葬儀香典に使う不祝儀袋の選び方

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葬儀に参列する際に欠かせない香典。
その香典を包む「不祝儀袋」は、様々な種類があり、どのように選べば良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
故人への弔意を表す大切なものだからこそ、失礼のないように適切に準備したいものです。
この記事では、葬儀香典に使う不祝儀袋の選び方に焦点を当て、種類や金額、宗派による違い、さらには書き方や渡し方のマナーまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
いざという時に慌てないために、ぜひ最後までお読みください。

目次

葬儀香典に使う不祝儀袋の基本を知る

不祝儀袋は、故人様への弔いの気持ちを形にする大切な包みです。
一口に不祝儀袋と言っても、その種類は多岐にわたり、それぞれに意味や用途があります。
適切な不祝儀袋を選ぶためには、まず基本的な構成要素や使われる言葉の意味を理解することが重要です。
見た目は似ていても、水引の色や結び方、表書きの言葉によって、ふさわしい場面が異なります。
例えば、仏式、神式、キリスト教式など、宗教によって適切な不祝儀袋は変わってきますし、香典を渡すタイミングが通夜なのか葬儀なのかによっても、考慮すべき点があります。
これらの基本を押さえることで、故人様やご遺族に失礼なく弔意を伝えることができます。
不祝儀袋を選ぶことは、単に物を包むだけでなく、日本の弔いの文化や心遣いを理解することにも繋がります。

不祝儀袋の種類と基本的な構成

不祝儀袋は、主に「外袋(上包み)」と「中袋(中包み)」で構成されています。
外袋には、水引と表書きが印刷または手書きされており、弔事の種類や金額に応じて適切なものを選びます。
中袋は、香典として包むお金を入れるための内側の袋で、住所や氏名、金額を記載する欄があります。
この中袋があることで、受付の方が香典の管理をしやすくなり、また、香典返しなどの手配の際にも役立ちます。
不祝儀袋には、奉書紙と呼ばれる上質な和紙を使ったものや、より簡略化された印刷済みのものなど、様々な素材やデザインがあります。
金額が少ない場合は、水引が印刷された略式のものを選ぶこともありますが、金額が多くなるにつれて、より丁寧な作りのものを選ぶのが一般的です。
たとえば、1万円程度であれば印刷水引のものでも問題ありませんが、5万円や10万円といった高額を包む場合は、実際に水引がかけられた奉書紙のものを選ぶのが望ましいとされています。
また、地域によっては特定の種類の不祝儀袋が使われる慣習がある場合もありますので、心配な場合は周囲の方や葬儀社に確認してみるのも良いでしょう。

水引の種類と表書きの書き方

不祝儀袋にかけられている水引は、弔事においては「結び切り」という結び方が基本です。
これは、一度きりであってほしい弔事の出来事が繰り返されないように、という意味が込められています。
水引の色は、一般的に黒白が使われますが、地域によっては黄白や青白の水引が用いられることもあります。
特に黄白は関西地方でよく見られます。
金額が高額になる場合は、双銀(銀色)の水引を選ぶこともあります。
表書きは、不祝儀袋の表面中央上部に書く弔事の目的を示す言葉です。
仏式では一般的に「御霊前(ごれいぜん)」や「御仏前(ごぶつぜん)」が使われますが、四十九日より前は「御霊前」、四十九日以降の法要では「御仏前」とするのが一般的です。
ただし、浄土真宗では故人はすぐに仏になるという考え方から、葬儀の際でも「御仏前」を使うのが基本です。
神式では「御玉串料(おたまぐしりょう)」や「御榊料(おさかきりょう)」、キリスト教式では「お花料(おはなりょう)」や「御ミサ料(おみさりょう)」(カトリックの場合)とします。
表書きを書く際には、悲しみを表すために薄墨の筆ペンや毛筆を使うのが正式なマナーです。
これは、涙で墨が薄まった様子や、急な訃報に駆けつけたため墨を十分に磨る時間がなかったことを表現していると言われています。
お名前は、表書きの下にフルネームで書きます。

