葬儀に参列する際、服装や髪型だけでなくメイクにも気を配る必要があります。
特に普段からカラコンを使っている方にとって、「葬式メイクでカラコンは着用できる?」という疑問は切実なものでしょう。
故人を偲び、遺族へ配慮する大切な場だからこそ、失礼のない身だしなみを心がけたいものです。
しかし、視力矯正のためにカラコンを使っている方や、裸眼に自信がない方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、葬儀におけるカラコン着用のマナーについて、どのようなカラコンなら許容されるのか、そしてカラコンを着用する場合のメイクのポイントまで、詳しく解説していきます。
葬式でカラコンは着用できる?マナーの基本と考え方
葬儀という厳粛な場では、故人への弔意と遺族への配慮を示すため、華美な装いは避けるのがマナーです。
身だしなみの基本は「控えめに、清潔に」であり、これは服装や髪型だけでなく、メイクや小物にも当てはまります。
普段おしゃれを楽しむためのアイテムであるカラコンは、この「控えめ」という基準から外れるのではないかと心配される方も多いでしょう。
結論から言えば、派手な色やデザインのカラコンは避けるべきですが、裸眼の色や大きさに近い、非常にナチュラルなものであれば許容されるケースが多いです。
ただし、これはあくまで一般的な考え方であり、参列する葬儀の雰囲気や、遺族の方針によっても受け止められ方は異なる可能性があるという点は理解しておきましょう。
葬式における身だしなみの基本的な考え方
葬式は、故人との最期のお別れをし、遺族と共に故人を偲ぶための大切な儀式です。
そのため、参列者は mourning wear と呼ばれる弔意を示す服装を着用するのが一般的です。
服装と同様に、メイクや髪型、アクセサリーなども地味で控えめなものを選ぶ必要があります。
目立つおしゃれや自己主張につながるようなものは、この場にはふさわしくありません。
たとえば、明るい色のヘアカラーや派手なネイル、きらびやかなアクセサリーは避けるべきとされています。
メイクについても、普段の華やかなメイクではなく、肌の色を整え、健康的な印象を与える程度のナチュラルメイクが基本です。
この基本的な考え方を踏まえると、目を大きく見せたり、瞳の色を不自然に変えたりするカラコンは、身だしなみの基本から外れる可能性があると考えるのが自然です。
カラコン着用が「気になる」理由と許容範囲
なぜ葬式でカラコンの着用が「気になる」のでしょうか。
それは、カラコンが「おしゃれアイテム」として認識されている側面が強いからです。
瞳の色が変わったり、黒目が不自然に大きくなったりするカラコンは、普段着やパーティーなど華やかな場面で使うことが多く、葬儀の厳粛な雰囲気にはそぐわないと感じる人がいるためです。
特に、着色直径が大きいものや、フチがくっきりしているもの、明るい色(グレー、ヘーゼル、ブルーなど)のカラコンは、明らかに不自然で派手な印象を与えてしまいます。
一方で、視力矯正のために色付きコンタクトレンズを使用している場合や、裸眼と見分けがつかないほど自然なデザイン、色も黒か限りなく暗いブラウンで、着色直径も裸眼とほぼ同じか少し大きい程度のカラコンであれば、多くの場合は問題視されないでしょう。
重要なのは、見た人が「カラコンを着けているな」と気づきにくく、あくまで「素の瞳」のように見えるかどうかです。
参列者と遺族でカラコンのマナーは違う?
