葬儀香典辞退する場合の伝え方例文

菊

故人を偲び、最期の時間を大切にしたいという想いから、葬儀において香典を辞退されるご遺族が増えています。
しかし、長年の慣習である香典を辞退することは、参列される方々にとっては戸惑いもあるかもしれません。
失礼なく、かつご遺族の意向を尊重していただくためには、葬儀香典辞退する場合の伝え方例文を知っておくことが非常に重要です。
どのような状況で、誰に、いつ伝えるのが適切なのか、そしてどのような言葉を選べば故人への敬意と遺族の感謝の気持ちが伝わるのか。
この記事では、香典辞退を検討されている方が安心してその意向を伝えられるよう、具体的な方法と心構えを詳しくお伝えします。

目次

葬儀で香典を辞退する意向を伝える基本

近年、葬儀の形式が多様化し、家族葬や一日葬といった小規模な形式が増える中で、香典を辞退されるご遺族が増えています。
これは、参列者に金銭的な負担をかけたくない、形式よりも故人を静かに見送ることを優先したい、といった様々な理由や故人の遺志によるものです。
香典辞退の意向を伝えることは、ご遺族にとって故人との最期の時間を穏やかに過ごすための大切な選択の一つと言えます。
しかし、この意向をどのように伝えれば、長年の慣習として香典を用意してくださる方々に失礼なく、スムーズに受け入れていただけるかが鍵となります。
香典辞退の意思表示は、故人への敬意と参列者への配慮を示す行為であるべきです。
そのため、伝えるタイミングや方法、そして言葉選びには十分な配慮が求められます。
香典辞退の基本的な考え方を理解し、それを丁寧に伝える準備をすることが、後のトラブルを防ぎ、故人を偲ぶ大切な時間を守ることにつながります。

なぜ香典辞退を選ぶのか?その背景にある想い

ご遺族が香典辞退を選ばれる背景には、様々な温かい想いがあります。
最も一般的な理由としては、参列者の皆様に余計なご負担をおかけしたくない、という配慮が挙げられます。
遠方から駆けつけてくださる方や、故人のために時間を割いてくださる方々への感謝の気持ちから、せめてもの配慮として香典を受け取らない選択をされるケースは多いです。
また、近年増えている家族葬など、ごく近親者のみで静かに故人を見送りたいという意向の場合も、香典の受け渡しといった儀礼的なやり取りを避けたいという理由から辞退されることがあります。
さらに、故人自身の生前の強い希望であることも少なくありません。
「自分の葬儀では、来てくださるだけで十分」「皆さんに手間をかけさせたくない」といった故人の遺志を尊重し、香典辞退を決断するご遺族もいらっしゃいます。
これらの背景にあるのは、単なる形式的な辞退ではなく、故人への深い愛情と、故人を大切に思ってくださる方々への心からの感謝の気持ちです。
これらの想いを参列者に理解してもらうためには、伝える言葉にその気持ちを込めることが大切になります。

香典辞退の意思決定はいつ行うべきか

香典辞退の意思決定は、葬儀の準備の早い段階で行うことが理想的です。
具体的には、ご逝去後、葬儀社との打ち合わせを行う際に、喪主やご遺族の総意として決定しておくのが一般的です。
なぜなら、香典辞退の意向は、訃報の連絡や葬儀の案内状に記載することが多いため、これらの準備と並行して進める必要があるからです。
葬儀社に事前に香典辞退の意向を伝えておくことで、適切な案内方法や、万が一香典を差し出された場合の対応についてもアドバイスをもらうことができます。
また、親戚や故人の親しい友人など、特に香典を用意してくださる可能性の高い方々には、訃報と併せて早めに伝えることで、相手が準備を始める前に意向を伝えることができます。
意思決定が遅れると、すでに香典を用意してしまった方に対して、改めて辞退の意向を伝えることになり、かえって手間や気を使わせてしまう可能性があります。
葬儀の準備は慌ただしいものですが、香典辞退については、できるだけ早い段階でご遺族間で話し合い、方針を決定することがスムーズな進行のために非常に重要です。

