大学生になって、初めてお葬式に参列することになった、という方もいらっしゃるかもしれません。
親戚の方や、友人、学校関係の方など、様々な方の訃報に接する可能性があります。
お葬式に参列する際は、服装や髪型だけでなく、メイクにもマナーがあることをご存知でしょうか。
普段の華やかなメイクとは異なり、故人を偲び、遺族に配慮した控えめなメイクが求められます。
特に大学生の皆さんは、まだ社会経験が少なく、どのようなメイクが適切なのか迷ってしまうこともあるでしょう。
この記事では、大学生の皆さんがお葬式に安心して参列できるよう、葬式におけるメイクの基本マナーから、具体的なメイク方法、急な参列でも慌てないためのポイントまで、詳しく解説します。
適切なメイクで、故人への弔意を表しましょう。
大学生が知っておくべき葬式メイクの基本マナーと心構え
お葬式は、故人との最後のお別れをし、遺族を慰めるための厳粛な場です。
そのため、参列者は故人や遺族に敬意を払い、慎ましく振る舞うことが求められます。
これは服装や立ち居振る舞いだけでなく、メイクにおいても同様です。
特に大学生の皆さんは、普段のメイクとは全く異なる考え方が必要になります。
ここでは、なぜ葬式で控えめなメイクが求められるのか、どのようなメイクがふさわしいのか、そして参列にあたって事前に知っておきたいことについてお話しします。
なぜ葬式では「控えめ」なメイクがマナーなのか
お葬式で控えめなメイクが求められる最大の理由は、「弔意を表す」ことと「遺族に配慮する」ことにあります。
華やかなメイクや派手な色使いは、お祝いの席でこそふさわしいものであり、悲しみの場であるお葬式にはそぐいません。
メイクが目立ちすぎると、故人や遺族よりも自分自身に注目が集まってしまう可能性があります。
これは、お葬式の主旨から外れてしまう行為と考えられます。
また、遺族の方々は深い悲しみの中にいらっしゃいます。
そのような状況で、派手なメイクをした参列者を見ると、不快に感じたり、配慮に欠けると映ったりする可能性があります。
葬儀の場では、故人を悼む気持ちと、遺族の方々の気持ちに寄り添う姿勢を示すことが最も大切です。
メイクはその気持ちを表現する一つの要素として、控えめにすることで、故人への敬意と遺族への配慮を示すことにつながります。
普段のメイクが濃いめの方や、カラーコンタクトを普段から使用している方は、特に注意が必要です。
葬儀の場では、あくまでも故人を偲ぶことが最優先であり、自身の外見を主張する場ではないということを心に留めておきましょう。
葬式にふさわしいメイクの全体像とは
葬式にふさわしいメイクは、「ナチュラルメイク」や「ノーメイクに近いメイク」と表現されることが多いですが、ただ単に薄くすれば良いというわけではありません。
重要なのは、「健康的に見えるけれど、飾りすぎない」というバランスです。
具体的には、肌の色ムラやくすみを自然にカバーし、血色感を抑えつつ、顔色が悪く見えないように整えます。
アイメイクは、涙で崩れやすいことを考慮し、シンプルで崩れにくい方法を選びます。
眉は普段通りで構いませんが、濃く描きすぎたり、形を強調しすぎたりしないように注意が必要です。
リップは、顔色が悪く見えない程度のベージュや落ち着いたピンク系を選びます。
チークは基本的に不要ですが、顔色が悪すぎる場合は、ごく薄くベージュ系のものを使用することもあります。
全体として、「きちんと身だしなみを整えている」という印象を与えつつも、メイクをしているかどうか分からないくらい控えめにするのが理想です。
例えば、普段はトレンドのカラーアイシャドウやグリッターを使っている方も、葬儀の場ではそれらを一切使わず、マットな質感の肌色に近いアイシャドウを少量使う程度にとどめます。
このように、普段のメイクの引き算をすることが、葬式メイクの基本となります。
急な参列に備えて事前に準備しておきたいこと
お葬式は、突然の訃報によって参列が決まることがほとんどです。
そのため、いざという時に慌てないよう、日頃から少し準備をしておくと安心です。