葬儀における身だしなみは、参列者も遺族も基本的に同じ「控えめに」というマナーが求められます。
ただし、遺族は葬儀の準備や対応に追われ、身だしなみに時間をかける余裕がないことがほとんどです。
そのため、メイクも最低限で済ませることが多く、むしろ普段よりもさらにナチュラルで地味な印象になるのが一般的です。
参列者も遺族も、故人を悼み、遺族を気遣う気持ちが最も大切であり、身だしなみはその気持ちを表す手段です。
もし遺族として参列する場合で、視力矯正のためにカラコンが必須であれば、やはり裸眼に最も近いものを選ぶべきです。
参列者の場合も、遺族に失礼がないよう、そして故人への敬意を払うために、同様に控えめなカラコンを選ぶのが賢明です。
どちらの立場であっても、「おしゃれ」ではなく「失礼にならないか」を最優先に考えることが重要です。
葬式にふさわしいカラコンの選び方と注意点
葬式という特別な場にカラコンを着用していく場合、どのような点に注意して選べば良いのでしょうか。
最も大切なのは、「いかに裸眼に見えるか」という点です。
普段使い慣れているカラコンでも、葬儀にはふさわしくないデザインや色が多くあります。
故人や遺族に不快な思いをさせないためにも、慎重に選びましょう。
具体的には、色、デザイン(フチの有無や着色直径)、そしてレンズの種類に注目して選ぶことが重要です。
最近のカラコンは非常にナチュラルなものが増えているため、選び方さえ間違えなければ、視力矯正が必要な方や、裸眼の印象を少しだけ整えたい方でも、マナーを守って着用することが可能です。
裸眼に限りなく近いナチュラルなデザインを選ぶ
葬式にふさわしいカラコンを選ぶ上で、最も重要な基準は「ナチュラルさ」です。
具体的には、着色直径が小さく、フチがぼかされているデザインを選びましょう。
着色直径とは、瞳の色が付いている部分の直径のことです。
これが大きいと、黒目が不自然に大きくなり、宇宙人のような印象を与えてしまうことがあります。
裸眼の黒目の大きさは個人差がありますが、一般的に12.8mm〜13.2mm程度と言われています。
カラコンを選ぶ際は、着色直径がこれに近い、あるいは少し大きい程度(13.0mm〜13.5mm程度まで)のものを選ぶと、自然な印象になります。
また、フチがくっきりしているデザインは、瞳の輪郭を強調しすぎてしまい、カラコンを付けていることが分かりやすくなります。
フチなし、あるいはドットでぼかされたフチのデザインを選ぶと、裸眼との境目が自然に見え、瞳に馴染みやすくなります。
色やフチの選び方で失敗しないために
カラコンの色選びも非常に重要です。
葬式では、華やかさや個性を出す必要は一切ありません。
瞳の色を落ち着かせ、自然に見せることが目的です。
最も無難な色は、自分の裸眼の色に近い暗めのブラウンか、ブラックです。
これらの色であれば、瞳の色を大きく変えることなく、自然な印象を保つことができます。
明るいブラウンや、グレー、ヘーゼル、ブルー、グリーンといった色は、たとえナチュラルなデザインであっても、葬儀にはふさわしくありません。
瞳の色が明るすぎると、おしゃれをしているような印象を与えてしまい、マナー違反と見なされる可能性があります。
フチについても、前述の通り、くっきりしたフチ(特に黒の太フチ)は目を強調しすぎるため避けましょう。
フチなしや、ドットで描かれたぼかしフチのデザインを選ぶことで、より自然な仕上がりになります。
ワンデータイプがおすすめな理由
葬儀のためにカラコンを用意する場合、普段使い慣れている2weekやマンスリータイプがある方もいるかもしれませんが、可能であればワンデータイプのカラコンを選ぶことをおすすめします。
ワンデータイプは、1日使い捨てなので非常に衛生的です。
葬儀という場は、普段とは異なる環境であり、長時間過ごすこともあります。
使い捨てのワンデータイプなら、常に清潔なレンズを使用できるため、目のトラブルのリスクを減らすことができます。
また、普段はカラコンを使わないけれど、葬儀のために視力矯正や印象を整えたいという方にとっても、ワンデータイプは手軽に試すことができます。
さらに、急な訃報で葬儀に参列することになった場合でも、ワンデータイプならすぐに使用できるため便利です。
使用後はそのまま捨てられるため、お手入れの手間もかかりません。
カラコン着用を前提とした葬式メイクのポイント
葬式にカラコンを着用していく場合、それに合わせてメイクも調整する必要があります。
カラコンの色やデザインがどんなにナチュラルでも、メイクが派手だったり、不自然だったりすると、全体の印象が崩れてしまいます。
また、葬儀では涙を流すことも考えられます。
涙でメイクが崩れてしまうと、さらに見た目が乱れてしまう可能性があります。
