装は、故人への弔意と、迎える側としての礼儀を示すものとして、より丁寧な配慮が求められます。

友人・知人として面会する場合の服装

故人の友人や知人として葬儀場で面会する場合、服装はどのように選べば良いのでしょうか。
この場合、親族ほど厳格な喪服の規定はありませんが、故人を偲び、ご遺族に配慮した落ち着いた服装を選ぶことが大切です。
一般的には、喪服または略喪服を着用するのが最も無難です。
喪服がない場合は、ダークカラーのスーツやワンピースが適しています。
男性であれば、黒、紺、グレーなどのダークカラーのスーツに、白無地のワイシャツ、地味な色のネクタイを着用します。
女性であれば、黒、紺、グレーなどのダークカラーのワンピースやスーツ、アンサンブルなどが良いでしょう。
インナーは白や黒のシンプルなものを選びます。
ストッキングは肌色か黒を着用し、靴は黒のシンプルなパンプスを選びます。
平服で伺う場合でも、明るい色や派手な柄、露出の多い服装、カジュアルすぎる服装は避けるのがマナーです。
例えば、ジーパンやTシャツ、スニーカーなどは避けるべきです。
葬儀場のスタッフとして、友人や知人の方が面会にいらっしゃる様子を拝見していると、皆様故人様との思い出を胸に、静かに手を合わせていらっしゃいます。
服装は、その静かな弔いの気持ちを表すものとして、派手さを抑え、落ち着いた装いを心がけていただければ十分です。
迷った場合は、略喪服に準ずるダークカラーの服装を選んでおけば、まず失礼にあたることはないでしょう。

夏場や冬場、季節に合わせた服装の注意点

葬儀場での面会は、季節に関わらず訪れる可能性があります。
夏場や冬場など、気候に合わせた服装選びにも注意が必要です。
夏場は非常に暑い時期ですが、弔いの場ですので、露出の多い服装は避けるべきです。
男性は半袖のワイシャツでも構いませんが、ジャケットは着用するのがマナーです。
葬儀場内は冷房が効いていることが多いので、ジャケットを羽織ることで体温調節もできます。
女性は、ノースリーブやキャミソールなど、肩や腕が大きく出る服装は避け、半袖や七分袖、長袖のワンピースやブラウスを選びましょう。
暑くても、ストッキングは肌色か黒を着用するのが一般的です。
冬場は寒さ対策が必要ですが、コートの色にも注意が必要です。
明るい色や派手な柄のコートは避け、黒、紺、グレーなどのダークカラーのコートを選びましょう。
マフラーや手袋も地味な色を選びます。
葬儀場に到着したら、コートやマフラーなどは受付で脱ぐのがマナーです。
葬儀場内は暖房が効いていますが、体調を崩さないよう、体温調節ができる服装を心がけると良いでしょう。
また、夏場・冬場ともに、汗のケアや防寒対策だけでなく、服装全体が乱れていないか、清潔感があるかどうかも大切なポイントです。
季節に関わらず、故人やご遺族への配慮を忘れず、落ち着いた身だしなみを心がけましょう。

服装以外の身だしなみと持ち物の注意点

アクセサリー、髪型、メイクのポイント

葬儀場での面会では、服装だけでなく、アクセサリーや髪型、メイクといった身だしなみ全般にも配慮が必要です。
アクセサリーについては、結婚指輪以外のものは基本的に全て外すのがマナーです。
特に、光るものや揺れるもの、派手なデザインのものは厳禁です。
真珠のネックレスやイヤリングであれば許容される場合もありますが、二連になっているものや、色が華やかなものは避けるべきです。
髪型は、清潔感を第一に、すっきりとまとめるのが基本です。
長い髪は、ゴムやピンで結ぶかまとめるようにしましょう。
明るすぎる髪色や、派手なヘアアクセサリーも避けるべきです。
メイクについては、控えめなナチュラルメイクを心がけましょう。
派手な色のアイシャドウやリップ、チークは避け、肌の色に近いベージュやブラウン系の色を選びます。
ラメやパール入りのものも使用しない方が無難です。
アイラインは細く、マスカラも控えめにします。
つけまつげやカラーコンタクトレンズも避けるのが一般的です。
涙でメイクが崩れることも考えられますので、崩れても目立ちにくいメイクを意識しましょう。
弔いの場にふさわしい、落ち着いた雰囲気を演出することが重要です。

バッグや靴、コート選びの注意点

葬儀場へ持参するバッグや着用する靴、そして季節によってはコート選びも、服装と同様に大切なマナーがあります。
バッグについては、黒色で光沢のないシンプルなデザインのものを選びましょう。
布製や革製のものが一般的です。
普段使いのブランドバッグでも、ロゴが目立つものや派手な装飾があるものは避けるべきです。
金具が多すぎるものや、派手な色のものも不適切です。
サブバッグが必要な場合も、黒や紺などの地味な色のシンプルなデザインのものを用意します。
靴についても、黒色のシンプルなデザインのパンプスや革靴を選びましょう。
女性はヒールの高すぎるものや、オープントゥ、サンダルなどは避けるべきです。
エナメル素材やスエード素材など、光沢があったりカジュアルすぎたりする素材も避けるのが一般的です。
男性は黒色の革靴を選び、金具の少ないシンプルなデザインのものが良いでしょう。
コートについては、冬場に着用する場合、黒、紺、グレーなどのダークカラーで、無地のシンプルなデザインのものを選びます。
ファー付きのコートや、明るい色のコートは避けるべきです。
葬儀場に到着したら、コートは受付で脱ぎ、手に持つかクロークに預けます。
持ち物全体も、落ち着いた色合いとデザインで統一することが、弔いの場にふさわしい身だしなみとなります。