葬儀で供える花の費用相場を解説します

2025年4月28日

大切な方を送る葬儀において、感謝や哀悼の気持ちを込めてお花を供えることは、古くから続く日本の慣習の一つです。
祭壇を飾る供花は、会場を厳粛かつ穏やかな雰囲気で満たし、故人への最後の贈り物となります。
しかし、「いざ供花を送ろう」と思ったとき、多くの方が最初に気になるのが費用相場はどのくらいなのだろうか？ということではないでしょうか。
地域や葬儀の規模、手配するお花の種類によって、その費用は大きく変動します。
この記事では、葬儀で供える花の費用相場を解説しますとともに、知っておきたい手配方法や選び方、マナーについても詳しくご紹介します。
故人を偲ぶ気持ちを形にするため、適切な供花選びの参考にしていただければ幸いです。

葬儀で供える花の費用相場はいくら？種類別の目安を解説

葬儀で供えられるお花は、大きく分けて「供花（きょうか）」と「枕花（まくらばな）」、そして「献花（けんか）」や「別れ花（わかればな）」などがあります。
この記事で主に扱うのは、祭壇の脇などに飾られる「供花」と、自宅や安置場所の故人の枕元に飾る「枕花」です。
これらの花は、その種類や大きさ、アレンジ方法によって費用相場が異なります。
最も一般的に利用されるのは、スタンドに飾られた「スタンド花」や、器に活けられた「アレンジ花」です。
また、ごく近しい間柄で個人的に贈る場合や、自宅葬などで飾るために「花束」が選ばれることもあります。
それぞれの種類ごとに、一般的な費用相場と特徴を見ていきましょう。
費用はあくまで目安であり、使用する花の種類や量、アレンジの複雑さ、地域の花屋や葬儀社によって変動することを理解しておきましょう。
特に、季節外れの花や希少な花材を希望すると、費用は高くなる傾向があります。

スタンド花の費用相場と特徴

スタンド花は、葬儀会場の入り口や祭壇の脇に飾られる、高さのあるアレンジメントです。
見た目が華やかで存在感があるため、遠方から弔意を示す場合や、会社、団体など複数人で贈る場合によく選ばれます。
一般的な費用相場は、一基あたり15,000円から30,000円程度です。
一対（二基セット）で贈る場合は、この倍の金額になります。
葬儀の規模や会場の広さに合わせて、適切なサイズのスタンド花を選ぶことが大切です。
例えば、小規模な家族葬であれば一基のみとするか、あるいはスタンド花自体を飾らないこともあります。
大規模な社葬などでは、多くのスタンド花が並べられ、会場全体を荘厳な雰囲気で満たします。
スタンド花の特徴は、高さがあるため遠くからでも目立つこと、そして名札を付けて誰から贈られたものか明確にできる点です。
使用される花材は、白菊やユリ、カーネーションなどが一般的ですが、最近では故人が好きだった花や、洋花を取り入れたモダンなデザインも増えています。
ただし、葬儀社や会場によっては持ち込みのスタンド花に規定がある場合もあるため、事前に確認が必要です。
相場内の金額であっても、使用する花の種類やボリュームによって見栄えは大きく変わるため、手配する際にはどのような仕上がりになるか具体的に確認すると安心です。

アレンジ花の費用相場と特徴

アレンジ花は、カゴや器に活けられた比較的小ぶりなアレンジメントです。
祭壇の近くや受付などに飾られることが多く、自宅葬や家族葬など、比較的小規模な葬儀で選ばれる傾向があります。
費用相場は、一つあたり8,000円から20,000円程度が目安です。
スタンド花に比べて場所を取らないため、飾るスペースが限られている場合にも適しています。
アレンジ花の特徴は、スタンド花よりもデザインの自由度が高い点です。
器の種類や花材の組み合わせによって、様々な雰囲気に仕上げることができます。
故人のイメージに合わせて、色合いや使用する花を細かく指定したい場合に適していると言えるでしょう。
例えば、故人が明るい色が好きだった場合でも、白を基調としつつ控えめに淡いピンクや黄色などを加えることで、温かみのある雰囲気を出すことができます。
また、スタンド花と同様に名札を付けることが可能ですが、スペースの関係上、スタンド花よりも小さな名札になることが多いです。
葬儀会場によっては、祭壇脇に飾るアレンジ花のサイズや数を指定されることもありますので、手配前に葬儀社に確認しておくとスムーズです。
個人的に弔意を示したい場合や、複数人で出すには金額的に見合わない場合にも、アレンジ花は選択肢の一つとなります。

