葬儀香典お金の正しい入れ方と向き

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葬儀の香典、お金の準備で迷わない!金額と新札・旧札の選び方

大切な方を見送る葬儀において、弔意を示す香典は欠かせないものです。
しかし、香典を渡す機会はそう頻繁にあるわけではないため、「いくら包めばいいの?」「お札は新札?旧札?」など、お金に関する疑問や不安を感じる方は少なくありません。
特に、お札の入れ方や向きといった細かいマナーは、普段意識することが少ないため、いざという時に戸惑ってしまうこともあります。
香典には、単にお金を渡すだけでなく、故人を偲び、遺族の負担を少しでも軽減したいという心遣いが込められています。
だからこそ、失礼のないように正しいマナーを知っておくことが大切なのです。
この記事では、葬儀香典お金の正しい入れ方と向きを中心に、金額の相場からお札の選び方、避けるべきタブーまで、香典に関するお金の準備について詳しく解説します。
これを読めば、いざという時にも慌てず、故人への弔意をしっかり伝えることができるでしょう。
故人への最後の心遣いを形にするためにも、香典に関する正しい知識を身につけ、自信を持って準備を進めましょう。

香典の金額、故人との関係性で変わる相場を解説

香典の金額は、故人との関係性によって一般的な相場があります。
これは、故人との親しさや生前のお付き合いの深さを考慮した、古くからの慣習に基づいています。
例えば、両親や兄弟姉妹といった身近な家族の場合は、他の関係性よりも高めの金額を包むのが一般的です。
これは、遺族として葬儀費用の一部を負担するという意味合いも含まれるためです。
一方、友人や知人、職場関係の方の場合は、もう少し控えめな金額が相場となります。
また、自分の年齢によっても相場は変動することがあります
一般的に、年齢が上がるにつれて包む金額も高くなる傾向にありますが、これは社会的な立場や収入の変化を反映していると考えられます。
例えば、20代の場合は3千円~1万円程度、30代の場合は5千円~3万円程度、40代以上の場合は1万円~5万円以上と、関係性にもよりますが、年齢とともに相場の上限が上がっていく傾向が見られます。
ただし、これらの金額はあくまで目安であり、地域によって慣習が異なる場合や、故人や遺族の意向によって金額を辞退される場合もあります。
最も大切なのは金額の多寡ではなく、故人を偲び、遺族を気遣う気持ちです。
周囲の方と相談したり、地域の慣習を確認したりしながら、無理のない範囲で気持ちを込めて金額を決めましょう。
初めて香典を出す場合や、故人との関係性が複雑な場合は、親族や信頼できる先輩などに相談してみるのも良い方法です。

香典に使うお札は新札?旧札?適切な選び方と理由

香典に包むお札は、新札ではなく旧札(使い慣らされたお札)を使うのがマナーとされています。
これには、日本の弔事における心遣いが深く関わっています。
新札は、結婚式などのお祝い事にはふさわしいとされていますが、葬儀においては「不幸があることを予測して事前に準備していた」という印象を与えてしまう可能性があるため、避けるのが一般的です。
急な訃報を受けて駆けつけるのが葬儀であるため、事前に準備ができなかったという気持ちを、使い慣らされた旧札に託すのです。
これは、単なる形式ではなく、故人や遺族への配慮から生まれた慣習と言えるでしょう。
ただし、どうしても手元に旧札がない場合もあります。
そのような場合は、無理に旧札を探し回る必要はありません。
新札しかない場合は、一度お札に折り目をつけてから包むようにしましょう
これによって、「急いで準備したため、新札しか用意できなかった」という気持ちを表すことができます。
この折り目をつけるという一手間も、相手への配慮を示す大切な行為なのです。
また、あまりにボロボロのお札や破れているお札は、かえって失礼にあたる可能性があります。
適度に使い慣らされた、しかし清潔感のあるお札を選ぶのが望ましいでしょう。
香典に使うお札を選ぶ際には、単にルールとして旧札を使うのではなく、なぜ旧札を使うのかという理由を理解し、故人を偲び遺族を気遣う気持ちを込めることが最も重要です。

