お通夜だけ参列葬式に行かない場合のマナー

訃報を受け、故人様との最後のお別れに駆けつけたい気持ちはあるものの、様々な事情からお通夜にだけ参列し、葬式(告別式)への参列は難しい、という状況に直面することは少なくありません。
仕事の都合、遠方からの移動、体調の問題、あるいはご家族の介護など、理由は人それぞれです。
しかし、「お通夜だけ参列して、葬式に行かないというのは失礼にあたるのではないか」「どのようなマナーがあるのだろうか」と不安に感じられる方もいらっしゃるでしょう。
故人様やご遺族への弔意をしっかりと伝えたい気持ちと、現実的な制約の間でどのように振る舞うべきか、悩ましいものです。
この状況における適切な判断基準や、お通夜だけ参列する場合、そして葬儀・告別式に参列しない場合の具体的なマナーや心構えについて、一つずつ丁寧にご説明します

目次

お通夜だけ参列する選択は失礼にあたる?その理由と背景

故人様との関係性や自身の状況によっては、お通夜のみに参列し、葬儀・告別式への参列を見送るという選択をすることがあります。
現代では、このような参列の仕方も以前に比べて一般的になりつつありますが、それでも「失礼なのではないか」と気になる方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、なぜお通夜だけ参列する人がいるのか、どのような場合に許容されるのか、そして通夜と告別式それぞれの意味合いについて解説します。

なぜお通夜だけ参列するのか?一般的な理由

お通夜だけ参列する主な理由としては、物理的あるいは時間的な制約が挙げられます。
最も多いのは、仕事の都合で平日の昼間に行われることが多い葬儀・告別式への参列が難しいケースです。
お通夜は夕方から夜にかけて行われるため、仕事が終わってから駆けつけることが比較的容易です。
また、遠方に住んでいる場合、何度も足を運ぶのが難しいことから、どちらか一方に参列を選ぶ際に、都合がつきやすいお通夜を選ぶという方もいらっしゃいます。
さらに、自身の体調が悪かったり、小さなお子さんを抱えていたり、ご家族の介護が必要だったりと、様々な家庭の事情によって、長時間にわたる葬儀・告別式への参列が困難な場合もあります。
これらの理由は、ご遺族も理解を示してくれることが多く、やむを得ない事情として受け入れられることが一般的です。
大切なのは、どのような事情であれ、故人様を偲び、ご遺族を気遣う気持ちがあることです。

故人や遺族との関係性で変わる判断基準

お通夜だけ参列することが許容されるかどうかは、故人様やご遺族との関係性によっても判断基準が変わってきます。
非常に親しい間柄、例えばご家族やご親戚、ごく親しい友人、職場の直属の上司や部下といった関係性であれば、可能であれば通夜と告別式の両方に参列することが望ましいと考える方が多いかもしれません。
しかし、遠い親戚、職場の同僚や取引先の方など、比較的関係性が限定的な場合であれば、お通夜のみの参列でも失礼にあたるとは考えにくいです。
特に、大勢の方が弔問に訪れる一般葬の場合、お通夜だけでも十分な弔意を示すことができるとされています。
故人様やご遺族との関係性を考慮し、ご自身の状況と照らし合わせて、最も適切だと判断する方法を選ぶことが大切です。
迷う場合は、共通の知人や職場の担当者などに相談してみるのも良いでしょう。
無理をして参列することよりも、心を込めて弔意を伝えることに重きを置くべきです。

通夜と告別式の役割とその違い

お通夜と葬儀・告別式は、どちらも故人様を偲び、見送るための儀式ですが、それぞれに異なる役割があります。
本来、お通夜は故人様とご遺族が夜を共に過ごし、別れを惜しむためのものでした。
しかし、現代では弔問客が弔意を示すための場としての側面が強くなっています。
一方、葬儀・告別式は、故人様を葬り送るための儀式(葬儀)と、故人様との社会的なお別れをするための儀式(告別式)を合わせて行われることが一般的です。
通夜は比較的急な訃報を受けて駆けつける弔問客が多く、告別式は故人様と縁のあった方々が最期のお別れをする場という意味合いが強いと言えます。
そのため、お通夜だけでも十分弔意を示すことは可能であり、特に多忙な現代においては、お通夜への参列が故人様への敬意を示す一つの形として広く受け入れられています
両方に参列できるに越したことはありませんが、どちらか一方にしか参列できない場合は、ご自身の状況に合わせて選択しても問題ありません。