花束の費用相場と特徴

花束は、主に故人の枕元に飾る枕花として、あるいは出棺の際に棺に入れる別れ花として用いられます。
祭壇に飾る供花として花束を贈るケースは少ないですが、自宅葬など親しい間柄での葬儀では選ばれることもあります。
花束の費用相場は、3,000円から10,000円程度と、スタンド花やアレンジ花に比べて手頃な価格帯です。
枕花として贈る場合は、故人の安らかな眠りを願う気持ちを込めて、柔らかい色合いの控えめな花が選ばれることが多いです。
花束の特徴は、持ち運びがしやすい点と、飾る際に花瓶が必要になる点です。
自宅葬などで花瓶がある場合は問題ありませんが、葬儀会場に送る場合は、花瓶が用意されているか確認が必要です。
最近では、そのまま飾れるように簡易的な器に活けられたブーケタイプの供花も増えており、これも花束に近い感覚で贈ることができます。
別れ花として用意される花束は、参列者が故人の棺に手向けるために、一本ずつ配られることが一般的です。
この場合の費用は、葬儀プランに含まれているか、あるいは別途用意するかによって異なります。
個人的に故人に手向けたい花がある場合は、事前に葬儀社に相談してみると良いでしょう。

供花の手配方法と注意点

葬儀の供花を手配する方法はいくつかあります。
最も一般的なのは葬儀社を通して手配する方法ですが、最近ではインターネットの花キューピットのようなサービスや、地元の花屋に直接依頼することも可能です。
それぞれにメリットとデメリットがあり、状況に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。
手配する際には、葬儀の日時や場所、喪主の氏名、そして供花を贈る側の氏名（名札に記載する名前）などの情報が必要になります。
また、供花を辞退されている場合もあるため、手配する前に喪主やご遺族、または葬儀社に確認することが最も重要です。
失礼のないよう、事前の確認を怠らないようにしましょう。
特に、葬儀会場によっては提携している花屋以外からの供花の持ち込みを制限している場合があるため、この点も確認が必要です。
手配は通夜の前日までに済ませるのが一般的ですが、急な場合は当日でも対応可能なことがあります。
しかし、希望する花材やデザインがある場合は、できるだけ早く手配することをおすすめします。

葬儀社に依頼する場合のメリット・デメリット

葬儀社に供花の手配を依頼するのは、最も一般的で安心できる方法と言えます。
メリットは、何よりも手配がスムーズで手間がかからないことです。
葬儀の日程や会場の情報は葬儀社が把握しているため、伝えるべき情報が少なく済みます。
また、会場への搬入や設置、名札の手配などもすべて葬儀社が行ってくれるため、贈る側は安心して任せることができます。
特に、遠方から手配する場合や、葬儀準備で慌ただしい中で手配する場合などには、葬儀社への依頼が便利です。
さらに、葬儀社の提携する花屋は、葬儀用の花の扱いに慣れているため、宗派や地域の慣習に沿った適切な供花を用意してくれるという安心感もあります。
一方、デメリットとしては、デザインの選択肢が限られる場合があることです。
提携している花屋のカタログの中から選ぶ形になることが多く、オリジナリティのある花や、故人が特に好きだった珍しい花材を使いたいといった希望には対応できないことがあります。
また、価格帯も葬儀社によって設定されているため、外部の花屋に比べて割高になるケースも見られます。
しかし、多くの葬儀社では、様々な価格帯の供花を用意しており、一般的な希望であれば十分対応可能です。