誰に、どのような手段で伝えるのが適切か

香典辞退の意向は、葬儀に参列される可能性のあるすべての方に伝える必要があります。
具体的には、親戚、友人、知人、仕事関係者など、故人と関わりのあった方々です。
伝える手段としては、主に以下の方法があります。
最も一般的なのは、訃報の連絡の中に含める方法です。
電話やメール、FAXで訃報を伝える際に、「誠に勝手ながら、故人の遺志により、ご香典、ご供花、ご供物の儀は固くご辞退申し上げます」といった一文を添えます。
また、葬儀の案内状や会葬礼状にも、同様の文言を記載することが一般的です。
最近では、インターネット上の訃報サイトやSNSを活用して訃報を伝える場合にも、香典辞退の旨を明記することが増えています。
大切なのは、できるだけ多くの人に、誤解なく確実に意向が伝わる手段を選ぶことです。
特に、遠方の方や、普段あまり連絡を取り合わない方には、訃報連絡と同時に伝えることが重要です。
また、葬儀当日の受付にも、香典辞退の旨を記した案内板を設置したり、受付担当者から改めて口頭で伝えたりすることも有効です。
これらの複数の手段を組み合わせることで、香典辞退の意向がより確実に、そして丁寧な形で伝わります。

状況別 香典辞退の具体的な伝え方と例文集

香典辞退の意向を伝える際には、どのような状況で伝えるかによって、適切な言葉選びや伝え方が異なります。
訃報連絡に含めるのか、葬儀案内状に記載するのか、あるいは葬儀当日の受付で伝えるのかなど、状況に応じた具体的な伝え方を知っておくことで、よりスムーズに、そして失礼なく意向を伝えることができます。
また、どのような言葉を使えば、ご遺族の感謝の気持ちと故人を偲ぶ温かい想いが伝わるのか、具体的な例文を参考に準備を進めることが大切です。
ここでは、様々な状況を想定した香典辞退の伝え方と、そのまま使える具体的な例文をご紹介します。
これらの例文を参考に、ご自身の状況に合わせて言葉を調整することで、参列される方々への配慮を示しながら、ご遺族の意向をしっかりと伝えることができるでしょう。

訃報連絡や案内状に記載する際の例文

訃報連絡や葬儀案内状は、香典辞退の意向を伝える最も一般的な手段です。
これらの書面に記載することで、多くの関係者に一度に、正確な情報を伝えることができます。
記載する際には、簡潔かつ明確に意向を伝えることが重要ですが、そこに故人やご遺族の想いを少し加えることで、より丁寧な印象になります。

例文1:故人の遺志による辞退の場合
「誠に勝手ながら、故人の生前の意向により、ご香典、ご供花、ご供物の儀は固くご辞退申し上げます。
何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

この例文は、故人の遺志であることを明確に伝えることで、ご遺族の判断だけでなく故人の希望であることを強調し、参列者の理解を求めます。

例文2:遺族の意向による辞退の場合
「誠に恐縮ではございますが、この度の葬儀につきましては、ご会葬の皆様にはご弔意のみ頂戴し、ご香典、ご供花、ご供物の儀は謹んでご辞退申し上げます。
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

この例文は、遺族の意向であることを伝えつつ、弔意はありがたく頂戴するという姿勢を示すことで、参列者の気持ちに寄り添う表現です。

例文3:家族葬など小規模な葬儀の場合
「葬儀は近親者のみにて執り行います。
つきましては、誠に勝手ながら、ご香典、ご供花、ご供物の儀は辞退させていただきます。
皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。

小規模な葬儀であることを伝えることで、香典辞退の理由を暗に示すとともに、参列できない方への配慮も示しています。

これらの例文はあくまで一例です。
大切なのは、ご遺族の率直な気持ちや故人への想いを、これらの定型文に少し加えて伝えることです。
例えば、「故〇〇は、皆様にいつもお世話になっていることに感謝しておりました。
皆様にご負担をおかけしたくないという故人の遺志により、香典は辞退させていただきます」のように、具体的なエピソードや故人の人柄に触れる一文を加えることで、より心がこもった伝わり方になります。

葬儀当日、参列者への配慮ある伝え方

訃報連絡や案内状で香典辞退の意向を伝えていても、葬儀当日、香典を持参される方は少なくありません。
そのような場合に備え、葬儀の現場でも丁寧かつスムーズに意向を伝える準備をしておくことが大切です。
受付には、香典辞退の旨を記した案内板を設置するのが一般的です。
案内板には、訃報連絡や案内状に記載した文言と同様の内容を記します。
また、受付を担当する方にも、事前に香典辞退の意向と、もし香典を差し出された場合の対応方法を伝えておきましょう。