ここでは、カラコンを着用した上で、葬儀という場にふさわしい、崩れにくいナチュラルメイクのポイントをご紹介します。
普段のメイクとは異なり、引き算を意識したメイクが求められます。
カラコンの存在感を消しつつ、顔色を健康的に見せることを目指しましょう。
葬式メイクの基本手順と目元の仕上げ方
葬式メイクの基本は、肌をきれいに見せつつ、血色感を控えめに出すことです。
まず、ベースメイクはマットな仕上がりを目指しましょう。
ツヤ感のあるリキッドファンデーションやパール入りの下地は避け、肌悩みをカバーしつつ、自然なマット肌に仕上がるファンデーションやBBクリームを選びます。
フェイスパウダーでしっかりと押さえることで、崩れにくくなります。
チークやリップは、肌馴染みの良いベージュピンクやコーラル系を選び、薄く控えめに乗せます。
目元は、ラメやパールが入っていない、マットな質感のアイシャドウを使用します。
色はブラウンやベージュ系が無難です。
単色グラデーションや、肌より少し濃い色をアイホール全体に薄く入れる程度で十分です。
アイラインは、リキッドではなくペンシルタイプで、まつ毛の隙間を埋めるように細く引くか、目尻を少しだけ自然に伸ばす程度に留めます。
マスカラも、ボリュームやロング効果が高いものより、セパレート効果のあるナチュラルなものを選び、一度塗り程度に抑えましょう。
ビューラーでまつ毛を上げすぎると華美に見えるため、軽くカールさせる程度が良いでしょう。
涙で崩れにくいメイク術とカラコンへの影響
葬儀では、感動や悲しみから涙を流すことがあります。
涙でメイクが崩れてしまうと、見た目が乱れるだけでなく、カラコンを使用している場合は目にメイク用品が入ってしまうリスクも高まります。
そのため、崩れにくいコスメを選び、工夫してメイクすることが重要です。
まず、ベースメイクは皮脂崩れ防止下地を使用し、ファンデーションを薄く均一に塗ります。
フェイスパウダーは、ブラシでふんわりのせるのではなく、パフで軽く押さえるように乗せると密着度が高まります。
目元メイクは、ウォータープルーフタイプのアイライナーやマスカラを選ぶのがおすすめです。
アイシャドウも、クリームタイプやリキッドタイプで密着度の高いものを選ぶと、粉飛びしにくく崩れにくくなります。
涙がこぼれそうになったら、ハンカチやティッシュで目頭や目尻を優しく押さえ、こすらないように注意しましょう。
カラコンを装着している場合、目を強くこするとレンズがずれたり、傷ついたりする可能性があるため、特に注意が必要です。
涙で濡れた場合は、清潔なティッシュで優しく水分を吸い取るようにしましょう。
メイク直しの方法と持ち物
葬儀の途中でメイクが崩れてしまった場合に備えて、最低限のメイク直しアイテムを準備しておくと安心です。
ポーチに入れておくと良いのは、フェイスパウダー、油取り紙(またはティッシュ)、綿棒、リップクリームまたは控えめな色のリップ、そしてカラコン用の目薬です。
涙で目元が崩れた場合は、まず油取り紙やティッシュで優しく皮脂や涙を吸い取ります。
細かい部分の崩れは、綿棒を使って優しく拭き取ります。
ファンデーションがよれてしまった部分は、フェイスパウダーを少量パフに取り、軽く押さえるように乗せて馴染ませます。
リップの色が落ちてしまったら、控えめな色のリップを塗り直して血色感を補います。
カラコンが乾燥したり、異物感を感じたりした場合は、カラコン用の目薬を点眼しましょう。
ただし、メイク直しはあくまで短時間で、目立たないように行うのがマナーです。
頻繁に席を立ってメイク直しに行くのは避けるべきです。
まとめ
葬式という厳粛な場において、カラコンを着用できるかどうかは、そのデザインや色、そして何よりも「故人を偲び、遺族へ配慮する」というマナーの心に基づいた判断が重要です。
派手なカラコンや、瞳の色を大きく変えるようなものは避けるべきですが、裸眼と見分けがつかないほど自然なデザインのカラコンであれば、多くの場合問題なく着用できるでしょう。
特に視力矯正のためにカラコンを使用している方は、無理に外す必要はありません。
大切なのは、葬儀という場にふさわしい、控えめで清潔感のある身だしなみを心がけることです。
カラコンを選ぶ際は、着色直径が小さく、フチがぼかされた暗めのブラウンかブラックのワンデータイプがおすすめです。
また、カラコンを着用する場合は、それに合わせたナチュラルな葬式メイクを心がけましょう。
ラメやパールを避け、ウォータープルーフコスメを活用するなど、涙で崩れにくい工夫も大切です。
もしメイクが崩れても、最低限のアイテムで控えめに直すようにしましょう。
葬儀に参列する際は、身だしなみだけでなく、故人への弔いの気持ちと遺族への気遣いを最優先に考え、落ち着いて行動することが何よりも大切です。