まず、葬式メイクに使えるコスメを普段使いのものとは別に分けておくか、手持ちのコスメの中から葬式に使えるものを把握しておくと良いでしょう。
具体的には、肌色に近いマットなアイシャドウ、ベージュ系のリップ、崩れにくいフェイスパウダーなどです。
また、急な参列の場合、自宅でメイクをする時間が十分に取れない可能性もあります。
学校帰りやアルバイト帰りなどにそのまま向かうことも考えられます。
そのような状況に備えて、最低限のメイク直しができるポーチを普段から持ち歩く習慣をつけておくのも有効です。
ポーチの中には、フェイスパウダー、ベージュ系のリップ、そして涙や汗を拭くためのティッシュやハンカチを入れておくと便利です。
私が以前、急な訃報で大学の授業後すぐに駆けつけなければならなくなった友人は、普段から持ち歩いていた最低限のコスメで、慌ててメイクを整えていました。
このように、日頃からのちょっとした心がけが、いざという時の焦りを軽減してくれます。
また、喪服やそれに準ずる服装をすぐに用意できるかどうかも確認しておくと、より安心です。
具体的な葬式メイクのやり方【パーツ別】
葬式メイクの基本マナーを理解したところで、次は具体的なメイク方法について見ていきましょう。
葬式メイクは、普段のメイクとは使うアイテムや塗り方が異なります。
ここでは、ベースメイク、アイメイク、眉・チーク・リップの各パーツに分けて、葬式にふさわしいメイクのやり方を詳しく解説します。
それぞれのパーツで注意すべきポイントを押さえて、故人を悼む気持ちを表現できる、品のある控えめなメイクを目指しましょう。
ベースメイク:肌をきれいに見せつつナチュラルに
葬式メイクにおけるベースメイクの目的は、肌の色ムラやくすみを自然にカバーし、顔色が悪く見えないように整えることです。
厚塗り感が出てしまうと、かえって不自然に見えたり、派手な印象を与えたりする可能性があるため、あくまでもナチュラルに仕上げることが重要です。
まず、スキンケアで肌をしっかり保湿し、肌のコンディションを整えます。
次に、化粧下地を少量使い、肌のトーンを均一にします。
コントロールカラーは、ピンクやパープルなどの血色を強調する色は避け、肌色に近いものを選ぶか、使用しないのが無難です。
ファンデーションは、リキッドタイプやクッションファンデーションを薄く塗るか、パウダーファンデーションを軽く乗せる程度で十分です。
クマやニキビ跡が気になる場合は、コンシーラーを少量使い、指で優しく馴染ませてカバーします。
この時も、厚塗りは禁物です。
最後に、フェイスパウダーをブラシでふんわりと乗せ、テカリを抑え、崩れにくくします。
ラメやパール入りのパウダーは避け、マットな質感のものを選びましょう。
肌をきれいに見せようと頑張りすぎて、普段よりも厚塗りになってしまうのは避けたいところです。
自然な肌感を残しつつ、清潔感のある肌に仕上げることを意識してください。
例えば、普段はツヤ肌仕上げが好きという方も、葬式ではマットな仕上がりのパウダーを使うことで、落ち着いた印象になります。
アイメイク:涙にも強い控えめな目元に
葬式では、故人を偲んで涙を流すこともあります。
そのため、アイメイクは涙で崩れにくいこと、そして控えめであることが非常に重要です。
まず、アイシャドウは、肌色に近いベージュやブラウン系のマットなものを選び、アイホール全体に薄く一度だけ塗る程度にとどめます。
ラメやパール入りのアイシャドウは、光に当たるとキラキラしてしまい、葬儀の場にはふさわしくありません。
カラーアイシャドウも避けるべきです。
アイラインは、基本的に引かなくても構いませんが、もし引く場合は、まつ毛の隙間を埋めるように細く、目尻を跳ね上げたり長く描いたりしないようにします。
色は黒かダークブラウンで、リキッドタイプよりもペンシルタイプの方が自然に仕上がります。
マスカラは、ビューラーでまつ毛を軽くカールさせた後、黒かクリアタイプのものを一度塗りします。
ボリュームタイプやロングタイプは避け、あくまでも自まつ毛を自然に整える程度に留めます。
涙で滲まないよう、ウォータープルーフタイプを選ぶと安心です。