受付担当者からの口頭での伝え方例文:
参列者:「この度はご愁傷様でございます。
どうぞお納めください。

受付担当者:「恐れ入ります。
お心遣いありがとうございます。
誠に恐縮ながら、故人の遺志により、ご香典につきましては辞退させていただいております。
お気持ちだけありがたく頂戴いたします。

または、
受付担当者:「恐れ入ります。
この度はご足労いただき、ありがとうございます。
誠に勝手ながら、ご香典は辞退させていただいており、お気持ちだけ頂戴しております。
何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。

このように、感謝の言葉を述べつつ、香典辞退の意向を丁寧に伝えることが重要です。
無理に押し問答をするのではなく、相手の気持ちを尊重しつつ、ご遺族の意向を伝える姿勢が求められます。
また、受付で記帳だけをお願いする場合も、「記帳のみお願いしております」といった案内を明確に行う必要があります。
葬儀当日はご遺族も参列者も感情的になりやすい状況です。
事前にしっかりと準備をしておくことで、予期せぬ状況にも落ち着いて対応でき、故人を偲ぶ時間に集中することができます。

後日香典を差し出された場合の対応

葬儀に参列できなかった方が、後日ご自宅を訪問された際などに香典を差し出されるケースもあります。
事前に香典辞退の意向を伝えていたとしても、相手が知らなかったり、どうしても弔意を示したいという気持ちから持参されたりすることがあります。
このような場合も、基本的には辞退の意向を丁寧に伝えるのが原則です。

後日香典を差し出された場合の伝え方例文:
「〇〇様、この度は遠いところ(お忙しい中)、わざわざお越しいただき、ありがとうございます。
また、お心遣いいただきまして、誠に恐縮でございます。
葬儀の際にもご案内させていただきましたが、故人の遺志により、ご香典につきましては辞退させていただいております。
せっかくお持ちいただいたのに申し訳ございませんが、お気持ちだけありがたく頂戴いたします。

もし相手がどうしても受け取ってほしいと強く願う場合や、関係性によっては、一度は辞退しつつも、相手の気持ちを汲んで受け取るという判断をすることもあるかもしれません。
しかし、基本的には香典辞退の意向を貫く方が、後々の対応(返礼品など)を考えるとスムーズです。
受け取った場合は、後日改めてお礼状をお送りするなど、丁寧な対応を心がけましょう。
大切なのは、相手の弔意や心遣いに対する感謝の気持ちをしっかりと伝えることです。
辞退する場合でも、受け取る場合でも、感謝の気持ちを伝えることを忘れないようにしましょう。

香典辞退と合わせて検討したいこと、注意点

香典を辞退する場合、香典以外の弔意の表し方についても考慮しておく必要があります。
供花や供物、弔電なども香典と同様に辞退するのか、それとも受け取るのかを事前に決めておくことが重要です。
また、香典辞退を伝える際には、誤解を招かないための言葉選びや、参列者への配慮など、いくつか注意すべき点があります。
香典辞退をスムーズに行い、故人を気持ちよく見送るためには、これらの点についても事前にしっかりと検討しておくことが大切です。
ここでは、香典辞退と合わせて検討すべき事項や、伝える上での注意点、マナーについて詳しく解説します。

供花・供物・弔電は受け取るべきか

香典を辞退する場合、多くの場合、供花や供物、弔電も合わせて辞退することが一般的です。
これは、弔意の受け取り方を一律にするためと、受け取るものと辞退するものが混在すると、参列者が混乱したり、辞退した方への配慮が難しくなったりするためです。
訃報連絡や案内状に「ご香典、ご供花、ご供物の儀は固くご辞退申し上げます」とまとめて記載することで、意向を明確に伝えることができます。

しかし、故人が生前、特定の団体や個人から特別に親しくしていただいていた場合など、どうしても供花や弔電を受け取りたいというケースもあるかもしれません。
そのような場合は、「誠に勝手ながら、ご香典につきましては辞退させていただきます。
なお、お供えのお花や弔電につきましては、故人も喜ぶかと存じますので、ありがたく頂戴いたします」のように、例外的に受け取るものがある旨を明確に伝える必要があります。
ただし、このように一部だけ受け取る形にすると、受け取らなかった方への配慮が難しくなる場合もあるため、基本的には全て辞退する方が混乱が少ないでしょう。
もし一部だけ受け取る場合は、なぜそれだけを受け取るのか、簡単な理由を添えると、参列者も納得しやすくなります。
例えば、「故人が所属していた団体の皆様からの供花は、故人の活動の証として受け取らせていただきます」のように具体的に伝えることで、特定の供花だけを受け取る理由が明確になります。