お通夜だけ参列する際のマナーと注意点

お通夜に参列する際、たとえ葬儀・告別式には行かないとしても、守るべき基本的なマナーがあります。
故人様への敬意とご遺族への配慮を示すためにも、適切な準備と振る舞いを心がけることが大切です。
ここでは、お通夜だけ参列する場合に特に押さえておきたいマナーについて詳しく解説します。

適切な服装、香典、受付での対応

お通夜に参列する際の服装は、急な訃報の場合には地味な平服でも許容されることがありますが、あらかじめ参列することが分かっている場合は、準喪服を着用するのが最も丁寧です。
男性はブラックスーツに白いシャツ、黒いネクタイ、黒い靴下、黒い靴。
女性は黒いワンピースやアンサンブルに黒いストッキング、黒い靴が基本です。
アクセサリーは結婚指輪以外は外すか、パールなどのシンプルなものを選びましょう。
香典は、お通夜に参列する場合、その場で渡すのが一般的です。
葬儀・告別式に参列しない場合でも、お通夜で渡せば問題ありません。
金額は故人様との関係性やご自身の年齢によって異なりますが、相場を参考に、無理のない範囲で包みましょう。
不祝儀袋は、四十九日前であれば薄墨を使用し、表書きは「御霊前」とするのが一般的ですが、宗派によって異なる場合もあるため確認が必要です。
受付では、「この度は心よりお悔やみ申し上げます」といったお悔やみの言葉を述べ、記帳を済ませてから香典をお渡しします。
「お通夜のみに参列させていただきます」といった一言を添えることで、ご遺族への配慮を示すことができます

焼香の作法と通夜振る舞いの判断

お通夜の儀式の中で行われる焼香は、故人様への弔意を示す大切な作法です。
宗派によって回数や細かい手順は異なりますが、一般的には、遺影に向かって一礼し、ご遺族に一礼した後、香炉の前で抹香をつまみ、香炉にくべて合掌します。
回数は宗派によって1回から3回と様々ですが、他の参列者に合わせて行っても差し支えありません
焼香を終えたら、再び遺影とご遺族に一礼して席に戻ります。
通夜振る舞いは、お通夜の後、弔問客に食事や飲み物が振る舞われる席です。
故人様を偲びながら、ご遺族と一緒に過ごす時間ですが、お通夜だけ参列する場合、時間の都合や体調などで辞退しても失礼にはあたりません
特に、翌日仕事がある場合などは、無理せず早めに失礼しても問題ないでしょう。
参加する場合は、一口でも箸をつけるのが礼儀とされています。
辞退する場合は、「お時間の都合で失礼させていただきます」などと丁寧に伝え、静かに会場を後にしましょう。

遺族への配慮と失礼にならない振る舞い

お通夜だけ参列する場合、特に気をつけたいのはご遺族への配慮です。
ご遺族は大切な方を亡くされ、心身ともに疲れている状況です。
長々と話し込んだり、質問攻めにしたりすることは避けましょう。
お悔やみの言葉は簡潔に、心からの気持ちを伝えるように心がけます
また、葬儀・告別式に参列しないことについて、改めて理由を詳しく説明する必要はありません。
「明日(葬儀・告別式)は参列できず申し訳ございません」といった短いお詫びの言葉を添える程度で十分です。
故人様との思い出話をする際は、ご遺族の様子を見ながら、明るすぎる話題や、ご遺族が辛く感じる可能性のある話題は避けるようにしましょう。
受付の方や葬儀社のスタッフの方々の指示に従い、他の参列者の方々にも配慮しながら行動することが、円滑な進行と弔いの場にふさわしい振る舞いにつながります
何よりも、故人様を偲び、ご遺族を気遣う気持ちを行動で示すことが大切です。

葬儀・告別式に参列しない場合の丁寧な対応

お通夜には参列できたものの、葬儀・告別式にはやむを得ず参列できない場合、どのように弔意を伝えれば良いのでしょうか。
参列しないからといって、何も対応しないのは避けたいものです。
葬儀・告別式に直接足を運べない場合でも、故人様への敬意とご遺族への心遣いを伝えるための様々な方法があります。
ここでは、欠席する場合の遺族への連絡方法や、弔意を示すための具体的な手段についてご説明します。