私が以前、葬儀に参列した際、隣に座っていた方が涙を拭うたびにマスカラが滲んでしまって困っているのを見かけました。
このような事態を避けるためにも、ウォータープルーフのマスカラは一本持っておくと良いかもしれません。
つけまつげやカラーコンタクトレンズは、葬儀の場では基本的に避けるべきです。
あくまでも自然な目元を心がけましょう。
眉・チーク・リップ:血色感を抑えた整え方
眉は、普段通りに整える程度で問題ありませんが、濃く描きすぎたり、太く描きすぎたりしないように注意が必要です。
眉マスカラを使う場合も、自眉の色に近い自然な色を選びます。
チークは、基本的に使用しません。
葬儀の場では、血色が良いことが必ずしも良いとは限らず、むしろ顔色を抑える方が場にふさわしいとされる場合が多いです。
しかし、元々顔色が悪く見えやすい方や、体調があまり良くない場合は、ごく薄く、肌なじみの良いベージュ系のチークを頬骨に沿って控えめに乗せる程度であれば問題ありません。
この時も、ピンクやオレンジなど、血色を強調する色は避けてください。
リップは、顔色が悪く見えないように、ベージュやローズ系の落ち着いた色を選びます。
赤みが強すぎる色や、グロスのようなツヤ感の強いものは避けるべきです。
マットな質感か、セミマットな質感のものが良いでしょう。
リップクリームで唇を整えてから、リップを塗ると、より自然に仕上がります。
私が以前、葬儀場でスタッフの方に伺った話では、「血色感を出すよりも、落ち着いた印象の方が良い」とのことでした。
特に若い方は、普段リップの色で遊ぶことが多いと思いますが、葬儀の場では落ち着いたトーンを意識することが大切です。
リップは食事などで落ちやすいので、ベージュ系のリップを一本、メイク直し用にポーチに入れておくと安心です。
葬式メイクに関するよくある疑問と注意点
葬式メイクは普段のメイクとは勝手が違うため、様々な疑問や不安が出てくるかもしれません。
ここでは、葬式メイクに関するよくある疑問や、参列前に知っておきたい注意点について解説します。
特に急な参列となった場合、どのように対応すれば良いのか、メイク直しはどこで、何をすれば良いのかなど、具体的な状況を想定したアドバイスをお伝えします。
これらの情報を知っておけば、いざという時に慌てず、落ち着いて対応できるはずです。
メイク直しはどこで?持ち物は?
お葬式の最中にメイクが崩れてしまったり、涙で目元が滲んでしまったりした場合、メイク直しが必要になることもあります。
メイク直しをする場所は、必ずお手洗いを利用しましょう。
他の参列者や遺族の目に触れる場所でメイク直しをするのはマナー違反です。
お手洗いに行く際は、他の参列者の邪魔にならないよう、静かに移動します。
持ち物としては、最低限のアイテムをコンパクトなポーチに入れて持参するのがおすすめです。
具体的には、テカリを抑えるためのフェイスパウダー(マットタイプ)、涙や汗を拭くためのティッシュ、そして顔色が悪く見えないようにするためのベージュ系のリップです。
アイメイクが崩れてしまった場合に備えて、綿棒を数本入れておくと、滲んだ部分をピンポイントで直せて便利です。
ファンデーションやアイシャドウなどを持ち歩く必要はありません。
あくまでも、「最低限の身だしなみを整える」ためのメイク直しに留めます。
私が以前、葬儀場で見た光景ですが、お手洗いで多くの女性がリップやパウダーで軽くメイク直しをしていました。
皆さん、手早く済ませており、派手なメイクをしている方はいませんでした。
このように、必要なものを必要なだけ持ち歩き、お手洗いでサッと済ませるのがスマートなやり方です。
急な参列でも慌てないメイクテクニック
お葬式は、突然決まることが多いものです。
学校やアルバイト先などから、そのまま向かわなければならない状況もあるかもしれません。
このような急な参列の場合、自宅に戻ってゆっくりメイクをする時間がないことも考えられます。
そんな時に役立つ、慌てないためのメイクテクニックをご紹介します。
まず、普段から持ち歩いているポーチの中に、葬式メイクにも使える最低限のコスメを入れておく習慣をつけましょう。