避けるべき金額や枚数、知っておきたいタブー

香典の金額や包むお札の枚数には、避けるべきとされているタブーがあります。
これは、古くから伝わる縁起担ぎや言葉遊びに基づいています。
特に「4」と「9」という数字は、それぞれ「死」と「苦」を連想させるため、金額や枚数に使用することは避けられています
例えば、4千円や9千円といった金額は、これらの不幸を連想させる数字が含まれるため、包まないのが一般的です。
また、お札の枚数も同様で、4枚や9枚といった枚数になるように包むのは避けるべきとされています。
さらに、香典では「割り切れる偶数」を避けるのが一般的です。
これは、結婚式などのお祝い事では「夫婦が末永く一緒にいられるように」という意味で割り切れない奇数が好まれるのに対し、弔事では「故人との縁が切れる」「不幸が繰り返されない」といった意味合いから、割り切れない奇数が好まれるとされています。
例えば、2万円や4万円といった偶数の金額は避ける傾向にあります。
ただし、例外として「二万円」は、近年では夫婦連名で包む場合に「二人の気持ち」として許容されることも増えています
これは、時代の変化とともにマナーも変化しつつある一例と言えるでしょう。
これらのタブーは、単なる迷信ではなく、故人や遺族に不快な思いをさせないための配慮として生まれたものです。
特に年配の方や伝統を重んじる地域では、これらのタブーを強く意識される場合があります。
迷った場合は、避けるべき数字や枚数を含まない金額を選ぶのが無難です。
形式だけでなく、その背景にある「故人への敬意」と「遺族への心遣い」を理解し、タブーを避けることで、より丁寧な弔意を示すことができます。

香典袋の選び方と正しい書き方、お金を入れる前の準備

不祝儀袋の種類と選び方、宗派による違い

香典を包む袋は「不祝儀袋」と呼ばれ、様々な種類があります。
故人の宗派や、包む金額によって適切な袋を選ぶことが大切です。
最も一般的なのは、白黒の水引がかかった不祝儀袋です。
これは仏式、神式、キリスト教など、多くの宗派で使うことができます。
水引の本数は、一般的に4本または6本のものが使われます。
金額が少ない場合は水引が印刷されたもの、金額が多い場合は本物の水引がかかったものを選ぶのが一般的です。
金額の目安としては、1万円以下であれば印刷されたものでも良いでしょう。
ただし、地域によっては金額に関わらず本物の水引を選ぶのが丁寧とされる場合もあります。
また、関西地方の一部では、黄白の水引が使われることもあります。
これは、古くからの慣習に基づいています。
仏式の場合、蓮の絵が描かれた不祝儀袋を使うこともあります
蓮は仏教において極楽浄土を連想させる花であるため、仏式の葬儀でよく用いられます。
しかし、蓮の絵は仏式以外では使わないため、故人の宗派が分からない場合は、白黒の水引のものを選ぶのが無難です。
神式の場合は、白黒または双銀の水引で、表書きは「御玉串料」「御榊料」とします。
キリスト教の場合は、十字架やユリの花が描かれた不祝儀袋や、無地の白い封筒を使用し、表書きは「御花料」「献花料」とします。
このように、宗派によって適切な不祝儀袋は異なります。
故人の宗派が事前に分かっている場合は、それに合わせて選びましょう。
もし分からない場合は、宗教・宗派を問わず使える「御霊前」と書かれた白黒の水引の袋を選んでおけば、ほとんどの場合で失礼にあたることはありません。
不祝儀袋を選ぶ際には、包む金額と故人の宗派(不明な場合は宗派を問わないもの)を考慮することが重要です。

香典袋の外袋・中袋、それぞれの正しい書き方

香典袋には、お金を入れる中袋(内袋)と、それを包む外袋(上包み)があります。
それぞれに正しい書き方がありますので、失礼のないように丁寧に記入しましょう。
まず、外袋の表書きです。
水引の上に書く文字は、故人の宗派によって異なります。
仏式の場合は、一般的に「御霊前(ごれいぜん)」と書きます
ただし、四十九日を過ぎている場合は、故人は仏様になっているとされるため「御仏前(ごぶつぜん)」とします。
神式の場合は「御玉串料(おたまぐしりょう)」や「御榊料(おさかきりょう)」、キリスト教の場合は「御花料(おはなりょう)」や「献花料(けんかりょう)」とします。
宗派が不明な場合は「御霊前」とするのが最も一般的で無難です。
次に、外袋の水引の下に氏名を書きます。
氏名は、フルネームで楷書で丁寧に書きましょう
複数人で連名にする場合は、目上の方(または代表者)の氏名を中央に書き、その左側に他の人の氏名を並べて書きます。
3名までの連名であれば外袋に全員の氏名を書いても良いですが、それ以上の人数の場合は代表者の氏名のみを書き、その左下に「外一同(ほかいちどう)」と記し、中袋に全員の氏名と金額を記入するのが一般的です。
外袋の氏名を書く際は、薄墨の筆ペンや毛筆を使うのがマナーです。
これは、「悲しみの涙で墨が薄まってしまった」「急いで駆けつけたため墨をする時間がなかった」といった気持ちを表すためとされています。
濃い墨で書くと、まるで不幸を待ち望んでいたかのような印象を与えてしまう可能性があるため、避けましょう。
次に中袋です。
中袋には、入れた金額、自分の住所、氏名を記入します。
金額は、改ざんを防ぐために「大字(だいじ)」と呼ばれる漢字を使うのが丁寧です。
「一」は「壱」、「二」は「弐」、「三」は「参」、「五」は「伍」、「十」は「拾」、「千」は「仟」または「阡」、「万」は「萬」と書きます。
例えば、一万円であれば「金壱萬圓也」、五千円であれば「金伍仟圓也」と記入します。
「也」はつけてもつけなくても構いません。
住所は都道府県から番地まで、氏名はフルネームで記入します。
中袋は濃い墨で書いて構いません。
これは、遺族が香典の整理をする際に、誰からいくらいただいたのかを正確に把握できるようにするためです。
中袋の裏面には、郵便番号、住所、氏名を書く欄が印刷されていることが多いので、それに従って記入すると良いでしょう。
外袋と中袋、それぞれに正しい書き方をすることで、故人への弔意と遺族への配慮をしっかりと伝えることができます。