欠席の連絡方法と伝えるべき内容

葬儀・告別式に参列できないことが分かったら、できるだけ早くご遺族に連絡を入れるのが丁寧な対応です。
訃報の連絡を受けた際に、お通夜には参列するが告別式は欠席する旨を伝えるのが最もスムーズです。
もしその場で伝えられなかった場合は、お通夜の受付で一言お伝えするか、後日改めて連絡する際に、お悔やみの言葉と共に欠席する旨を丁寧に伝えましょう
連絡手段としては、電話が最も直接的で気持ちが伝わりやすいですが、ご遺族が対応に追われている可能性もあるため、状況によってはメールやメッセージアプリでの連絡も考慮できます。
ただし、親しい間柄でない場合は、電話で伝えるのがより丁寧です。
伝えるべき内容は、まずはお悔やみの言葉、そしてお通夜に参列させていただいたことへの感謝(もし参列済みであれば)、最後に葬儀・告別式に参列できないことへのお詫びと、故人様への弔意です。
「大変申し訳ございませんが、やむを得ない事情により、明日の告別式には参列することが難しくなりました。
〇〇様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
」のように、簡潔かつ誠意をもって伝えましょう。
欠席の詳しい理由を長々と説明する必要はありません。

香典や弔電、供物を送る方法

葬儀・告別式に参列できない場合でも、香典や弔電、供物を送ることで弔意を示すことができます。
香典は、お通夜に参列している場合はその場で渡しますが、お通夜にも参列できない場合や、改めて香典を送りたい場合は、現金書留で送るか、後日弔問する際に持参するという方法があります。
現金書留で送る場合は、不祝儀袋に入れた香典と、お悔やみの言葉を記した手紙を添えるのが丁寧です。
弔電は、NTTやインターネットの電報サービスなどを利用して送ることができます。
故人様のお名前や宛先、差出人の情報を正確に伝えることが重要です。
弔電の文面は、お悔やみの言葉、故人様への感謝や思い出、ご遺族への慰めの言葉などで構成しますが、弔電サービスには定型文も用意されているため、そちらを参考にしても良いでしょう
供物は、お花(供花)や果物、線香などが一般的です。
これらも葬儀社や生花店に手配を依頼することで、式場に届けてもらうことができます。
供物を送る際は、事前にご遺族や葬儀社に確認し、辞退されていないか、また送る品物に指定がないかを確認するとより丁寧です。

後日弔問する際のマナー

葬儀・告別式に参列できなかった場合、後日改めてご自宅などに弔問に伺うという選択肢もあります。
これは、落ち着いて故人様を偲び、ご遺族にお悔やみを伝えることができる丁寧な方法です。
弔問に伺う時期は、一般的に葬儀が終わってから四十九日までの間が良いとされています。
しかし、ご遺族の負担にならないよう、必ず事前に連絡を取り、ご都合を伺ってから訪問日時を決めましょう
アポイントメントなしに突然伺うのは失礼にあたります。
弔問時の服装は、地味な平服で構いませんが、派手な色やデザインは避け、清潔感のあるものを選びます。
手土産として、故人様がお好きだったものや、日持ちのするお菓子、線香などを持参すると良いでしょう。
訪問したら、まずはお悔やみの言葉を述べ、仏壇があれば線香をあげさせていただきます。
長居はせず、ご遺族の様子を見ながら、30分から1時間程度で失礼するのが一般的なマナーです。
故人様との思い出話をするのは良いですが、ご遺族の悲しみを煽るような話題は避け、静かに寄り添う姿勢を見せることが大切です。

お通夜だけの参列で後悔しないための心構え

お通夜だけ参列し、葬儀・告別式に参列しないという選択をしたとしても、故人様への弔意をしっかりと伝え、ご遺族への配慮を怠らなければ、決して失礼にはあたりません。
大切なのは、どのような形であれ、故人様を偲び、ご遺族を気遣う気持ちを行動で示すことです。
ここでは、お通夜だけの参列を後悔しないために、心に留めておきたい大切な心構えについてお話しします。

何よりも遺族の気持ちを尊重する

弔事においては、ご自身の都合だけでなく、何よりもご遺族の気持ちを尊重することが最も大切です。
ご遺族は大切な方を亡くされ、深い悲しみの中にいらっしゃいます。
また、葬儀の準備や対応で心身ともに疲弊していることも少なくありません。
お通夜だけの参列であっても、ご遺族に余計な心配や負担をかけないような振る舞いを心がけましょう
例えば、欠席の連絡をする際も、ご遺族の状況を思いやり、簡潔に済ませる、通夜振る舞いへの参加も、ご自身の都合

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