例えば、肌色に近いフェイスパウダー、ベージュ系のリップ、黒のペンシルアイライナー、黒のウォータープルーフマスカラなどです。
もし、普段カラーコンタクトを使っている場合は、透明のコンタクトレンズを予備として持ち歩くか、眼鏡にかけ替える準備をしておくと良いでしょう。
急な参列が決まったら、移動中の電車の中や、会場のお手洗いなどで、普段のメイクを落とし、葬式メイクに切り替えることになります。
普段のメイクを落とすためのメイク落としシートや、顔を拭くためのウェットティッシュなどもポーチに入れておくと便利です。
メイクを落としたら、持参した最低限のコスメでベースメイク、眉、リップを整え、必要であればアイラインとマスカラを軽く塗ります。
全てを完璧にしようとせず、「清潔感があり、控えめ」という状態を目指すことが大切です。
私の知人で、いつも急な訃報に対応できるよう、会社のロッカーに喪服一式と葬式用コスメを常備している方がいました。
大学生でそこまで準備するのは難しいかもしれませんが、最低限のコスメをポーチに入れておくだけでも、いざという時に心強い味方になります。
これだけは避けたいNGメイク
葬式メイクには、いくつかの絶対に避けるべきNGメイクがあります。
これらのNGメイクをしてしまうと、故人や遺族に対して失礼にあたるだけでなく、周囲から浮いてしまい、自分自身も居心地の悪い思いをすることになりかねません。
まず、ラメやパールがたっぷりのアイシャドウやチーク、ハイライトは絶対に避けましょう。
光に当たるとキラキラと輝き、お祝いの席のような華やかさが出てしまいます。
次に、原色系の派手なカラーメイクもNGです。
ビビッドなピンクやオレンジ、ブルーなどのアイシャドウやリップは、葬儀の場には全くふさわしくありません。
また、濃すぎるアイラインや太すぎる眉、ボリュームたっぷりのマスカラなど、顔のパーツを過剰に強調するメイクも避けるべきです。
つけまつげやカラーコンタクトレンズも、基本的にNGと考えましょう。
普段、顔色を良く見せるために使うことの多いチークやリップも、血色を強調するような明るい色や濃い色は避け、ごく控えめにするか、使用しないのがマナーです。
最後に、厚塗りのベースメイクや、肌がテカテカに見えるようなツヤ肌メイクも、葬儀の場ではあまり好ましくありません。
マットで清潔感のある肌に仕上げることを意識しましょう。
葬式メイクは、普段の自分を表現する場ではなく、故人を悼む気持ちを表す場です。
「控えめ」「シンプル」「清潔感」をキーワードに、メイクを選んでください。
私が以前、葬儀場で見た中で最も場にそぐわないと感じたのは、つけまつげを付けて、カラコンをしていた若い女性でした。
周りの参列者が皆落ち着いた服装やメイクをしている中で、その方は非常に目立ってしまい、少し浮いているように見えました。
このようなことにならないよう、事前に葬式メイクのマナーを確認しておくことが大切です。
まとめ
大学生の皆さんが葬式に参列する際のメイクは、普段のメイクとは異なり、故人を偲び、遺族に配慮した控えめなメイクが求められます。
華やかさや個性を出すのではなく、故人への弔意と遺族への敬意を表すことが最も重要です。
具体的には、肌の色ムラを自然にカバーするマットなベースメイク、ラメやパールを使わないベージュ系のアイシャドウ、細く控えめなアイライン、一度塗りのマスカラ、そして血色感を抑えたベージュ系のリップなどが挙げられます。
チークは基本的に不要ですが、使用する場合はごく薄く肌なじみの良い色を選びます。
急な参列にも対応できるよう、普段から最低限の葬式用コスメをポーチに入れておくと安心です。
メイク直しはお手洗いで、必要最低限に留めるのがマナーです。
これらのポイントを押さえて、葬儀の場にふさわしい、品のある控えめなメイクを心がけましょう。
適切なメイクで参列することは、故人への最後の敬意を示すとともに、遺族の方々への心遣いにもつながります。
この記事が、大学生の皆さんが安心して葬儀に参列するための一助となれば幸いです。