香典袋にお金を入れる前に確認したいこと

香典袋にお金を包む前に、いくつか確認しておきたい大切なポイントがあります。
これらの確認を怠ると、せっかくのマナーが台無しになってしまうこともありますので、必ずチェックしましょう。
まず、包む金額が適切かどうかです。
前述したように、故人との関係性やご自身の年齢、地域の慣習などを考慮して決めた金額が、不祝儀袋の種類と合っているかを確認しましょう。
例えば、高額な香典を水引が印刷された安価な袋に包むのは失礼にあたりますし、少額の香典に豪華な袋を使うのも不自然です。
次に、お札の種類と状態です。
香典には旧札を使うのがマナーですが、どうしても新札しかない場合は、一度折り目をつけることを忘れないようにしましょう。
また、破れていたり、あまりに汚れていたりするお札は避けるべきです。
複数枚のお札を包む場合は、すべて同じ種類のお札で揃えるのが望ましいです。
そして、お札の枚数がタブーとされる数字になっていないかを確認します。
4枚や9枚といった枚数は避けましょう。
金額によっては、お札の枚数を調整するために千円札と五千円札を組み合わせるなどの工夫が必要になります。
例えば、1万円を包む場合、一万円札1枚でも良いですし、五千円札2枚でも構いませんが、千円札10枚は避けるのが一般的です。
五千円を包む場合、五千円札1枚でも良いですし、千円札5枚でも構いません。
また、中袋に金額、住所、氏名が正しく記入されているかを再度確認しましょう。
特に金額は遺族の方が確認する際に重要な情報ですので、間違いがないように丁寧に記入します。
住所や氏名も、遺族がお礼状などを送る際に必要になりますので、正確に記入することが大切です。
これらの確認を、お金を中袋に入れる直前に行うことで、間違いを防ぎ、自信を持って香典を準備することができます。
急いで準備する場合でも、これらのポイントだけは必ず確認するように心がけましょう。

これが正解!香典袋へのお金の正しい入れ方と向き

お札の正しい向きは?肖像画の位置を解説

香典袋にお金を包む際、お札の向きにもマナーがあります。
これは、単なる形式ではなく、故人への敬意や弔いの気持ちを表すための大切な作法です。
香典では、お札に印刷されている肖像画を、お札の裏側(人物が印刷されていない面)にして、かつ下向きに入れるのが一般的です。
なぜこのように入れるのでしょうか。
これにはいくつかの理由が考えられています。
一つは、悲しみのあまり顔を伏せている様子を表すという説です。
故人を亡くした悲しみで顔を上げられない、という気持ちをお札の向きに託しているのです。
もう一つは、「不幸を繰り返さない」という願いを込めているという説です。
お札の肖像画を下向きにすることで、上(あの世)へ旅立つ故人を見送るという気持ちを表しているとも言われています。
どちらの説も、故人を偲び、遺族に寄り添う気持ちが込められています。
具体的な入れ方としては、まずお札を広げたときに、肖像画が印刷されている面が裏側になるように持ちます。
そして、肖像画が下になるように向きを変えます。
つまり、お札を縦長に置いたときに、肖像画がある方が裏面で、肖像画の顔が印刷されている部分が下を向いている状態です。
この向きに揃えて中袋に入れるのが正しいマナーです。
お札の向きは、普段意識することが少ないため、いざという時に迷いがちですが、この「肖像画が裏で下向き」というルールを覚えておけば安心です。
これは、弔事における日本ならではの繊細な心遣いであり、故人への最後の礼儀として大切にしたいマナーです。
たとえ金額が少なくても、こうした細部にまで気を配ることで、より丁寧な弔意を伝えることができるでしょう。