金額や状況に応じた不祝儀袋の選び方

不祝儀袋を選ぶ際には、包む金額や弔事の種類、そして故人様やご遺族の状況によって適切なものが異なります。
単に見た目だけで選ぶのではなく、それぞれの状況に合わせた配慮が求められます。
例えば、親しい間柄なのか、会社の関係者なのかによって、包む金額の相場は変わってきますし、それに伴って不祝儀袋の選び方も変わってきます。
また、近年増えている家族葬や、急な訃報で準備する時間がない場合など、状況に応じた柔軟な対応も必要になります。
ここでは、金額や様々な状況に合わせた不祝儀袋の選び方について、具体的な例を交えながら詳しく見ていきましょう。
適切な不祝儀袋を選ぶことは、ご遺族への心遣いを示す大切な行動です。

包む金額ごとの不祝儀袋の選び方

不祝儀袋は、包む金額に見合ったものを選ぶのがマナーです。
金額が少ないのに豪華な袋を使うのは不自然ですし、逆に高額なのに簡素すぎる袋では失礼にあたります。
一般的に、包む金額が1万円以下の場合は、水引が印刷された略式の不祝儀袋で問題ありません。
コンビニエンスストアや100円ショップなどでも手軽に入手できます。
金額が1万円から3万円程度の場合は、黒白または黄白の水引が実際にかけられた不祝儀袋を選ぶのが一般的です。
奉書紙など、少し上質な紙質のものを選ぶとより丁寧な印象になります。
そして、5万円以上の高額を包む場合は、より格式の高い、双銀の水引がかけられた不祝儀袋を選ぶのがふさわしいとされています。
奉書紙や大判のものなど、見た目にも重厚感のあるものを選ぶと良いでしょう。
たとえば、親しい友人や職場の同僚へ1万円を包む場合は印刷水引のものでも失礼にはあたりませんが、親戚へ3万円を包む場合は実物の水引がかかったものを、ご自身の親や兄弟へ10万円を包む場合は双銀の水引の不祝儀袋を選ぶ、といったように金額と故人との関係性に合わせて不祝儀袋の格を合わせることが大切です。
不祝儀袋の売り場には、金額の目安が記載されていることも多いので、参考にすると良いでしょう。

宗派や家族葬での注意点

不祝儀袋の選び方には、宗教・宗派による違いや、葬儀形式による注意点があります。
最も一般的な仏式では、先述の通り四十九日までは「御霊前」、それ以降は「御仏前」とするのが一般的ですが、浄土真宗では時期に関わらず「御仏前」を使用します。
また、仏式の場合でも、宗派によっては特定の表書きや水引の色が推奨される場合があります。
不安な場合は、事前に確認するか、無難な「御霊前」を選ぶのが良いでしょう(浄土真宗以外の場合)。
神式では「御玉串料」「御榊料」、キリスト教式(カトリック)では「お花料」「御ミサ料」、プロテスタントでは「お花料」「忌慰料(きいりょう)」とします。
宗教が分からない場合は、「御霊前」とするのが一般的ですが、キリスト教式の場合は「お花料」が無難です。
近年増えている家族葬の場合、香典を辞退されるケースも少なくありません。
事前に香典辞退の意向が伝えられている場合は、無理に香典を持参する必要はありません。
もし持参する場合は、ごく少額を包むか、または不祝儀袋は持参せず、後日弔問時に弔電や供物、供花などを送るという選択肢もあります。
また、家族葬だからといって不祝儀袋の選び方自体が大きく変わるわけではありませんが、参列者が限られるため、より故人様やご遺族との関係性を考慮して選ぶことが大切です。
例えば、親族のみの家族葬であれば、親族間で事前に取り決めがある場合もありますので、確認しておくと安心です。

不祝儀袋の準備と渡し方のマナー

不祝儀袋を準備する際には、適切な袋を選ぶだけでなく、中に入れるお札の準備や、袋への入れ方にも細やかな配慮が必要です。
また、葬儀の場で不祝儀袋をどのように持ち運び、受付でどのように渡すかといった一連の流れにもマナーがあります。
これらのマナーを知っているかどうかで、ご遺族への印象も変わってきます。
急な訃報に際しては、慌ててしまいがちですが、事前に基本的な準備やマナーを頭に入れておくことで、落ち着いて対応することができます。
ここでは、不祝儀袋に入れるお金の準備から、実際の渡し方まで、知っておきたい一連のマナーについて詳しく解説します。