記帳だけをお願いする場合の伝え方

香典は辞退するものの、誰が参列してくれたのかを把握するために、記帳だけはお願いしたいというご遺族もいらっしゃいます。
この場合も、その意向を明確に伝えることが重要です。
訃報連絡や案内状、そして葬儀当日の受付に、「誠に勝手ながら、ご香典は辞退させていただきます。
なお、恐縮ながら、ご記帳だけお願い申し上げます。
」といった文言を記載または掲示します。

記帳をお願いする場合の伝え方例文:
「この度はご会葬いただき、誠にありがとうございます。
誠に恐縮ではございますが、ご香典につきましては辞退させていただいております。
お気持ちだけありがたく頂戴し、こちらでご記帳だけお願いできますでしょうか。

このように、香典辞退の意向を伝えた上で、記帳をお願いする旨を丁寧に伝えます。
記帳台には、香典辞退と記帳のお願いについて明確に記した案内板を設置しておくと、参列者も迷うことなく対応できます。
記帳は、後日、誰が参列してくれたかを確認し、お礼状を送る際のリストとしても役立ちます。
香典辞退は、参列者の皆様に負担をかけないための配慮ですが、ご遺族としては、故人のために足を運んでくださった方々へ感謝の気持ちを伝えたいと願っています。
記帳は、その感謝を伝えるための大切な手がかりとなります。

香典辞退を伝える際のマナーと心構え

香典辞退を伝える上で最も大切なのは、参列者の方々への感謝の気持ちと、故人を偲ぶ温かい想いを伝えることです。
単に「香典は結構です」と突き放すような言い方ではなく、「お気持ちだけありがたく頂戴いたします」「お越しくださるだけで十分です」といった、相手の弔意に対する感謝を示す言葉を添えることが重要です。
また、辞退の理由を簡潔に伝えることで、参列者も納得しやすくなります。
「故人の遺志ですので」「皆様にご負担をおかけしたくないという遺族の思いからです」など、具体的な理由を添えましょう。

さらに、香典辞退の意向を伝えたにも関わらず、どうしてもと香典を差し出される方もいらっしゃいます。
そのような場合も、頭ごなしに拒否するのではなく、一度は丁寧に辞退の意向を伝えた上で、相手の気持ちを尊重する姿勢を見せることが大切です。
無理強いはせず、相手の気持ちに寄り添いながら、ご遺族の意向を理解してもらう努力をしましょう。
最も避けたいのは、香典辞退を巡って参列者との間に気まずい雰囲気やトラブルが生じることです。
故人を偲ぶ大切な場が、そのようなことで損なわれないよう、事前にしっかりと準備し、心を込めて伝えることが何よりも重要です。
また、香典を辞退した場合でも、後日、葬儀に参列してくださった方や、弔意を示してくださった方々へ、お礼状をお送りするなど、丁寧な対応を心がけることで、感謝の気持ちがより深く伝わります。

まとめ

葬儀において香典を辞退することは、故人の遺志やご遺族の想いを尊重し、参列者の負担を減らすための大切な選択です。
しかし、その意向を伝える際には、長年の慣習や参列者の弔意に配慮し、丁寧な言葉選びと適切なタイミングが求められます。
訃報連絡や葬儀案内状に明確に記載し、葬儀当日の受付でも改めて伝えるなど、複数の手段で確実に意向を伝えることが重要です。
また、供花や供物、弔電についても、香典と合わせて辞退するかどうかを事前に検討し、一貫した対応を心がけましょう。
万が一、香典を差し出された場合も、感謝の気持ちを伝えつつ、丁寧に辞退の意向を伝えることが大切です。
香典辞退は、単なる形式的な行為ではなく、故人への最後の敬意と、故人を偲んでくださる方々への心からの感謝を示す機会でもあります。
この記事でご紹介した具体的な伝え方や例文、そして心構えを参考に、ご遺族にとっても参列者にとっても、故人を温かく見送る大切な時間を過ごせるよう願っています。

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