インターネットや花屋に直接依頼する場合

インターネットの花キューピットなどのサービスや、地元の花屋に直接依頼する方法もあります。
これらの方法のメリットは、デザインの自由度が高いことや、価格を比較検討できることです。
インターネットサービスでは、多様なデザインや価格帯の供花が用意されており、自宅にいながら手軽に手配できます。
花屋に直接相談すれば、故人のイメージや希望に合わせて、より細やかなオーダーをすることも可能です。
例えば、「故人が好きだったバラを入れてほしい」「明るい雰囲気にしてほしい」といった具体的な要望に応えてもらいやすいでしょう。
価格についても、複数の花屋を比較することで、希望の予算内でより良い供花を見つけられる可能性があります。
デメリットとしては、手配の手間がかかることや、会場への搬入・設置を自分で確認する必要があることです。
インターネットで手配する場合、配送先情報などを正確に入力する必要がありますし、花屋に直接依頼する場合も、会場までの配送や設置が可能か、追加料金はかかるかなどを自分で確認しなければなりません。
また、前述の通り、葬儀会場によっては外部からの供花の持ち込みを制限している場合があるため、事前に必ず葬儀社に確認が必要です。
この確認を怠ると、せっかく手配した供花が飾ってもらえないといったトラブルになりかねません。

供花を手配する際に確認すべきこと

供花を手配する際には、いくつかの重要な確認事項があります。
まず最も大切なのは、喪主やご遺族が供花を辞退されていないかを確認することです。
最近では、家族葬などで香典や供花を辞退されるケースが増えています。
もし辞退されているにも関わらず手配してしまうと、ご遺族に余計な心労をかけてしまう可能性があります。
次に、葬儀の日時と場所を正確に把握することです。
通夜に間に合わせるのか、告別式に間に合わせるのかによって、手配の締め切り時間が異なります。
また、会場の名称や住所も正確に伝える必要があります。
そして、供花に付ける名札に記載する送り主の名前をどのようにするかを決めます。
個人で贈る場合は氏名、夫婦で贈る場合は連名（夫の名前の左に妻の名前）、会社や団体で贈る場合は会社名や団体名と代表者名などを記載します。
複数人で連名にする場合は、全員の名前を記載するか、「〇〇一同」とするかなどを決めます。
さらに、葬儀会場が外部からの供花の持ち込みを許可しているかも必ず確認が必要です。
葬儀社に依頼する場合は問題ありませんが、インターネットや花屋に直接依頼する場合は、この点が非常に重要になります。
可能であれば、事前に葬儀社の担当者に電話で確認し、持ち込みの可否や、可能な場合のルール（搬入時間、搬入場所など）を詳しく聞いておくと安心です。
これらの確認を丁寧に行うことで、スムーズに供花を手配し、故人とご遺族に失礼なく弔意を示すことができます。

葬儀で供える花の種類と選び方・マナー

葬儀に供える花は、故人を偲び、悲しみを分かち合う場にふさわしいものを選ぶ必要があります。
使用される花の種類には一定の慣習があり、色合いや飾り方にもマナーが存在します。
故人やご遺族の意向を尊重しつつ、失礼のないように花を選ぶことが大切です。
一般的に、葬儀では白を基調とした落ち着いた色合いの花が用いられます。
しかし、最近では故人が好きだった色や花を取り入れたり、洋花を使ったりすることも増えています。
どのような花を選び、どのように飾るかによって、会場の雰囲気は大きく変わります。
また、宗派によって供花に関する考え方が異なる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。
ここでは、葬儀でよく使われる花の種類や、色合い・飾り方のマナー、そして宗派や故人の意向を考慮した選び方について詳しく見ていきましょう。
適切な花を選ぶことは、故人への最後の敬意を示すとともに、ご遺族への慰めにも繋がります。