香典の入れ方と紙幣について

不祝儀袋に香典を入れる際には、お札の向きや状態に注意が必要です。
香典には、不幸を予期して準備していたと思われないように、新札ではなく古札(使い慣れたお札)を使用するのがマナーとされています。
ただし、あまりにもくしゃくしゃで汚れたお札は失礼にあたるため、適度に使い慣れた、きれいな古札を選ぶのが望ましいでしょう。
新札しかない場合は、一度折って折り目をつけてから包むようにします。
お札の向きは、お札の肖像画が裏側(不祝儀袋の表に対して裏向き)になるように入れ、さらに肖像画が下側になるように揃えるのが一般的です。
これは、悲しみのあまり顔を伏せている様子を表しているという説や、急な訃報で慌てて準備したためお札を揃える余裕がなかったことを示すという説などがあります。
複数枚のお札を包む場合は、向きを揃えて入れます。
中袋がある場合は、まずお札を中袋に入れ、中袋の表に金額、裏に住所と氏名を記載します。
そして、中袋を外袋に入れます。
中袋がない不祝儀袋の場合は、お札を半紙などで包んでから外袋に入れるか、または直接外袋に入れますが、中袋付きのものを選ぶのがより丁寧な対応とされています。
金額は、大字(旧字体)で記載するのが正式ですが、最近では漢数字で記載することも増えています。
例えば、1万円なら「金壱萬圓也」または「金一万円」と記載します。

不祝儀袋の購入場所と渡し方

不祝儀袋は、文房具店、デパート、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、100円ショップなど、様々な場所で購入できます。
急な弔事の場合、24時間営業しているコンビニエンスストアは非常に便利ですが、品揃えは限られることが多いです。
金額に見合った、より丁寧な不祝儀袋を選びたい場合は、文房具店やデパートの文具売り場、または葬儀関連の品を取り扱っているお店で選ぶのがおすすめです。
これらの店舗では、様々な種類や価格帯の不祝儀袋が揃っており、店員さんに相談することも可能です。
不祝儀袋を持参する際は、むき出しのままではなく、袱紗(ふくさ)に包んで持ち運ぶのが正式なマナーです。
袱紗の色は、弔事用としては紺色、緑色、灰色、紫色などが適しています。
紫色の袱紗は慶弔どちらにも使えるため、一つ持っていると便利です。
葬儀の受付では、まず記帳を済ませます。
その後、受付の方に一礼し、「この度は心よりお悔やみ申し上げます」などのお悔やみの言葉を述べながら、袱紗から不祝儀袋を取り出し、相手から見て表書きが正面になるように両手で渡します。
袱紗がない場合は、黒や紺などの地味な色の風呂敷や小さな手提げ袋に入れて持ち運び、渡す際に袋から出して手渡しします。
香典を渡すタイミングは、通夜または葬儀・告別式の受付が一般的です。
どちらか一方に参列する場合はその時に、両方参列する場合は通夜の際に渡すのが一般的ですが、特に決まりはありません。

まとめ

葬儀香典に使う不祝儀袋の選び方は、故人様への弔意を表すとともに、ご遺族への心遣いを示す大切なマナーの一つです。
不祝儀袋には様々な種類があり、水引の色や結び方、表書きの言葉にはそれぞれ意味があります。
包む金額や、仏式、神式、キリスト教式といった宗教・宗派によって適切な不祝儀袋は異なります。
また、近年増えている家族葬など、葬儀の形式によっても配慮すべき点があります。
不祝儀袋を選ぶ際には、金額に見合ったものを選ぶこと、そして宗派や状況に合わせた表書きを選ぶことが重要です。
香典として包むお札は、新札を避け、古札を使用するのがマナーとされています。
お札の向きや入れ方にも決まりがありますので、失礼のないように事前に確認しておきましょう。
不祝儀袋は、文房具店やデパート、コンビニエンスストアなど様々な場所で購入できますが、急な弔事の場合はコンビニエンスストアが便利です。
しかし、金額が高額な場合や、より丁寧なものを選びたい場合は、品揃えが豊富な文房具店などを利用するのが良いでしょう。
不祝儀袋は袱紗に包んで持ち運び、葬儀の受付で両手で渡すのが正式なマナーです。
これらの不祝儀袋に関する知識とマナーを身につけておくことで、いざという時に慌てず、故人様への弔いの気持ちとご遺族への心遣いを適切に伝えることができます。
この記事が、皆様の不祝儀袋選びの一助となれば幸いです。

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