複数枚のお札の重ね方と向きのルール

香典として複数枚のお札を包む場合も、すべてのお札を同じ向きに揃えるのがマナーです。
これは、遺族が香典の整理をする際に、金額を確認しやすくするための配慮でもあります。
複数枚のお札を重ねる際は、すべてのお札の肖像画が裏側になり、かつ下向きになるように揃えて重ねます
つまり、一番上のお札から一番下のお札まで、すべて同じ向きになるように重ねるということです。
重ねる順番に特に決まりはありませんが、すべてを同じ向きに揃えることが重要です。
例えば、一万円札と五千円札を組み合わせる場合でも、どちらのお札も肖像画が裏側で下向きになるように揃えます。
お札の種類が混ざっていても、向きは統一することが大切です。
複数枚のお札を重ねることで、遺族が中袋を開けた際に、お札の向きが揃っていることから、包んだ人の丁寧な心遣いを感じ取ることができます
逆に、お札の向きがバラバラだったり、中には肖像画が表向きや上向きのお札が混ざっていたりすると、受け取った遺族は少し残念な気持ちになるかもしれません。
細かいことのように思えるかもしれませんが、こうした一つ一つのマナーが、故人への敬意と遺族への配慮を示すことにつながります。
複数枚のお札を包む場合は、焦らず、一枚一枚丁寧にお札の向きを確認し、すべて同じ向きに揃えてから重ねるようにしましょう。
この一手間が、故人への弔意をより丁寧に伝えることにつながります。
香典は、遺族にとって故人を偲ぶ大切な機会に受け取るものです。
その際に、包まれたお金の向きが揃っていることで、故人を大切に思ってくれた気持ちをより強く感じ取ることができるでしょう。

中袋へのお金の入れ方と外袋への納め方

お札を正しい向き(肖像画が裏側で下向き)に揃えたら、次はそのお札を中袋に入れます。
中袋にお金を入れる際も、向きに注意が必要です。
中袋の表面(金額、住所、氏名を書いた側)にお札の裏側(肖像画のない側)がくるように入れるのが一般的です。
つまり、中袋の封を開けたときに、最初に目にするお札の面が、肖像画が印刷されていない裏側になるように入れるということです。
そして、お札の肖像画が下向きになっていることを確認しましょう。
お札を中袋に入れたら、中袋の封を閉じます。
のりなどでしっかり封をする必要はありませんが、フラップを折ってきちんと閉じるのが一般的です。
次に、中袋を外袋(上包み)に納めます。
中袋を外袋に入れる際は、中袋の表面(金額、住所、氏名を書いた側)が、外袋の表側(表書きを書いた側)と同じ向きになるように納めます
つまり、外袋を開けたときに、中袋の表書き(金額、住所、氏名)がすぐに確認できるように入れるということです。
これは、遺族が香典を整理する際に、誰からいくらいただいたのかをスムーズに確認できるようにするための配慮です。
外袋を閉じる際は、上側の折り返しを下側の折り返しにかぶせるように閉じます。
これは、弔事では「悲しみを下に抑える」「不幸が重ならないように」という意味合いが込められています。
慶事の場合は逆に、下側の折り返しを上側にかぶせて閉じますので、間違えないように注意しましょう。
中袋にお金を入れる向き、そして中袋を外袋に納める向きは、遺族が香典をスムーズに整理できるよう、また、包んだ人の丁寧な心遣いが伝わるようにという配慮から生まれたマナーです。
これらの正しい手順を理解し、丁寧に行うことで、故人への弔意をより一層丁寧に伝えることができるでしょう。
特に、遺族は心労が重なっていることが多いため、香典の整理がしやすいように配慮することは、非常に大切な心遣いです。

香典を渡す際のマナーと注意点

香典を包む「ふくさ」の色や畳み方、渡し方

香典は、そのまま裸で持っていくのではなく、「ふくさ」と呼ばれる布に包んで持参するのが正式なマナーです。
ふくさに包むことで、香典袋が汚れたり折れたりするのを防ぎ、相手への敬意を示すことができます。
弔事に使うふくさの色は、黒、紺、深緑、紫など、寒色系の落ち着いた色が一般的です。
紫色のふくさは、慶事と弔事のどちらでも使えるため、一つ持っておくと便利です。
赤や金、明るい色合いのふくさは弔事には不向きですので避けましょう。
ふくさへの包み方にもマナーがあります。
香典袋をふくさの中央よりやや右寄りに置きます。
そして、弔事の場合は、右、下、上、左の順に畳んでいきます
つまり、左側が最後にくるように畳むのが弔事の包み方です。
これは、慶事の包み方(

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